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1.貧すれば鈍する
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合理的な人間の生き方とはなんだろうか。
そもそも人間は非合理的な生き物だ。
人間が生きている限り環境は破壊され、地球は汚染される。
人間がこのまま増え続ければやがて地球が滅ぶ日も来るだろう。
地球環境という大きな視点で見れば、人間は死ぬのが一番合理的なのだ。
しかし人間には感情がある。
合理的な選択ばかりを選ぶことはできない。
結局何が言いたいのかといえば……。
「金が無い」
ちょっと生活が危ぶまれるレベルで金が無い。
サバイバルゲームという遊びがある。
大の大人がエアガン片手に本気で走り回って撃ち合う遊びだ。
その遊びには当然エアガンが必要になる。
このエアガンが物によってはフリーターの財布に無茶を課すことがあるのだ。
先日スナイパーライフル型のエアガンが修理できないレベルで破損し、それを買い換えた。
当初の予定ではギリギリ余剰資金で購入できるはずだったのだ。
だが俺がエアガンを購入したのはネットオークションだ。
ネットオークションというのは往々にして終了間際に値段が吊り上ることがあるものだ。
もうそのエアガンを購入する以外の選択肢をすべて塗りつぶしてしまっていた俺は、まんまと対抗して入札してしまった。
あれ、ちょっとこれ高すぎじゃない?と思ったときにはすでに遅かった。
俺以外の入札は止まり、時間が来てしまっていた。
「はぁ、ギリギリひと月分の固定費だけは払えるか……」
手元に残った金は家賃や水道光熱費、インターネット代、携帯電話料金を払って空になるくらいの金額。
だが食費がゼロだ。
貧乏暮らしの長い俺は、1日の食費を100円くらいにまでは抑えることが可能だ。
だが、さすがにゼロでは生きていけない。
「どうしたものか、でもエアガンを売るのは嫌だ」
俺が散財してしまったように、人気のエアガンになればネットオークションやホビーショップなどで高値で取引されることもある。
俺の持っているエアガンの中にも、数万円の値段が付きそうなものはある。
だがそれでは本末転倒ではないか。
「コンビニの廃棄弁当だけではさすがにバイトの無い日が地獄だ」
俺のバイト先はコンビニエンスストアだ。
賞味期限が切れた廃棄する予定の弁当を貰えることがある。
バイトのある日はそれだけを食べて食いつなぐことも可能だろう。
しかしバイトのシフトは週に5日。
週に2日はバイトの無い日がある。
3食廃棄弁当を貰うことはできないだろうから1日1食か2食を廃棄弁当で過ごし、休みの日は絶食。
いけなくは無いかもしれないが、ちょっと人間的な生活からは離れる気がする。
それに栄養面でもコンビニの弁当には問題がある。
コンビニ弁当の多くが脂質と炭水化物の塊だ。
俺は趣味のサバイバルゲームのためにかなり身体を鍛えている。
普段の食事にも気をつけ、バランスのいい筋肉を心がけているのだ。
もしもコンビニ弁当だけで過ごしたら、筋肉量が減って体のバランスが崩れてしまう恐れがある。
日々のトレーニングと身体を作る食事で整えた肉体が栄養不足で衰えてしまうのは惜しい。
衰えるのは簡単で早いが、鍛えるのは難しくて時間がかかるのだ。
「やっぱり止まり難いインフラ系の支払いをひと月待ってもらうか」
もしくは休みの日に単発のバイトでもするかだ。
1日、2日バイトをすれば卵や鶏胸肉などの良質なたんぱく質を含んだ食材を毎日摂取することができるだろう。
卵にはたんぱく質の他にも人間に必要な栄養素がほとんど含まれている。
貧乏生活には切っても切り離せない食材だ。
「よし、バイトをしよう」
「よろしくお願いします」
