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139.火竜王インフィニティ
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『た、助けてください……』
「なに?声が小さくて聞こえないんだけど。もっとはっきり言ってくれる?」
『生意気言ってすみませんでした。お願いします。助けてください。このままではせっかく生き返ったのに、死んでしまいます』
目の前に横たわり、みっともなく助命を懇願する火竜王。
最初は強気なことを言っていたのだけれど、マナドレインで魔力をすべて吸い取ってあげたらなんかしおらしくなった。
真・ドラゴンブレスや真・竜爪撃は魔力を使用しないスキルのようだけど、何度やっても僕に跳ね返されて自分が酷い目にあうから諦めたみたいだ。
あとは口の中に向けて何度もビームを放ってあげたら泣いて謝ってきた。
どうやら火竜王は人化スキルのレベルを全く上げていなかったようで、氷竜王のように人化して傷を癒すという手段が取れない。
ビーム連発で体内に怪我を負ったのか、たまに血を吐いて苦しんでいる。
鑑定で見たら火竜王は回復魔法スキルを持っているけれど、僕が回復するそばからマナドレインで魔力を吸い取っているので自力回復も不可能。
このままでは死んでしまうので助けてくれと、プライドをかなぐり捨てて泣きじゃくっているのだ。
「助けてあげてもいいけど、もう暴れない?僕の下僕になる?」
『暴れません。誓って暴れません。下僕にもなります。お願いします。命だけは助けて下さい』
僕はしょうがなくマナドレインをやめる。
火竜王はドラゴン特有の魔力回復の早さであっという間に魔力を回復させ、自身の傷を回復魔法によって癒す。
『はぁはぁ、助かった……』
火竜王はもはや身体を起こす気力も無いのか、無様に地面に横たわったままでただひたすらに涙を流す。
なんだか僕が弱いものいじめをしているみたいだ。
確かに火竜王は氷竜王よりも弱いけどね。
氷竜王は僕の反転魔法がすべての力を反転する類のスキルであることを悟って、ほとんど近接戦を挑んでこなかった。
しかしこの馬鹿ドラゴンは何度跳ね返されても真・竜爪撃を放ってきた。
その度に自分の腕がズタズタになるのに。
真・ドラゴンブレスも氷竜王は僕を直接狙わないようにしていたが、火竜王は直接狙ってきた。
そして跳ね返されていた。
全体的に戦闘が拙い印象のあるドラゴンだったな。
「じゃ、僕の下僕になってね」
僕は使役魔法を撃ち込んだ。
火竜王は全く抵抗することなく契約は結ばれた。
改めて火竜王を鑑定する。
固有名:火竜王インフィニティ
種族:レッドドラゴン(変異種)
スキル:【火魔法lv10】【土魔法lv10】【雷魔法lv10】【回復魔法lv10】【身体強化lv10】【視力強化lv10】【嗅覚強化lv10】【高速飛行lv10】【爪硬化lv10】【炎熱耐性lv10】【雷耐性lv7】【氷冷耐性lv7】【竜眼】【念話】【火炎ブレスlv10】【スキル吸収】【スキルオーブ作成(4)】【真・竜爪撃lv10】【真・ドラゴンブレスlv10】
気になるスキルは2つだけ。
【スキル吸収】と【スキルオーブ作成(4)】だ。
「この2つのスキルはどんなスキルなの?」
『え?この2つですか?スキル吸収は食った生き物の持っていたスキルをすべて吸収できるスキルですね。レベルのあるスキルは1になっちゃうんですけど。そしてスキルオーブ作成は自分の持ってるスキルをどれでも一つスキルオーブにすることができるんです。自分のスキルは無くなっちゃいますけど。このスキルは回数が限られてて、あと4回しか使うことができないんです。本当は5回あったんですけど、おれさm……僕が生き返るために1回使っちゃったんで』
スキル吸収は荒野にいたスライムが持っていたものと同じもののようだ。
スキルオーブ作成はすごいスキルだと思うけど、回数制限があるのか。
それにしても生き返るために1回使ったとはどういうことなのか。
「どうやって生き返ったの?」
