異世界の無人島で暮らすことになりました

兎屋亀吉

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4.爆買い、そして転移

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 レジで札束を出すのは気分がいいな。
 爆買い中国人の気持ちがよくわかる。
 異世界で何が必要になるのかなんか俺にはわからない。
 それゆえにあれもこれも持って行きたくなってしまうのは仕方がないことだろう。
 ドンキの次に向かった24時間スーパーを出たとき俺は、背中とお腹に大型ザックを背負い、両手にスーツケースを1個ずつ持った格好になっていた。
 JK神様からは荷物は手に持てるだけと言われているので、これはギリギリセーフである。
 
「これでもう思い残すことはないですか?」

「はい。あ、でも現金が余ってしまいました」

「通販スキルに入金すれば使えますよ」

 日本銀行券が使えるのはありがたい。
 残った300万円近い現金は異世界でコーラとポテチを買う資金にさせてもらおう。
 通販スキルを起動し、メニュー画面から入金をタップするとお札がどんどん吸い込まれていった。
 なんてファンタジー。
 日本銀行券が300枚近くファンタジーに吸い込まれたけれど、俺の責任ではないので許してほしい。

「では、異世界へご案内します。向こうの世界では私は人間に干渉することができませんので、直接会うことができるのもこれで最後かもしれませんね」

「そうなんですか。寂しいですね」

「ええ、いつか私の支配地域に立派な神殿が建てば再び相まみえることができるかもしれません。頑張ってください」

 俺はJK神様に再び会うために、地域振興を頑張ることを誓った。






 目を開けると、そこは今までいた24時間スーパーの駐車場ではなかった。
 ざざぁ、ざざぁ、と波が引いては寄せる砂浜であった。
 どうやら俺は異世界に無事転移することができたらしい。
 ここはJK神様の支配地域なのだろう。
 見渡す限りの海だ。
 海沿いにある地域のようだな。
 そういえば、どこからどこまでがJK神様の支配地域なのかを聞いていなかったな。
 説明しなかったということはおそらく言わなくてもわかるということだろう。
 嫌な予感がする。
 海沿いで、言わなくてもわかる範囲。
 ここ、もしかして島なんじゃあないだろうか。
 この地を盛り立て外から人を呼んでくるという俺の目的において、周りを海に囲まれた絶海の孤島と陸続きの地では難易度が全く異なる。
 もしここが島なのであればそもそも俺がやばい。
 誰も住んでいない地域に一人で住むということが前提であったとしても、徒歩でたどり着ける場所に街があってそこから定期的に物資を買うことができるものだとばかり思っていた。
 それができないということは本当に自給自足のサバイバル生活ということになる。
 それはやばい。
 アウトドア経験ゼロがサバイバルはやばい。
 しかし今更帰りたいといったところでもう無理だろうし、やるしかないか。
 幸いにも俺には、馬鹿みたいに買ってきたアウトドアグッズの山がある。
 各種野菜や果物の種子も店を開けるほど買ってきたし、本格的ではないものの農具もいくつか買ってきた。
 まあなんとかなるっしょ。





 ド素人のサバイバル生活はまず、知識を手に入れるところから始まる。

「ほうほう、無人島サバイバルでまず最初にやらなければならないことは身の安全を確保することなのか。意外だな。水を見つけるとかかと思った」

 サバイバルの専門書によれば、まずは身を守るために住居となる場所を確保する必要があるそうだ。
 テントがあるからこれはクリアかな。
 布と骨組みの家で身を守ることができるかどうかはわからないけど。
 
「で、2番目が飲み水の確保と」

 これもコーラがあるから別にいいかな。
 コーラは500ミリリットルのペットボトルに入って160円プラス送料1000円で買うことができる。
 送料1000円は少し高いと思うけれど数量に関わらず一律なので、一度に10本買えば1本あたりの送料は100円まで落ちる。
 100本買えば10円だ。
 飲み物がすべてコーラというのは将来絶対糖尿になるのでいつかは真水を手に入れたいものだけれど、すぐに手に入れないと死ぬという状況ではない。
 その点俺は、かなりの余裕があるサバイバルといえるだろう。
 食べ物も米や小麦粉、カップラーメンやカロリーメ〇トの類も大量に買ってきたので1、2か月は大丈夫だ。
 サバイバルの本を読み進めるうちに、俺は案外早急にやるべきことがないことに気が付いた。
 サバイバル生活でまず最初にやるべきことが、大体豊富な物資のおかげでなんとかなってしまっているのだ。
 
「この本役に立たないな。まあ前提として、身一つで無人島に漂着した設定だからな」

 そんな状況はそうそうないだろう。
 参考程度にはなったかな。
 異世界から持ち込んだ食べ物はいつか無くなる。
 そうなれば俺はポテチ以外を口にすることができなくなってしまうのだ。
 それでも数カ月程度ならば生きていけなくはないが、絶対身体に悪い。
 そんなことになる前に、本に書いてあるような方法を用いて食べ物を手に入れる。
 それが当面の目標となりそうだ。
 あとは魔力値上げもしたいし、スキルのレベル上げもしたい。
 ここが島だと仮定すると、いつかは島を出て人を呼びに行かなければならない。
 島を出るためにはイカダだって作らないといけない。
 忙しくなりそうだが、不思議とわくわくした気分になってくる。
 これが、やりがいを感じるっていうことなんだろうか。
 死んだような目で仕事をしていては、絶対に感じることのできない高揚感だと思った。
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