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復活のK
9.暴れん坊な忍の者
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死霊魔法とワイバーン召喚という尖ったスキル構成の奴が一人。
その他身体強化などのありふれたスキルを持っている能力者が数人。
尖ったやつ以外は全員スキルレベルが平均して2とか3の雑魚だ。
取るに足らない。
警戒すべきはその尖った奴だけだ。
気になるのは、使役魔法を持っていないことだ。
召喚術スキルは本当に呼び出すだけのスキルだ。
呼び出した魔物が使役魔法によって使役されていなければ、自分もろとも魔物に殺されることになる。
持っているだけで使うことの無い死にスキルなのか、それとも使うつもりのスキルなのか。
使うつもりであるならば、それは自爆攻撃なのではないだろうか。
ワイバーンの1匹2匹なんとかなると思うが、火を噴かれると山火事などの原因になる可能性もあるからね。
「室内でバン君を出すわけにはいかないな。お前たち、なんとかそいつを表に連れ出せ」
「「「はっ」」」
召喚術スキルを持った男が周囲のテロリストたちに命令を出す。
しかしバン君か。
名前からしてワイバーンのことだと思うのだが、召喚術を使うつもりなのか?
それも名前で呼んでいるということは固有名のあるワイバーンだろうか。
そして建物の中であることを気にしているということは自爆攻撃ではない気がする。
自爆攻撃ならば建物の崩落なんてむしろ都合がいいだろう。
死霊魔法というスキルが関係しているのだろうが、聞いたことがないスキルなのでどのようなスキルなのか分からない。
名前から言ってホラーチックな能力のスキルだろう。
敵を舐めているわけではないが、少しどんなスキルなのか気になる。
僕はお望みどおり外に出てあげる。
「なんだあいつ、自分から外に出たぞ?」
「まあいい、チャンスだ。ビリー様」
「ああ。来い、バン君!!」
『グォォォォォォ!!』
見慣れた召喚エフェクトが晴れて出てきたのは、なんとも醜悪な匂いと見た目のワイバーンだった。
身体中の肉が腐り落ちて汚い汁を垂れ流している。
目玉は飛び出ているし、鼻は骨がむき出しになっている。
腐った肉は鼻が曲がりそうな強烈な匂いを放っていた。
「アンデッドか。そうか、それで死霊魔法……」
ワイバーン召喚のスキルで召喚できるのは生きているワイバーンだけではないということか。
死してアンデッドとなったワイバーンも同じスキルで召喚することができる。
そしてあいつはそれを使役するためのスキルを持っていた。
それが死霊魔法。
アンデッドを使役することのできるスキルだったのか。
「少し面白そうなスキルではあるけど、さすがに人間からスキルを奪う気にはなれないな」
火竜王から貰ったスキル吸収のスキルは食べた生き物のスキルを奪うことのできるスキルだ。
それを使えばあのスキルも奪うことができるのだろうけど、そのためには人間を食べなくてはならない。
いくら好き嫌いの少ない僕とはいえ、人肉はさすがに食べたくない。
「ということでそのアンデッドワイバーンは用済みかな。ビーム×10」
バシュバシュと僕の指先から超高温の熱線が走り、ワイバーンを焼く。
アンデッドには光属性の攻撃って相場が決まっているからね。
悪く思わないで欲しい。
『グァァァァァ……』
腐った肉を焼く耐え難い匂いが周囲に立ち込める。
山奥だから騒ぎにはならないと思うけれど、こんな匂いが住宅街で発生したら異臭騒ぎになってしまうよ。
灼熱の熱線によってあっという間にアンデッドワイバーンは焼石灰となった。
畑にでも撒いてあげよう。
成仏しろよ。
「そんな、僕のバン君が……」
「まさかアンデッドワイバーンすらも一瞬で……」
「い、命だけは……」
テロリストといってもこんなものか。
日本に人をたくさん殺しに来たくせに、いざ自分の命が失われる可能性があるとなると命乞いか。
まったく人間というのはたまに嫌になるよ。
「抵抗を辞めれば命までは取らない。だけど警察に捕まれば結局死刑になると思うけどね。どこの国で裁かれるかは分からないけれど、たくさん人を殺したテロリストを死刑以外にする国はあまり多くない」
死刑の是非について今でも世界中で議論がなされているけれど、僕としては別にどちらでもいいと思っている。
死刑の代わりに短い懲役刑だったら納得できないけれど、死刑の代わりとなる刑罰が死ぬまで監獄につながれていることならばどちらでも同じだと思う。
ただ死ぬまで監獄に入れておくのならばその分の食費がかかったりするだろう。
死刑のほうがコストがかからないかなとは思うよ。
「死刑の是非は今はどうでもいいか。日本には死刑がある。実際に執行されることは少ないけどね。日本という国は死刑反対なのか賛成なのかはっきりとしない国だ。案外テロリストが捕まるにはいい国かもしれないよ」
「くそ……」
「死刑は嫌だな」
「だがこの国は執行されないかもしれないってこのガキが言ってたぜ」
「何を言ってやがる。俺は逃げるぜ」
「お、俺もだ!!」
アンデッドワイバーンを瞬殺することで力を示したつもりだったのだけれど、まだ半数くらいは逃亡を選ぶか。
仕方が無い。
「ゴブ次郎」
「グギャ(御意)」
最後の成敗は忍の者の役目と8代将軍徳川吉宗の時代から決まっているんだよ。
「んぎゃぁぁぁっ」
「た、助け……お母さーん!!」
「む、虫、虫が、身体中に、うわぁぁぁぁっ!!」
いったいどんな幻覚を見ているのやら。
その他身体強化などのありふれたスキルを持っている能力者が数人。
尖ったやつ以外は全員スキルレベルが平均して2とか3の雑魚だ。
取るに足らない。
警戒すべきはその尖った奴だけだ。
気になるのは、使役魔法を持っていないことだ。
召喚術スキルは本当に呼び出すだけのスキルだ。
呼び出した魔物が使役魔法によって使役されていなければ、自分もろとも魔物に殺されることになる。
持っているだけで使うことの無い死にスキルなのか、それとも使うつもりのスキルなのか。
使うつもりであるならば、それは自爆攻撃なのではないだろうか。
ワイバーンの1匹2匹なんとかなると思うが、火を噴かれると山火事などの原因になる可能性もあるからね。
「室内でバン君を出すわけにはいかないな。お前たち、なんとかそいつを表に連れ出せ」
「「「はっ」」」
召喚術スキルを持った男が周囲のテロリストたちに命令を出す。
しかしバン君か。
名前からしてワイバーンのことだと思うのだが、召喚術を使うつもりなのか?
