ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

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復活のK

4.おじさんと僕とベルギービール

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 ベルギー、正式名称ベルギー王国は西ヨーロッパに位置する連邦立憲君主制国家なのだという。
 連邦立憲君主制っていう国家体制の意味が分からないって?僕も分からない。

「グギャギャギャ(国内に仲の悪い国民がいるんで、国家主体を分けているんですよ)」

「へー、それで連邦。なんで国民の仲が悪いの?」

「グギャギャギャ(使っている公用語も違いますし、過去に色々あったみたいで)」

「あー、それは仲が悪そうだ」

 言葉の壁っていうのは案外大きいからね。
 分かり合うためにはどちらかの言語に統一するのがいいんだろうけど、どちらも自分たちの言語を捨てたくないと思うんだ。
 どちらも覚えるっていうのが妥協点になりそうだけど、公用語がいくつもあるっていうのもなかなか大変だ。
 日本はアメリカに戦争で負けたけど、マッカーサーが国民全員に英語の習得を課さなくてよかったね。
 そのせいで日本人は海外に出て行くのがちょっと億劫なんだけどね。
 日本語なんてほぼ日本しか使ってないマイナー言語だから。
 僕はユー〇ューブでそのことを学んだ。
 翻訳スキルがあって本当によかった。

「それにしても、テロリストの本拠地があるってことは治安の悪い国なのかな」

「グギャグギャ(水と安全がタダだと思ってるのは日本人だけですからね)」

「それよく聞くね」

「グギャギャギャ(まあ一概には言えないみたいです。外国人向けのエリアは比較的治安がいいですが、やはり地元のギャングなどが集うような場所は治安が良くないですね)」

 テロリストたちのアジトがあるとすれば、そういったアウトローたちのたまり場付近の可能性が高いかな。
 ベルギーへ到着するのはたぶん明日になるだろうから、今のうちに眠っておこうかな。
 日本からベルギーまでは何千キロもあるんだ。
 高速で飛ぶガルーダであっても、6、7時間はかかる。
 僕はフワフワのガルーダの羽毛に身体を預け、しばしの眠りについた。






 ベルギーの首都ブリュッセルからかなり離れた森の中。
 ルクセンブルクに程近いこのあたりなら、ガルーダで降り立ってもそれほど騒ぎにはならない。
 もちろん夢幻魔法を使ってカモフラージュしているから、万に一つも人に見つかる可能性は無いのだけど。
 心情的な問題で、人のいない場所に下りたかった。
 本当に地球は人が多いよね。
 今何人いるんだっけ?

「グギャギャギャ(76億人くらいですかね。四捨五入したら77億人です)」

 77億!?
 これ、地球大丈夫なんだろうか。
 いくら先進国の農業技術が発達していても、限界というものがあるよね。
 でも不思議な話だよ。
 日本はあんなに少子高齢化だとか言われているのに、世界では人間が年々増えている。
 世界にもいつか少子高齢化時代が来るのだろうか。

「考え事は後にするか。仕事しなくちゃ。ゴブ次郎、下調べよろしく」

「グギャ(了解)」

 ゴブ次郎はそのまますっと消えた。
 ゴブ次郎がテロ組織のアジトを調べ終わるまで、僕は観光でもすることにしよう。




「坊主ベルギー人じゃねえな。まあ俺もなんだけどよ。ここはいい国だぜ。なんてったってビールが美味い」

「へー。おすすめは?」

「ピルスナーならこいつ、エールならこいつ、ランビックならこいつかな。まあどれも美味いぜ。ちょっと試していくか?子供なんだからあんまり飲むんじゃねえぞ」

 移民風のおじさんの営む軽食スタンドにて、ベルギービールを楽しむ。
 いいおじさんの屋台に当たったみたいでよかった。
 ベルギーは蒸留酒以外は16歳から飲めるみたいだけど、店によってはミルクを出されて笑われたりしそうだからね。
 そのへんは異世界と同じだ。
 僕は見た目で舐められやすいから、店は選ばないとお酒を出してもらえないんだよね。
 おじさんは3本のビールを取り出し、栓抜きで栓を抜いてくれる。
 ここは軽食スタンドで、お酒を出すお店じゃないからおじさんの私物のビールだろう。
 おじさんは僕のグラスに半分くらいビールを注ぐと、残りをラッパ飲みし始めた。

「かーっうめぇっ、坊主も遠慮せずに飲みな。俺のおごりだぜ。今日はもう店じまいだぜ」

「ありがとう。でもそれだけじゃ申し訳ないからこの売れ残りのサンドイッチも買うよ」

「おう、ありがとうな」

 僕は5ユーロ紙幣を1枚出し、サンドイッチを受け取る。
 今は1ユーロ120円ちょっとだから、5ユーロは600円くらいだろうか。
 サンドイッチはバゲットサンドみたいなやつで、食べ応えがありそうなので妥当な値段だろう。
 僕は受け取ったバゲットサンドを齧ってビールを飲む。
 バゲットサンドはバターの香りのするパンとしゃきしゃきの野菜、炙った厚切りベーコンが挟まっていてとても美味しい。
 ビールは冷えてないから正直微妙だけど、これはこれでありだな。
 キリッとしたキレのある日本のビールとはまた違った味わいがある。
 ビールっていうのは高いものを買えば美味しいわけじゃないから、自分の好みの味を見つけるのが難しいんだ。
 でもこのビールは結構気に入ったかな。

「おじさん、このビールはどこで買えるの?あと他の2本も飲んでみていい?」

「もちろんいいぜ、この3本は俺の知り合いの店に行けば売ってるぜ。俺の名前を出してみな、ちっとはまけてくれるぜ」

「ありがとう。僕はクロード、おじさんの名前は?」

「俺はロッドマン。そう言えばわかるからよ」

「わかった。色々ありがとう」

「坊主も気をつけてな。近頃は、神の言葉を曲解するヤバイ奴等がいるみてえだからな」

 おじさんはそう言って笑顔を浮かべた。
 人の良いおじさんだな。
 でも確かに、気をつけないと。
 なんてったってこの国には、テロリストが巣食っているのだから。






 日没間近のベルギー王国、ブリュッセルのとあるマンションの一室。
 一人の男がスマホを耳にあて、どこかに連絡していた。

「ああどうも、ボスですか?ロッドマンです。へい、まあぼちぼちやってますよ。そっちはうまくいきそうですかい。無神論者のクソ野郎共を、血祭りに上げる算段はつきましたかい?ずいぶんと金を貰いましたからね、失敗はできませんぜ」

「ははは、すいやせん。冗談ですって。ボスが失敗するなんざ一欠片も思っちゃいませんよ」

「へー、そんなに腑抜けた奴が多いんですかいジャパンって国は」

「ええ、こっちは大丈夫です。誰が来ようと、剣の錆にしてやりますぜ」

 男は鞘に入ったままの大剣を持ち上げ、肩に担ぐ。
 それはグレートソードと呼ばれる巨大な剣。
 身の丈ほどもあるその剣は、普通の人間であれば持ち上げることすらできないような代物だ。
 漬物石くらいにしかならないようなそれを男は鞘が付いたまま振り下ろし、床にぶつからないようにピタリと止めた。

「誰であろうと、神の敵は俺の敵だ」

 
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