ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

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復活のK

8.実働部隊のアジト

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 力尽き、人間の姿に戻るおじさん。
 もはやその姿はだた号泣する中年男性でしかない。
 だけど僕はおじさんが油断ならない人間であることを知っている。
 念のために魔力を込めた毛魔法でグルグル巻きにして転がす。

「情けねえな。テロリストのくせに泣き喚いてガキに八つ当たりしてよ」

「そうだね」

「ははっ、言い訳もできねえ」

 おじさんはゴロリと転がり、腹筋だけの力で身体を起こした。
 油断も隙も無いおじさんだ。
 僕は更に毛魔法でグルグルと巻き、転がったら二度と起き上がれないほどの丸みを帯びさせる。

「もう何もできやしねーよ。まったく酷いガキだぜ」

「さっきの鬼になるやつ、1日6回までできるって自分で言ってたじゃん。自慢げに」

「ちっ、調子に乗って失敗したぜ」

 僕はその辺にあった適当な木箱を浮遊スキルで浮かせると、おじさんを乗せて引っぱっていった。





「ひっ、ろ、ロッドマンさんが」

「そんな……ロッドマンさんが負けるなんて」

「嘘だろ」

 アジトで働いていたほとんどの構成員たちは間抜けなダンゴ状になって僕に引きずられるおじさんの顔を見ると顔面蒼白になって抵抗をやめた。
 しかし全員が物分りのいい人たちではない。
 テロリストらしく銃で抵抗した人も当然いた。
 僕は右目の魔眼を発動した。
 今にも銃弾を放とうとしていたテロリストたちは全員白目を剥いて倒れた。
 麻痺の魔眼、使うのは久しぶりだ。
 魔眼は殺生が不味い場面の多いこちらの世界でこそ役に立つスキルだ。
 地味だから普段はあまり使わないけれど、戦うのが面倒なときにはちょうどいいスキルだね。
 加減を間違えると心臓も呼吸もすべてが麻痺してしまう恐ろしいスキルでもあるけれど、僕は久しぶりでもちゃんと加減は間違えていない。
 少し不安だったので脈を確認して口に手を当ててみる。
 大丈夫、死んでない。
 
「テロリストがこんなこと言うのもなんだがよ、そいつらは殺さないでやってくれねえか?」

「いいよ。元々僕は皆殺しに来たわけではないんだ」

 ベルギーという国に死刑は無い。
 捕まっても殺されるようなことは無いだろう。
 ずっと檻の中かもしれないけどね。
 最も普通の犯罪者に対する法律がテロリストに適用されるかどうかは分からない。
 テロリストは問答無用で死刑っていう国もあるからね。
 この人たちは今までそれだけのことをやってきたのだ。
 個人の罪状はまた別かもしれないけれど、今日本に滞在している実働部隊が多くの人を殺してきたのは事実でありこの組織はそういう組織だ。
 どうなるかは分からないけれど、審判はベルギー政府に任せるとしよう。
 多くの国でテロ事件を引き起こしてきたこの組織は、どこの国の法律で裁かれるべきなのかも大きな議論となってくることだろう。
 当然捕まえたベルギーは自国で裁きたいだろう。
 大変なのはこれからかもね。
 僕も東京に戻るとしよう。
 アジトが襲撃されたことが知れれば、日本の実働部隊の構成員たちは力の限り暴れるかもしれない。
 多くの人を巻き込んだ盛大な自殺をすることも考えられる。
 その前に確保しなければならない。
 すでに忍ゴブリンを放ってテロリストたちが潜伏している場所も見つけている。
 いざとなれば忍の者に始末させるだけだが、僕が頼まれたことだから人任せにはあまりしたくないな。
 僕はガルーダに乗り込み、しばしの仮眠をとった。





 奥秩父、住所的には長野県になろうかという深い山中に、日本における奴らのアジトはあった。
 ダミーカンパニーの名義で建てられた豪華な別荘だ。
 ゴブ次郎の夢幻魔法で姿を隠して浸入すると、奴等は昼間から酒を飲んでいた。
 お金を払って呼んだであろう女の子と乳繰り合っている男もいる。
 用が済んだ後女の子がどうなるのかは想像がつく。
 まったくけしからんね。
 もう少し敵を観察してから挑むとしよう。

「なんだてめえは!!」

「ゴブ次郎、勝手に夢幻魔法を解かないでよ」

「グギャギャギャ(8時から見たいテレビがあるんで)」

「そうなんだ、ごめんね」

 ゴブ次郎が見たいテレビ番組には見当がつく。
 おそらくポツンと一〇屋だろう。
 衛星写真で見た山奥にポツンと建つ一軒屋を番組スタッフが訪ねるだけという番組だが、なぜか面白い。
 ゴブ次郎があの番組を毎週欠かさず見ているのを知っている。
 僕も以前はイッ〇Q派だったけれど、ヤラセ騒動があってからポツンと一〇屋に乗り換えたので最近は一緒に見ることも多い。
 僕も見たいので早く終わらせるとしよう。
 
「おいおいおいおい、坊ちゃんここがどこだか分かってるのか?怖ーいおじさんたちの根城だよ?」

「クヒヒヒッ、どうなっちゃっても君の自己責任だよ?なにせ僕たちのアジトに侵入してきたのは君だからね!!僕は君みたいな可愛い男の子のピーをピーして凍らせてピーしながらピーにピーするのが大好きなんだ!!」

 変態がいた。
 変態は殺さなければならない。
 僕は変態目がけてビームを2連射する。 
 細く引き絞ったレーザーみたいなビームだ。
 変態の脳天と胸の真ん中から白い煙が上がり、バタリと倒れる。

「ちっ、能力者だ!!ガウディが一瞬でやられた!!全員警戒厳!!」

「「「イエスサー!!」」」

 テロリストたちは素早く武装を整え、キビキビとした動きで僕を包囲する。
 その動きはまるで軍隊のようだ。
 元軍人がいるのかもしれない。
 軍で学んだことをテロに活かすとはなかなかイカれたキャリアアップじゃないか。
 まあ銃を持って包囲している奴等は特に警戒に値しない。
 僕はテロリスト共を片っ端から鑑定していった。 
 
固有名:ビリー・カーチス
種 族:人間
スキル:【死霊魔法lv6】【召喚術(ワイバーン)】

 また変わったスキル構成の奴がいたもんだ。
 警戒するのはこいつだけでいい。

 
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