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140.ペカーリ視点(後半主人公視点)
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こんなはずではなかった。
こんなはずではなかったのだ。
またいつものようにアイスナーが変なことをしたのかと思った。
彼女が魔法を使うといつも変なことが起こる。
私は才能の無い人間と貧乏人が死ぬほど嫌いなんだ。
彼女はそのどちらにも当てはまる私の大嫌いな人間だ。
その彼女が呼び出した使い魔、あれがすべての元凶だ。
クロージャー家の三男から聖剣を奪うわ、あのような恐ろしいドラゴンを呼び出してどこかに行ってしまうわ、いったいなんだというんだ。
「ペカーリ君、それで彼はどこに?」
「それが、ドラゴンと共にどこかに行ってしまったようでして……」
「どこかってどこだね?」
「わかりません。ドラゴンと戦っていたようでしたので、戦いやすい広い場所に向かったのだと思いますが」
「君、それくらい追跡するとか色々あるでしょうが」
「は、はい。すみません」
この老害はまったくわかっていない。
あのドラゴンの恐ろしさを。
口から火を吐くのだぞ。
それに空を飛んで移動するドラゴンを追跡できるわけがない。
あの使い魔は鳥のような魔物を召喚して付いていったようだが。
いったいいくつのスキルを持っているというのか。
恐ろしい。
ドラゴンもあの使い魔も恐ろしくてとてもではないが追跡しようとも思わない。
この老害はあの生き物たちを直接目にしたことがないから勝手なことが言えるのだ。
早く職を辞して田舎にでも帰ればいいのにまったく。
そうすれば私が次の学園長に違いない。
「私は思ったのだがね、その彼は人の姿に変身したドラゴンなのではないかね」
「は?どこからどう見ても人間のようでしたが」
「そりゃ変身しているんだから人間に見えるに決まってるでしょ。君は彼がたくさんスキルを使っているところを見たんでしょ。そんな人間いると思う?ドラゴンを召喚したのだって部下を召喚したのかもしれないし。たまたま手のかかる部下だったから先輩ドラゴンとして指導しているのかも」
「そ、そうでしょうか。私には本気で戦っていたようにしか……。それにアイスナーが触媒として使ったのは森で拾った魔物の羽だったとの話ですが」
「その羽がドラゴンの身体の一部だった可能性もあるということだよ。まあそんなことはどうでもいいじゃないか。肝心なのは彼がたくさんスキルを持ったすごい存在だということだよ。君あれだよね。ちゃんと彼に私たちの誠意を伝えてくれたよね」
「はい?あの、誠意というのは……」
「だからちゃんとヨイショしておいてくれたのかって聞いてるんだよ。物分かりが悪いな君は。へそを曲げられたらたまらないからね。彼と彼の召喚主であるアイスナー君だったかな、彼女のことは特別待遇でもてなしてくれたんだよね?」
私の額を一筋の汗が流れ落ちる。
はて、私は彼になんと言っただろうか。
彼の召喚主である彼女はすべての責任を取って懲罰房に入れられている。
光の入らない独房に一昼夜閉じ込められる学生に一番恐れられている罰だ。
当初はクロージャーの奴隷にでもしてしまおうと思っていたが、使い魔の彼が怖くて中途半端な罰にしたのが幸いしたか。
落ち着け私。
彼女は今懲罰房から出せばまだもみ消せる。
まだ懲罰房に入れてから2時間くらいだからな。
アイスナーは貧乏人だから金貨でも渡せば機嫌を直すことだろう。
問題は使い魔の彼だ。
そもそも彼がドラゴンを召喚したのは私たちとの口論が原因ではなかっただろうか。
ではあのドラゴンは私にけしかけるために?
