宇宙戦艦でコールドスリープしたけど目が覚めたら異世界だった

兎屋亀吉

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6.射撃性能実験

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 出来上がった私物の武器のレプリカは当然だがピカピカの新品だった。
 傷や塗装の剥げまで再現してくれとは言わないが、なんとなく武器は使用感があったほうがかっこよく見えるのでダメージ加工ぐらいはしてほしかった。
 まあ使い込んで段々と味を引き出していけばいい。

「刃物類は使ってみるまでもないな」

 プラズマブレードと基本的に戦法は変わらない。
 軍で訓練したとおりのナイフ戦闘術で使用すればいい。
 ギラリと光るピカピカの刀身を確認し、シースに戻す。
 
「こっちは少し訓練が必要だ」

 並べられた実弾兵器を一つ一つチェックしていく。
 やはり火薬を使った古い銃は良いものだ。
 さすがにシングルアクションは連射スピードに問題があると思うのだが、大昔の人間たちはこのシングルアクションの銃でさえ射撃技術によって1秒以下の間隔で連射したのだという。
 武器のほうを最適化するのではなく、人間の技術を最適化するというその姿勢が俺は嫌いではない。
 弾丸を放った後自動的に撃鉄が起き引き金を引くだけで次弾が出るのがダブルアクション、撃った後いちいち手動で撃鉄を起こさなければならないのがシングルアクションだ。
 連射性能でいえば確実にダブルアクションに軍配が上がるのだが、このアクションの違いを訓練によって乗り越えようというのが素晴らしいと思う。
 俺はどちらにしようか迷う。
 すべて全自動になっているオートマチックというのも少し現代に近づいた感じがして俺は好きだ。
 簡単には決められないので一度全部撃ってみることにしよう。

「まずはシングルアクションから」

 弾は9ミリ。
 骨董屋でもよく見かける昔はポピュラーだった弾のサイズだ。
 火薬の量や弾頭の形によっても9ミリの中でも種類があるが、これは警察などでも使われていたような一般的な火薬の量で弾頭の先が丸くなったタイプだ。
 実弾兵器は弾が貫通するよりも体内に留まるほうがダメージが大きい。
 この弾は先を丸くして貫通力を落とし、ダメージを与えることを目的とした弾というわけだ。
 俺は先の丸くなったその弾をリボルバーの回転弾倉に込めていく。
 6発でいっぱいになった。
 込められる弾数が少なく感じる。
 6発なんてすぐになくなってしまうと思うんだがな。
 耳当てとゴーグルをつけ、15メートル先の的を狙う。

「15メートルっていうの意外と遠いな。弾が真っすぐ飛ぶのならば当てるのはそれほど難しくないんだけどな」

 ガチリと撃鉄を上げ、引き金を引く。
 耳当てのおかげで減衰されているが、耳をつんざくような銃声が響いた。
 色々と問題点はあるが、ひとまず全弾撃つことを優先する。
 撃鉄を素早く上げ、引き金を撃つ。
 それを自分の中で最適化していく。

「メティス、何秒だった?」

 銃が置かれた台に一緒に置かれた携帯端末に話しかけると、メティスが艦内カメラで見ていた結果を伝えてくれる。

『12.53秒でした。最初の2発は1発につき約3秒。それ以降はどんどん速くなり、最後の1発は1.54秒で発射できていました』

「なるほど、まだまだ先人たちと比べると遅いな」

 命中精度のほうは的の真ん中付近に弾が集中していることからなかなかに悪くない結果だと思うが、いかんせん速さが足りない。
 戦闘はやはり速いものが勝つ。
 一瞬の遅れが死につながるのだ。
 CICの連中が逃げ遅れて爆散したように。
 だが実際に火薬の銃を撃ったのは初めてなのだし、これなら上出来だろうか。

『昔のフィルムで描かれていたのは先人というよりも変人ばかりですから。一生涯をそれに費やすくらいした人たちばかりですよ』

「現実でも1秒以下で撃てた人はいただろうさ。ましてや現代人は遺伝子操作とナノマシンによって反射神経や運動能力が桁違いに強化されている。このタイムは完全に俺の努力不足だよ」

 まあ技術は使っていくうちに習熟していくだろう。
 次はダブルアクションを撃ってみよう。
 使う弾は同じ。
 こちらも回転弾倉だ。
 いわゆるリボルバーと呼ばれる銃。
 弾数は相変わらず6発。
 違いは自動で撃鉄が起きるということだけだ。
 その分構造も少しだけ複雑になっており整備性や耐久力は完全にシングルアクションのほうが優れているが、そんなに過酷な状況で使うことを想定していないのであまり関係はない。
 過酷な状況だったら普通に軍用の現代兵器を使う。
 骨董品を使っているのはただの趣味のようなものなのだ。

「肝心の連射性能はどうだろうか」

 回転弾倉をはめ込み、撃鉄を起こす。
 ダブルアクションのリボルバーはこれだけで弾が空になるまで引き金を引くだけで撃つことができる。

「また連続で撃つ」

『了解しました』

 俺はできる限り素早く引き金を連続で引き続けた。
 発砲音が断続的に響く。
 装弾数は6発なのですべて撃ち尽くすのはあっという間だ。

「何秒だった」

『5.82秒です』

「圧倒的にダブルアクションのほうが速いな」

 撃鉄を手で起こすアクションが無いので銃身がブレず、命中精度が先ほどよりも高くなっている。
 だが相変わらず装弾数は少なく感じてしまう。
 何百発も撃ち続けられるレーザーガンに慣れている現代人には6発は少なすぎる。
 最低でも10発は欲しい。
 やはりオートマチックだろうか。
 しかし古い映画などでオートマチックの銃を使っているキャラクターはいわゆるかませ役が多い。
 連射すると誤作動を起こすことが多かったり、早撃ちでシングルアクション拳銃を使う主人公に圧倒されたりだ。
 一番最後まで火薬の拳銃を作っていたメーカーの実験データにはそんなにデメリットは書かれていなかったから、おそらく武器の世代にもよるのだろうがな。

「俺の武器はメティスが製造しているから問題ないと思うんだけどな」

『大事なときにジャムる武器なんて危なすぎますからね。映画のようなことは起こらないと思いますよ』

 ジャムる確率が低いならオートマチックも悪くない。
 俺は先ほどと同じ弾をオートマチック拳銃の弾倉に込めていく。
 オートマチックは弾倉が分離しているタイプが多い。
 あらかじめ弾を込めておいた弾倉を取り換えることでリロードをすることができ、リボルバーより圧倒的に弾込めが早く済む。
 その分事前準備は大変だけどな。
 全部で15発の弾を弾倉に込め、スライドを引いて弾を装填した。
 オートマチックはこれだけで15発の弾を連続で撃つことができる。

「ん?この銃、フルオート機能なんて付いていたか?」

『付けました。便利かと思いまして』

「確かに便利だが……」

 フルオートとは引き金を引いている間ずっと弾が連射される仕組みだ。
 そんな機能を使ってリボルバーと全弾早撃ち勝負をするのは卑怯な気もするのだが、残念なことに俺はフルオート機能の付いた拳銃が大好きなのだ。

「一応タイムを計ってくれ」

『了解しました』

 安全装置を外し、つまみをセミオートからフルオートに変更。
 引き金を引いた。
 ほとんど間が開かない銃声が鳴り響いた。

「タイムは?」

『1.59秒です』

 俺の装備はオートマチック拳銃に決まった。


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