ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

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123.砂男確保とご褒美

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「砂龍風塵撃!!」

 砂の龍の身体から砂粒の混じった風の刃がたくさん放たれる。
 無駄にかっこいい名前の技を考えて、ずるいぞ。
 砂の粒一粒一粒が凄い速さで飛んでくるから、反転魔法で打ち消すのにかなりの魔力を削られる。
 砂を操るのにはほとんど魔力を裂かず、高レベルの魔法スキルで操る風に砂を乗せることによって魔力消費を抑えたまま攻撃力を増しているのか。
 なかなか考えられた攻撃だ。
 僕は毛竜の触手を伸ばして転がっている兵士の人たちから魔力を吸い取る。
 転がっている兵士の人たちの顔色が土気色になってきている。
 あまり時間的猶予は無いな。
 あの見事な造形の龍を崩してしまうのは忍びないが、しょうがない。
 遊びはここまでだ。

「ビーム×10」

「んぎゃぁぁぁぁっ」

 毛竜の口から発射される超速の光線。
 10発のビームによって砂龍は跡形も無く吹っ飛ぶ。
 僕は一緒に吹っ飛んでいるソロモン・オルマを素早く毛魔法の触手によって絡め取り、魔力を吸い取って無力化した。

「ぐへっ……」

「捕獲完了」

 よし、帰ろう。

「ま、待て。待たんか!ソロモン、何を寝ておるんじゃ!儂の世界征服の野望はどうなる!?」

 だらしない腹の軍関係者は毛竜に縋り付いて涙を流す。
 何を言っているんだか。
 世界征服なんて言っているのは、世界がどれほど大きなものなのか知らないからなのだろうか。
 それとも本当にこの大きな世界をすべて自分の物にできると思っているのか。
 僕には世界が自分の物になるということが具体的にどういうことなのか分からない。
 地球人類すべてが僕に従うということか?
 それとも地球すべての土地が僕の物になるということか?
 地球にあるすべての国が僕に従うということか?
 たぶんこの男もどういうことなのかよく分かっていないのではないだろうか。
 アホらしいことを考えてしまった。
 僕は毛竜を魔力に変換する。
 巨大な黒竜は跡形も無く消え失せ、縋り付いていた軍関係者がどさりと地面に倒れる。

「じゃあ、僕はもう行くんで……」

「ま、待ってくれ。頼む。お願いじゃ。そうじゃ、金、金をやろう。いくらでもやる。世界が手に入れば半分貴様にやってもいい。儂の部下にならんか?」

「いや、そういうのいいんで……」

「な、なぜじゃ……」

「なぜって、世界なんて自分の物にしてどうするんです?名前でも書いて大事に取っておくんですか?」

「それは……」

「じゃあそういうことで……」

 僕はバラライカを召喚して飛び乗った。
 毛魔法で拘束されたソロモン・オルマはぶらんとぶら下がった。
 ちょっとの間、そこで我慢してくれ。




「ごほっ、ごほっ。あれ、俺、生きてる?なんか妙ちきりんな死神に殺されて巨鳥に運ばれる夢見てたみたいだな……。ここどこだ?」

「起きた?」

「のわぁぁぁっ死神!!」

 死神とは失礼な。
 あんたのほうがよっぽど死神みたいな風貌でしょうが。

「よぉ、ソロモン。10日ぶりくらいだな」

「ちっ、ジャーハル。ここはB国軍の基地ってわけかよ。そいつ雇ったのはてめーらか」

「まあな。うちの人間じゃねーが、訳あって一時同盟関係を組んでてな。国同士じゃねえぜ。個人的にだ」

「で、俺はどうすればいい」

「話が早くて助かるぜ。おとなしくしててくれれば高級ホテルのスイートルームでひと月ばかりのバカンスだ。うちの国の上層部とそっちの国の良識派が上手く話をまとめれば国に帰れるぜ」

「そうか。ま、休暇だと思って楽しませてもらうぜ」

「逃げたらまたこいつに依頼するからな」

「逃げねーよ」

 僕としては逃げてくれたほうがまたお金が稼げるから都合がいいのだけどね。
 ちらりとその悪人面を一瞥すると、すごく嫌そうに顔を顰められた。
 
「クロード、助かったぜ。これで撤退がスムーズに進められそうだ。まあこいつが居なくなれば軍幹部の暴走も止まってすぐに戻ってくることになりそうな予感もするがな」

「大変だね、軍人も」

「まあな。それで約束の成功報酬だが、ここには20億なんて額の円は置いてない。向こうの基地で受け取ってくれ」

 向こうの基地というと、お嬢様が僕たちの帰りを待ってくれている基地のことだな。
 お嬢様からも成功報酬を貰わなければいけないし、早く帰りたいな。

「僕はもうお嬢様の元に向かってもいいかな?」

「ん?ヘリに乗っていかないのか?」

「ああ、僕はあの鳥で帰るから。お気遣い無く」

「そうか。わかった。じゃあ向こうにはそのように連絡しておく。くれぐれも鳥には攻撃しないようにとな」

 これアフリカンジョークなんだろうか。
 ニカッと白い歯を煌かせてサムズアップしているジャーハル。
 僕はははは、と軽く笑っておいた。





「あっ、クロードさんっ。そ、そこはっ、違いますっ」

「くっ、ごめん」

「あっ、ああっ、もっと奥っ。違いますっ、もっと手前っ、そこ!」

「き、きついっ」

「ああっ、ダメですっ。私、もうっ、ああぁっ」

 バタン。
 力なく二人重なり合うように倒れこむ僕とお嬢様。

「はぁはぁはぁ、結構疲れたね。ちょっと休憩しようか」

「そ、そうですね……」

 2人しか居ない室内は、不思議な静寂に包まれる。
 
「クロードさん。でも、よろしかったのですか?」

「なにが?」

「いえ、成功報酬のことです。現地はかなり危険な状況だったと社員たちから聞き及んでおります。こんな、わ、私なんかと……」

「僕はお嬢様が良かったんだ」

「でも、そんな、私なんかと…………ツイスターゲームをするだけでよかったのですか?」

 お嬢様と僕の下に敷かれているのは、おなじみの色とりどりの円が描かれたシートだ。
 僕は今回の成功報酬に、お嬢様とツイスターゲームがしたいとお願いした。
 お嬢様はきょとんとした顔で了承してくれた。
 無理な体勢を取るたびにお嬢様は艶めかしい顔で喘ぎ、身体と身体が触れ合う。
 正直言って最高の報酬だと思う。

「僕は友達とツイスターゲームなんてしたことなかったからね。楽しいよ」

「そうですか。実は私もなんです。楽しいですよね。うふふ。じゃ、再開しましょうか」

 お嬢様はニコニコしながらルーレットを回した。
 至福の時間が再開される。
 死ぬときはお嬢様のお尻に押し潰されて死にたいな。
 僕は本気でそんな馬鹿なことを思ったのだった。


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