「おなしゃっすっ」
「すっ」
「すっ」
「よろしくぅ~」
肉体労働の代名詞とも言える引越しのバイトをすることに決めた俺。
3月は引越し業者の忙繁期だ。
よほど人手不足なのか明日にでも現場に入ってくれというようなバイト先が山ほどある。
俺の他にも大学生風の4人組がバイトに来ていた。
いかにも遊んでそうな男3人女1人の集団だ。
そもそも男3人の中に女1人で一緒に行動するという時点ですでに俺の理解の及ばぬ異人種だ。
俺の知る男と女の関係とは、根本的に距離感が違う。
近未来を見せられている気分だ。
「エイジ、そっち持って」
「おし任せろ」
「ソウタ、ちゃんと力入れてる?」
「入れてるって」
「リク、ちょっと手伝って」
「いいよ」
「サヤカ、サボってんじゃねえ」
「サボってないよぉ」
いつの時代も、名前で呼び合う奴等は勝ち組な気がする。
俺はちょっと遠慮したい距離感だけど。
「やべぇ、和泉さんの筋肉ちょーヤベー。ちょっと触ってみ!」
「ホントだっ、すっごい硬い!!」
お調子者のソウタ君が俺の筋肉を触ってきた。
正直男に触られても気持ち悪いだけだが、必死に鍛えてきたのは間違いないので褒められるのはなんとなく嬉しい気がする。
釣られて触ってきたサヤカちゃんからは香水のいい匂いが香ってくる。
おっさんのくせに若い女の子の色香にやられている。
若者との触れ合いも案外悪くないかもな。
俺の大胸筋に触れるサヤカちゃんの柔らかい手にそう思った。
「あ?なんだこれ」
「ちょっ、なにこれなにこれ!」
「みんななるべく離れないように!!」
「マジか!!これ異世界召喚じゃん!?」
「は?」
今日のバイトも終わり、帰ろうとしていた俺達を襲った不思議な現象。
光源が何もないアスファルトの地面から、光が溢れてくる。
若者たちを包む紫の光。
地面に輝く魔法陣。
なぜか俺の腕を掴むエイジ君。
ちょっ、マジで異世界召喚?
なんで俺の腕掴んでんの?
異世界召喚とか若者だけで行ってくれ。
「「「のわぁぁぁぁぁっ」」」
そもそも人間は非合理的な生き物だ。
人間が生きている限り環境は破壊され、地球は汚染される。
人間がこのまま増え続ければやがて地球が滅ぶ日も来るだろう。
地球環境という大きな視点で見れば、人間は死ぬのが一番合理的なのだ。
しかし人間には感情がある。
合理的な選択ばかりを選ぶことはできない。
結局何が言いたいのかといえば……。
「金が無い」
ちょっと生活が危ぶまれるレベルで金が無い。
サバイバルゲームという遊びがある。
大の大人がエアガン片手に本気で走り回って撃ち合う遊びだ。
その遊びには当然エアガンが必要になる。
このエアガンが物によってはフリーターの財布に無茶を課すことがあるのだ。
先日スナイパーライフル型のエアガンが修理できないレベルで破損し、それを買い換えた。
当初の予定ではギリギリ余剰資金で購入できるはずだったのだ。
だが俺がエアガンを購入したのはネットオークションだ。
ネットオークションというのは往々にして終了間際に値段が吊り上ることがあるものだ。
もうそのエアガンを購入する以外の選択肢をすべて塗りつぶしてしまっていた俺は、まんまと対抗して入札してしまった。
あれ、ちょっとこれ高すぎじゃない?と思ったときにはすでに遅かった。
俺以外の入札は止まり、時間が来てしまっていた。
「はぁ、ギリギリひと月分の固定費だけは払えるか……」
手元に残った金は家賃や水道光熱費、インターネット代、携帯電話料金を払って空になるくらいの金額。
だが食費がゼロだ。
貧乏暮らしの長い俺は、1日の食費を100円くらいにまでは抑えることが可能だ。
だが、さすがにゼロでは生きていけない。
「どうしたものか、でもエアガンを売るのは嫌だ」
俺が散財してしまったように、人気のエアガンになればネットオークションやホビーショップなどで高値で取引されることもある。