終わったな。
短い人生だった。
「ペカーリ君?どうしたのかね?すごい顔色悪いけど。あれだよね、失礼とかしてないよね?」
「は、ははは、はい」
「君その顔大丈夫って顔じゃないよ!?なにしたんだね?」
「そ、それが……」
私はもうどうでもよくなって、学園長に私とクロージャーが彼とアイスナーにしてしまったことを話した。
もう関係ないかな。
だってみんな死ぬんだから。
「ば、馬鹿なのかね君は!!そ、そんな……。とにかくアイスナー君を懲罰房から出すんだ!!彼の頬に契約紋が浮かんでいたのであれば、彼女は彼と正式に契約しているということだ。ドラゴンに契約魔法が与える命令なんて効果あるかは分からないが、なんとか謝って彼の怒りを鎮めてもらうんだ」
「は、はい!今すぐに!!」
私は懲罰房に走った。
竜王には環境変化というスキルがあるようだから、僕は周りに被害を与えないように町から離れた場所で戦っていた。
しかしよく考えてみたら状況を打開するために火竜王を召喚したのに、肝心のマヤを置いて町を離れてしまった。
今更ながら心配だ。
あのマル……マールフェイトというやつにエロいことをされてないかな。
僕は火竜王を急かして学園に急ぐ。
火竜王は風魔法スキルを持っていないから乗り心地がいまいちだな。
急ぎたいのにスピードを出せば僕が吹き飛ばされてしまうというジレンマ。
「あ、もうこのへんでいいや」
『え、いいんですか?』
「ああちょっと乗り換えるから。もう帰っていいよ」
僕は火竜王を送還してガルーダを召喚する。
『ちょっ、まって、いやだぁぁっ』
あ、そうか。
火竜王は送還したらあの世に逆戻りしちゃうんだった。
まあいいか、また今度改めて召喚してあげれば。
ガルーダに乗り換えた僕は学園に急いだ。
やっぱり火竜王とは大違いでガルーダは快速で飛んだ。
風魔法のおかげで風も当たらないし、火竜王には今度絶対風魔法を覚えさせよう。
やがて学園が見えてくる。
どうやら火竜王が破壊した校舎を、職員の人たちが片付けているようだ。
心情的には謝りたくないけど、全く関係ない職員の人たちには少しだけ罪悪感があるな。
でも僕は悪くないと思うんだよ。
あのツルッパゲとマル……マールフェイトが悪いよ。
マヤはどこにいるのかな。
なんか頬のタトゥがビリビリして、なんとなくマヤの居る方向が分かるんだよね。
たぶんあっちだな。
僕はガルーダを送還して学園の中を走り出す。
廊下は走っちゃいけないと思うけど、今は緊急事態なんだ。
僕は廊下を走り抜け、突き当たりのドアを開けた。
「マヤ!だいじょ……うぶそうだね」
「あ、クロードさん!」
マヤは柔らかそうなソファーに座ってトロピカルジュースを飲んでいた。
いや、それだけではない。
綺麗なお姉さん方が肩を揉んだり団扇で扇いだり献身的に尽くしている。
いったいこれはどういう状況なのかな。
こんなはずではなかったのだ。
またいつものようにアイスナーが変なことをしたのかと思った。
彼女が魔法を使うといつも変なことが起こる。
私は才能の無い人間と貧乏人が死ぬほど嫌いなんだ。
彼女はそのどちらにも当てはまる私の大嫌いな人間だ。
その彼女が呼び出した使い魔、あれがすべての元凶だ。
クロージャー家の三男から聖剣を奪うわ、あのような恐ろしいドラゴンを呼び出してどこかに行ってしまうわ、いったいなんだというんだ。
「ペカーリ君、それで彼はどこに?」
「それが、ドラゴンと共にどこかに行ってしまったようでして……」
「どこかってどこだね?」
「わかりません。ドラゴンと戦っていたようでしたので、戦いやすい広い場所に向かったのだと思いますが」
「君、それくらい追跡するとか色々あるでしょうが」
「は、はい。すみません」
この老害はまったくわかっていない。
あのドラゴンの恐ろしさを。
口から火を吐くのだぞ。
それに空を飛んで移動するドラゴンを追跡できるわけがない。
あの使い魔は鳥のような魔物を召喚して付いていったようだが。
いったいいくつのスキルを持っているというのか。
恐ろしい。
ドラゴンもあの使い魔も恐ろしくてとてもではないが追跡しようとも思わない。
この老害はあの生き物たちを直接目にしたことがないから勝手なことが言えるのだ。
早く職を辞して田舎にでも帰ればいいのにまったく。
そうすれば私が次の学園長に違いない。
「私は思ったのだがね、その彼は人の姿に変身したドラゴンなのではないかね」
「は?どこからどう見ても人間のようでしたが」