『元々僕は【召喚術(レッドドラゴン×100)】というスキルを持っていたのですが』
氷竜王も持っていたスキルだ。
竜王というのは似通ったスキル構成になるものなのかもしれない。
『そのスキルをスキルオーブにするときに、ちょっといじって自分を名指しで召喚できるようにしてみたんですよ。やってみたらできたので、いざというときのために巣に隠しておいたんです。僕って強いじゃないですか。だから負けるはずないって思ってたんですけど、勇者が来て負けちゃって。備えが役に立ちましたよ。まさかこんなに長い間あんな退屈な世界に繋ぎ止められるとは思いませんでしたけど』
なるほどな。
死した後、そのスキルオーブを使って自分を召喚するものがいればあの世からでも召喚されるかもしれない。
それに賭けたわけだ。
そして賭けに勝った。
後は自分をあの世に送還することのできる邪魔な召喚主を消せば完璧だったわけだ。
それにしても、こんなチートドラゴンに僕はよく勝てたな。
それほど苦労した覚えは無いのだけれど、なんでだろう。
「なんで君はスキル吸収なんていうスキルを持っているのに、そんなにスキルが少ないの?」
『え、スキル吸収ですか?普段使わないですよそんなスキル。だって僕、強くないですか?これ以上スキルとかいらないと思うんですよ』
何で神はこんな馬鹿にそんなチートスキルを与えたのか。
これもバグか?
僕よりも前に世界を渡ったという勇者の起こしたバグかもしれない。
それもこれも勇者が子供を94人も作ったせいだ。
まったく羨ましい。
「ちょっとそのスキル僕に頂戴よ」
『え、スキル吸収ですか?いいですけど。こんなスキルいらないですし。だって僕強いじゃないですか』
「ああ、はいはい強いね。早く頂戴」
『わかりました』
火竜王はその巨大な指先に一つのスキルオーブを乗せて僕に手渡してくる。
まさかこんなに簡単にくれるとは思わなかった。
僕はそのスキルオーブを恐る恐る手に取った。
これはアイテムボックスに入れておいて、暇なときにじっくり遊ぶとしよう。
何か忘れているような気がする。
まあいいか、思い出せないということは大したことじゃないということだ。
「なに?声が小さくて聞こえないんだけど。もっとはっきり言ってくれる?」
『生意気言ってすみませんでした。お願いします。助けてください。このままではせっかく生き返ったのに、死んでしまいます』
目の前に横たわり、みっともなく助命を懇願する火竜王。
最初は強気なことを言っていたのだけれど、マナドレインで魔力をすべて吸い取ってあげたらなんかしおらしくなった。
真・ドラゴンブレスや真・竜爪撃は魔力を使用しないスキルのようだけど、何度やっても僕に跳ね返されて自分が酷い目にあうから諦めたみたいだ。
あとは口の中に向けて何度もビームを放ってあげたら泣いて謝ってきた。
どうやら火竜王は人化スキルのレベルを全く上げていなかったようで、氷竜王のように人化して傷を癒すという手段が取れない。
ビーム連発で体内に怪我を負ったのか、たまに血を吐いて苦しんでいる。
鑑定で見たら火竜王は回復魔法スキルを持っているけれど、僕が回復するそばからマナドレインで魔力を吸い取っているので自力回復も不可能。
このままでは死んでしまうので助けてくれと、プライドをかなぐり捨てて泣きじゃくっているのだ。
「助けてあげてもいいけど、もう暴れない?僕の下僕になる?」
『暴れません。誓って暴れません。下僕にもなります。お願いします。命だけは助けて下さい』
僕はしょうがなくマナドレインをやめる。
火竜王はドラゴン特有の魔力回復の早さであっという間に魔力を回復させ、自身の傷を回復魔法によって癒す。
『はぁはぁ、助かった……』
火竜王はもはや身体を起こす気力も無いのか、無様に地面に横たわったままでただひたすらに涙を流す。
なんだか僕が弱いものいじめをしているみたいだ。
確かに火竜王は氷竜王よりも弱いけどね。
氷竜王は僕の反転魔法がすべての力を反転する類のスキルであることを悟って、ほとんど近接戦を挑んでこなかった。
しかしこの馬鹿ドラゴンは何度跳ね返されても真・竜爪撃を放ってきた。
