ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

文字の大きさ
149 / 159
復活のK

1.Kの噂

しおりを挟む
申し訳ありませんが、毎日更新ではありません。
なるべく3日に1回くらいは更新できるように頑張ってみます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
                以下本編
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 近頃、Kと呼ばれるなんでも屋の噂をよく耳にする。
 なんでも屋はなんでも屋でも、おおっぴらに看板を出している便利屋のような商売ではない。
 全うな手段では到底解決できないような困りごとや、個人の力ではどうすることもできないような荒事などを専門に扱っている裏社会のなんでも屋だ。
 汚い依頼でもその日の調子や依頼人の顔や雰囲気、性別で受けたり受けなかったりする気分屋。
 依頼の報酬はどうでもいい頼みごとからとんでもない高額商品、普通に金銭だったりと統一性が無い。
 しかしその依頼達成率は驚くことに100パーセントなのだという。
 どんな依頼でもKに頼めばなんとかなる。
 裏の社会ではそんな噂で持ちきりだ。
 まあその肝心の依頼を受けてもらえるかという部分が運頼みに近い部分があるのだが。

「先輩、その噂って本当なんですかね」

「あ?Kが女好きで、女の依頼人には甘くなる傾向にあるってやつか?」

「そうです。Kって裏社会では有名ななんでも屋なんですよね。お金なんてたくさん持ってるんだから、女が好きならお金で愛人の10人や20人囲めばいいと思うんです」

「あくまで噂は噂だからな。変人の考えることなんぞ俺に分かるかよ。まあでも、あのクソ上司はその噂を信じているようだな」

 Kには様々な噂がある。
 この世のものとは思えないような巨大な鳥を飼っているとか、鎌倉時代から続く忍の一族の生き残りだとか。
 日本政府や財界の大物とも懇意だという噂もあったな。
 そんな超常の力があり権力を持った奴とコネもあるというのに、なぜ裏社会でなんでも屋なんぞやっているのかは分からない。
 だが普通の考え方をする奴ではないということくらいは想像ができる。
 たぶん俺達の常識なんぞ通用しないくらいの変人なのだ。
 女好きだと分かっている変人のところに同じ大学出身である女の後輩を連れてくるようなことはしたくなかったが、上からの命令では俺に抗う力なんてない。
 だが、いざという時は俺の命にかえても可愛い後輩だけは逃がしてみせるさ。
 俺は何度目になるか分からないが、さりげなく腋のホルスターに収まった拳銃を確認した。
 情けないことに腋汗でホルスターがベトベトしてやがる。
 どうやら俺は、自分で思っているよりも緊張しているらしい。
 帰ったら銃を整備に出そう。

「来ませんね、K」

「こんなところで待っていても、俺達はKがどんな奴かすら知らねえからな。女好きっていうからには男なんだろうがよ。明日違う情報屋にでも当たってみるか」

「はい……。ん?子供?」

「おいおい、こんな場所にガキがなんの用だってんだ。補導するか?」

「まあまあ、背伸びしたい年頃なんですよ。お酒を頼まないようなら見逃してあげましょう」

 ここは繁華街の奥まった場所にあるバーだ。
 子供が来ていいような場所ではない。
 だが今は夕食時が終わったくらいの時間帯で、後輩が言うように酒を頼まないならば特段気にする必要もないか。
 そもそも一応警察官ではあるから補導する権限は持ち合わせていても、それは俺達の仕事ではないからな。
 背伸びした子供が安全に店を出るまで軽く見守って、俺達も今日は帰るとするか。

「マスター、ソーセージ盛り合わせと黒ビール」

「あいよ」

「えぇ……何食わぬ顔でお酒注文しましたよ。マスターも普通に出しちゃってますし。明らかに子供なのに」

「しょうがないから所轄に連絡して補導を頼むか」

「一応本人に未成年であることを確認しましょう。さすがに無いと思いますけど、成人している可能性もあります」

「そうだな」

 俺達は店の隅の小さなテーブル席から2人して立ち上がり、焼きたてのソーセージを齧ってビールを流し込む少年に話しかけた。

「ちょっと君、お話いいかな」

「へ、なんですか?」

 まるで何も悪いことなどしているつもりはないという無邪気な顔だった。
 髪や瞳こそ黒いがピンクがかった白い肌は白人のそれだし、その顔立ちは少し彫りが深い。
 日本人ではないのかもしれない。
 しかし日本に来た以上は日本の法律に従ってもらわなければ秩序が保たれない。
 
「君、日本の子じゃないの?日本では飲酒は20歳からしかできないって知ってた?」

「へ?お兄さんたち警察の人ですか?ごめんなさい僕こう見えても今年20歳になったんですよ」

「へー、そうなんだね。じゃあ悪いけど、確認のためにお姉さんたちに在留カードとかパスポートとか身分を証明できるものを見せてもらえないかな」

「へ?ざ、在留カード?パスポート?あ、ああ、あれね、あれはどこにやったんだったかな。どこかいっちゃったかも……」

「そんなわけないでしょ。もしそうなら大変なことだよ?外国人が日本で滞在するには絶対に必要なものだからね」

「あ、あはは、どうしよう……」

 話していて分かったが、この少年、たぶん不法滞在だ。
 パスポートも在留カードも持っていない。
 補導のつもりで声をかけたが、面倒なことになった。
 やはり所轄を呼んですべて任せてしまうのがいいかもしれない。

「南、所轄に連絡してくれ。悪いけど俺達も職務柄、日本の法律を守らない人を見逃すことはできないんだ。ちょっとこれから来るおまわりさんたちと一緒に警察署まで行ってもらうからね。今晩は警察署で過ごしてもらうことになると思うけど、案外悪いところじゃないから安心して欲しい。酒は出ないけどね」

「そ、そんな……。ぼ、僕がまさか逮捕されることになるなんて。そうだ、ちょ、ちょっと知り合いに連絡してもいいですか?」

「うん?まあ何話すのかは横で聞かせてもらうけど……」

「それでいいです」

 このごに及んで、いったいどこに連絡するというのか。
 一緒に日本に入り込んでいる仲間がいるのか?
 そこに連絡して逃げろとか言うつもりなら、即止めなければならない。
 俺は身構えた状態で少年がスマホでどこぞに連絡をとるのを見つめた。

「あ、お母様?もしもし僕だけど。ちょっと今警察に職務質問されちゃって。身分証名できるものを持ってないんだ。ちょっとごめん、持ってきてくれる?そう」

 なんだ?在留カードかパスポートでも持ってきてもらうのか?
 いや、俺の勘ではこいつはそんなもの持ってない気がする。
 だったら何かの隠語なのか?
 こいつお母様とか言ってなかったか?
 怪しいな。
 組織のゴットマザー的な存在のことだったりしないだろうか。

「すみません。ちょっと知り合いがその何とかカードとかパスポートとか持ってきてくれるみたいなんで、ちょっと待っててもらえますか?」

「その知り合いっていう人は、どんな人なんだ?」

「うーん、なんて言ったらいいんだろう。すごい力を持っていて、怖い人?」

 やはり、なんらかの組織の女幹部かボスに近い女性だ。
 これは思わぬ大物を引きずり出してしまったかもしれないな。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

処理中です...