「そりゃ変身しているんだから人間に見えるに決まってるでしょ。君は彼がたくさんスキルを使っているところを見たんでしょ。そんな人間いると思う?ドラゴンを召喚したのだって部下を召喚したのかもしれないし。たまたま手のかかる部下だったから先輩ドラゴンとして指導しているのかも」
「そ、そうでしょうか。私には本気で戦っていたようにしか……。それにアイスナーが触媒として使ったのは森で拾った魔物の羽だったとの話ですが」
「その羽がドラゴンの身体の一部だった可能性もあるということだよ。まあそんなことはどうでもいいじゃないか。肝心なのは彼がたくさんスキルを持ったすごい存在だということだよ。君あれだよね。ちゃんと彼に私たちの誠意を伝えてくれたよね」
「はい?あの、誠意というのは……」
「だからちゃんとヨイショしておいてくれたのかって聞いてるんだよ。物分かりが悪いな君は。へそを曲げられたらたまらないからね。彼と彼の召喚主であるアイスナー君だったかな、彼女のことは特別待遇でもてなしてくれたんだよね?」
私の額を一筋の汗が流れ落ちる。
はて、私は彼になんと言っただろうか。
彼の召喚主である彼女はすべての責任を取って懲罰房に入れられている。
光の入らない独房に一昼夜閉じ込められる学生に一番恐れられている罰だ。
当初はクロージャーの奴隷にでもしてしまおうと思っていたが、使い魔の彼が怖くて中途半端な罰にしたのが幸いしたか。
落ち着け私。
彼女は今懲罰房から出せばまだもみ消せる。
まだ懲罰房に入れてから2時間くらいだからな。
アイスナーは貧乏人だから金貨でも渡せば機嫌を直すことだろう。
問題は使い魔の彼だ。
そもそも彼がドラゴンを召喚したのは私たちとの口論が原因ではなかっただろうか。
ではあのドラゴンは私にけしかけるために?
終わったな。
短い人生だった。
「ペカーリ君?どうしたのかね?すごい顔色悪いけど。あれだよね、失礼とかしてないよね?」
「は、ははは、はい」
「君その顔大丈夫って顔じゃないよ!?なにしたんだね?」
「そ、それが……」
私はもうどうでもよくなって、学園長に私とクロージャーが彼とアイスナーにしてしまったことを話した。
もう関係ないかな。
だってみんな死ぬんだから。
「ば、馬鹿なのかね君は!!そ、そんな……。とにかくアイスナー君を懲罰房から出すんだ!!彼の頬に契約紋が浮かんでいたのであれば、彼女は彼と正式に契約しているということだ。ドラゴンに契約魔法が与える命令なんて効果あるかは分からないが、なんとか謝って彼の怒りを鎮めてもらうんだ」
「は、はい!今すぐに!!」
私は懲罰房に走った。
竜王には環境変化というスキルがあるようだから、僕は周りに被害を与えないように町から離れた場所で戦っていた。
しかしよく考えてみたら状況を打開するために火竜王を召喚したのに、肝心のマヤを置いて町を離れてしまった。
今更ながら心配だ。
あのマル……マールフェイトというやつにエロいことをされてないかな。
僕は火竜王を急かして学園に急ぐ。
火竜王は風魔法スキルを持っていないから乗り心地がいまいちだな。
急ぎたいのにスピードを出せば僕が吹き飛ばされてしまうというジレンマ。
「あ、もうこのへんでいいや」
『え、いいんですか?』
「ああちょっと乗り換えるから。もう帰っていいよ」
僕は火竜王を送還してガルーダを召喚する。
『ちょっ、まって、いやだぁぁっ』
あ、そうか。
火竜王は送還したらあの世に逆戻りしちゃうんだった。
まあいいか、また今度改めて召喚してあげれば。
ガルーダに乗り換えた僕は学園に急いだ。
やっぱり火竜王とは大違いでガルーダは快速で飛んだ。
風魔法のおかげで風も当たらないし、火竜王には今度絶対風魔法を覚えさせよう。
やがて学園が見えてくる。
どうやら火竜王が破壊した校舎を、職員の人たちが片付けているようだ。
心情的には謝りたくないけど、全く関係ない職員の人たちには少しだけ罪悪感があるな。
でも僕は悪くないと思うんだよ。
あのツルッパゲとマル……マールフェイトが悪いよ。
マヤはどこにいるのかな。
なんか頬のタトゥがビリビリして、なんとなくマヤの居る方向が分かるんだよね。
たぶんあっちだな。
僕はガルーダを送還して学園の中を走り出す。
廊下は走っちゃいけないと思うけど、今は緊急事態なんだ。
僕は廊下を走り抜け、突き当たりのドアを開けた。
「マヤ!だいじょ……うぶそうだね」
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マヤは柔らかそうなソファーに座ってトロピカルジュースを飲んでいた。
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