その度に自分の腕がズタズタになるのに。
真・ドラゴンブレスも氷竜王は僕を直接狙わないようにしていたが、火竜王は直接狙ってきた。
そして跳ね返されていた。
全体的に戦闘が拙い印象のあるドラゴンだったな。
「じゃ、僕の下僕になってね」
僕は使役魔法を撃ち込んだ。
火竜王は全く抵抗することなく契約は結ばれた。
改めて火竜王を鑑定する。
固有名:火竜王インフィニティ
種族:レッドドラゴン(変異種)
スキル:【火魔法lv10】【土魔法lv10】【雷魔法lv10】【回復魔法lv10】【身体強化lv10】【視力強化lv10】【嗅覚強化lv10】【高速飛行lv10】【爪硬化lv10】【炎熱耐性lv10】【雷耐性lv7】【氷冷耐性lv7】【竜眼】【念話】【火炎ブレスlv10】【スキル吸収】【スキルオーブ作成(4)】【真・竜爪撃lv10】【真・ドラゴンブレスlv10】
気になるスキルは2つだけ。
【スキル吸収】と【スキルオーブ作成(4)】だ。
「この2つのスキルはどんなスキルなの?」
『え?この2つですか?スキル吸収は食った生き物の持っていたスキルをすべて吸収できるスキルですね。レベルのあるスキルは1になっちゃうんですけど。そしてスキルオーブ作成は自分の持ってるスキルをどれでも一つスキルオーブにすることができるんです。自分のスキルは無くなっちゃいますけど。このスキルは回数が限られてて、あと4回しか使うことができないんです。本当は5回あったんですけど、おれさm……僕が生き返るために1回使っちゃったんで』
スキル吸収は荒野にいたスライムが持っていたものと同じもののようだ。
スキルオーブ作成はすごいスキルだと思うけど、回数制限があるのか。
それにしても生き返るために1回使ったとはどういうことなのか。
「どうやって生き返ったの?」
『元々僕は【召喚術(レッドドラゴン×100)】というスキルを持っていたのですが』
氷竜王も持っていたスキルだ。
竜王というのは似通ったスキル構成になるものなのかもしれない。
『そのスキルをスキルオーブにするときに、ちょっといじって自分を名指しで召喚できるようにしてみたんですよ。やってみたらできたので、いざというときのために巣に隠しておいたんです。僕って強いじゃないですか。だから負けるはずないって思ってたんですけど、勇者が来て負けちゃって。備えが役に立ちましたよ。まさかこんなに長い間あんな退屈な世界に繋ぎ止められるとは思いませんでしたけど』
なるほどな。
死した後、そのスキルオーブを使って自分を召喚するものがいればあの世からでも召喚されるかもしれない。
それに賭けたわけだ。
そして賭けに勝った。
後は自分をあの世に送還することのできる邪魔な召喚主を消せば完璧だったわけだ。
それにしても、こんなチートドラゴンに僕はよく勝てたな。
それほど苦労した覚えは無いのだけれど、なんでだろう。
「なんで君はスキル吸収なんていうスキルを持っているのに、そんなにスキルが少ないの?」
『え、スキル吸収ですか?普段使わないですよそんなスキル。だって僕、強くないですか?これ以上スキルとかいらないと思うんですよ』
何で神はこんな馬鹿にそんなチートスキルを与えたのか。
これもバグか?
僕よりも前に世界を渡ったという勇者の起こしたバグかもしれない。
それもこれも勇者が子供を94人も作ったせいだ。
まったく羨ましい。
「ちょっとそのスキル僕に頂戴よ」
『え、スキル吸収ですか?いいですけど。こんなスキルいらないですし。だって僕強いじゃないですか』
「ああ、はいはい強いね。早く頂戴」
『わかりました』
火竜王はその巨大な指先に一つのスキルオーブを乗せて僕に手渡してくる。
まさかこんなに簡単にくれるとは思わなかった。
僕はそのスキルオーブを恐る恐る手に取った。
これはアイテムボックスに入れておいて、暇なときにじっくり遊ぶとしよう。
何か忘れているような気がする。
まあいいか、思い出せないということは大したことじゃないということだ。
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