それも名前で呼んでいるということは固有名のあるワイバーンだろうか。
そして建物の中であることを気にしているということは自爆攻撃ではない気がする。
自爆攻撃ならば建物の崩落なんてむしろ都合がいいだろう。
死霊魔法というスキルが関係しているのだろうが、聞いたことがないスキルなのでどのようなスキルなのか分からない。
名前から言ってホラーチックな能力のスキルだろう。
敵を舐めているわけではないが、少しどんなスキルなのか気になる。
僕はお望みどおり外に出てあげる。
「なんだあいつ、自分から外に出たぞ?」
「まあいい、チャンスだ。ビリー様」
「ああ。来い、バン君!!」
『グォォォォォォ!!』
見慣れた召喚エフェクトが晴れて出てきたのは、なんとも醜悪な匂いと見た目のワイバーンだった。
身体中の肉が腐り落ちて汚い汁を垂れ流している。
目玉は飛び出ているし、鼻は骨がむき出しになっている。
腐った肉は鼻が曲がりそうな強烈な匂いを放っていた。
「アンデッドか。そうか、それで死霊魔法……」
ワイバーン召喚のスキルで召喚できるのは生きているワイバーンだけではないということか。
死してアンデッドとなったワイバーンも同じスキルで召喚することができる。
そしてあいつはそれを使役するためのスキルを持っていた。
それが死霊魔法。
アンデッドを使役することのできるスキルだったのか。
「少し面白そうなスキルではあるけど、さすがに人間からスキルを奪う気にはなれないな」
火竜王から貰ったスキル吸収のスキルは食べた生き物のスキルを奪うことのできるスキルだ。
それを使えばあのスキルも奪うことができるのだろうけど、そのためには人間を食べなくてはならない。
いくら好き嫌いの少ない僕とはいえ、人肉はさすがに食べたくない。
「ということでそのアンデッドワイバーンは用済みかな。ビーム×10」
バシュバシュと僕の指先から超高温の熱線が走り、ワイバーンを焼く。
アンデッドには光属性の攻撃って相場が決まっているからね。
悪く思わないで欲しい。
『グァァァァァ……』
腐った肉を焼く耐え難い匂いが周囲に立ち込める。
山奥だから騒ぎにはならないと思うけれど、こんな匂いが住宅街で発生したら異臭騒ぎになってしまうよ。
灼熱の熱線によってあっという間にアンデッドワイバーンは焼石灰となった。
畑にでも撒いてあげよう。
成仏しろよ。
「そんな、僕のバン君が……」
「まさかアンデッドワイバーンすらも一瞬で……」
「い、命だけは……」
テロリストといってもこんなものか。
日本に人をたくさん殺しに来たくせに、いざ自分の命が失われる可能性があるとなると命乞いか。
まったく人間というのはたまに嫌になるよ。
「抵抗を辞めれば命までは取らない。だけど警察に捕まれば結局死刑になると思うけどね。どこの国で裁かれるかは分からないけれど、たくさん人を殺したテロリストを死刑以外にする国はあまり多くない」
死刑の是非について今でも世界中で議論がなされているけれど、僕としては別にどちらでもいいと思っている。
死刑の代わりに短い懲役刑だったら納得できないけれど、死刑の代わりとなる刑罰が死ぬまで監獄につながれていることならばどちらでも同じだと思う。
ただ死ぬまで監獄に入れておくのならばその分の食費がかかったりするだろう。
死刑のほうがコストがかからないかなとは思うよ。
「死刑の是非は今はどうでもいいか。日本には死刑がある。実際に執行されることは少ないけどね。日本という国は死刑反対なのか賛成なのかはっきりとしない国だ。案外テロリストが捕まるにはいい国かもしれないよ」
「くそ……」
「死刑は嫌だな」
「だがこの国は執行されないかもしれないってこのガキが言ってたぜ」
「何を言ってやがる。俺は逃げるぜ」
「お、俺もだ!!」
アンデッドワイバーンを瞬殺することで力を示したつもりだったのだけれど、まだ半数くらいは逃亡を選ぶか。
仕方が無い。
「ゴブ次郎」
「グギャ(御意)」
最後の成敗は忍の者の役目と8代将軍徳川吉宗の時代から決まっているんだよ。
「んぎゃぁぁぁっ」
「た、助け……お母さーん!!」
「む、虫、虫が、身体中に、うわぁぁぁぁっ!!」
いったいどんな幻覚を見ているのやら。
応援ありがとうございます!
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