俺の持っているエアガンの中にも、数万円の値段が付きそうなものはある。
だがそれでは本末転倒ではないか。
「コンビニの廃棄弁当だけではさすがにバイトの無い日が地獄だ」
俺のバイト先はコンビニエンスストアだ。
賞味期限が切れた廃棄する予定の弁当を貰えることがある。
バイトのある日はそれだけを食べて食いつなぐことも可能だろう。
しかしバイトのシフトは週に5日。
週に2日はバイトの無い日がある。
3食廃棄弁当を貰うことはできないだろうから1日1食か2食を廃棄弁当で過ごし、休みの日は絶食。
いけなくは無いかもしれないが、ちょっと人間的な生活からは離れる気がする。
それに栄養面でもコンビニの弁当には問題がある。
コンビニ弁当の多くが脂質と炭水化物の塊だ。
俺は趣味のサバイバルゲームのためにかなり身体を鍛えている。
普段の食事にも気をつけ、バランスのいい筋肉を心がけているのだ。
もしもコンビニ弁当だけで過ごしたら、筋肉量が減って体のバランスが崩れてしまう恐れがある。
日々のトレーニングと身体を作る食事で整えた肉体が栄養不足で衰えてしまうのは惜しい。
衰えるのは簡単で早いが、鍛えるのは難しくて時間がかかるのだ。
「やっぱり止まり難いインフラ系の支払いをひと月待ってもらうか」
もしくは休みの日に単発のバイトでもするかだ。
1日、2日バイトをすれば卵や鶏胸肉などの良質なたんぱく質を含んだ食材を毎日摂取することができるだろう。
卵にはたんぱく質の他にも人間に必要な栄養素がほとんど含まれている。
貧乏生活には切っても切り離せない食材だ。
「よし、バイトをしよう」
「よろしくお願いします」
「おなしゃっすっ」
「すっ」
「すっ」
「よろしくぅ~」
肉体労働の代名詞とも言える引越しのバイトをすることに決めた俺。
3月は引越し業者の忙繁期だ。
よほど人手不足なのか明日にでも現場に入ってくれというようなバイト先が山ほどある。
俺の他にも大学生風の4人組がバイトに来ていた。
いかにも遊んでそうな男3人女1人の集団だ。
そもそも男3人の中に女1人で一緒に行動するという時点ですでに俺の理解の及ばぬ異人種だ。
俺の知る男と女の関係とは、根本的に距離感が違う。
近未来を見せられている気分だ。
「エイジ、そっち持って」
「おし任せろ」
「ソウタ、ちゃんと力入れてる?」
「入れてるって」
「リク、ちょっと手伝って」
「いいよ」
「サヤカ、サボってんじゃねえ」
「サボってないよぉ」
いつの時代も、名前で呼び合う奴等は勝ち組な気がする。
俺はちょっと遠慮したい距離感だけど。
「やべぇ、和泉さんの筋肉ちょーヤベー。ちょっと触ってみ!」
「ホントだっ、すっごい硬い!!」
お調子者のソウタ君が俺の筋肉を触ってきた。
正直男に触られても気持ち悪いだけだが、必死に鍛えてきたのは間違いないので褒められるのはなんとなく嬉しい気がする。
釣られて触ってきたサヤカちゃんからは香水のいい匂いが香ってくる。
おっさんのくせに若い女の子の色香にやられている。
若者との触れ合いも案外悪くないかもな。
俺の大胸筋に触れるサヤカちゃんの柔らかい手にそう思った。
「あ?なんだこれ」
「ちょっ、なにこれなにこれ!」
「みんななるべく離れないように!!」
「マジか!!これ異世界召喚じゃん!?」
「は?」
今日のバイトも終わり、帰ろうとしていた俺達を襲った不思議な現象。
光源が何もないアスファルトの地面から、光が溢れてくる。
若者たちを包む紫の光。
地面に輝く魔法陣。
なぜか俺の腕を掴むエイジ君。
ちょっ、マジで異世界召喚?
なんで俺の腕掴んでんの?
異世界召喚とか若者だけで行ってくれ。
「「「のわぁぁぁぁぁっ」」」
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