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5.探索とスキルの検証
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翌朝、波の音で目を覚ます。
テント内は朝の陽光に照らされてえげつない室温になっていた。
汗が止まらん。
ここが常夏の島なのか今が季節的に夏季なのかはわからないけれど、朝からこの気温はなかなかに堪える。
俺はアイテムボックスに入れておいたコーラを取り出し、ぐいっと煽った。
「ああ美味い。キンキンに冷えてて」
通販スキルで購入することのできるコーラは160円と自販機価格なだけあり、出てきたばかりはキンキンに冷やされている。
そのキンキンを保つために、俺はコーラ3本しか入らないアイテムボックスを使っているのだ。
2リットルの空間に、500ミリペット4本はギリギリ入らない。
中身だけなら入るだろうが、液体をそのままアイテムボックスに入れることはできなかった。
もはやアイテムボックスはコーラを3本入れておくだけの冷蔵庫と化している。
こんなことならソーラーパネルと小型冷蔵庫も買ってこればよかったな。
まあこんな海沿いに置いておいたらひと月と保たずに壊れるだろうけど。
「さて、今日はどうするかな」
テントを出ると、磯臭い海風が吹き付けてきた。
砂が舞い上がって目に入る。
砂浜の先には森があるが、森に入るのは怖かったので今日は砂浜で眠ったのだ。
しかしここはあまり拠点には適していないな。
歩くだけで砂だらけになるし、風で砂が飛んでくるし、水も無いし、磯臭いし。
しかし森に入るのは野生動物などがいそうで怖いんだよな。
今日は海に沿っていい場所がないか探してみるか。
一周したら分かるように砂浜に棒切れを突き立て、荷物を纏めて海岸沿いを歩く。
武器は持ってきた刃物の中で一番刃渡りが長い刺身包丁だ。
異世界を舐めているとゴブリンに瞬殺される可能性があるからな。
同時に唯一の戦闘に使えるスキルである火弾の練習をする。
JK神様によれば、魔力値10の人間は最低ランクの魔法スキルであれば大体5発程度撃つことができるそうだ。
魔力値はMPでもあるという話だから、最低ランクの魔法スキルというのは大体MPを2程度消費するということだな。
火弾はまごうことなき最低ランクの魔法スキルであるので、俺は火弾を5発放つことができるというわけだ。
少ないな。
何が起こるかわからない異世界の無人島で、切り札である魔法スキルを全弾練習で撃ち尽くすわけにはいかない。
2発を練習用とし、3発はいざという時のために残しておくこととしよう。
俺は指先に意識を集中し、火弾と念じる。
別に魔法スキルは手から放つとかいう決まりはないので足からでも尻からでも放てるだろうが、弾だったらやっぱり指先からという気がする。
霊〇ンだって指先から放ってるからな。
親指も立てて銃を模した人差し指の先に、豆粒くらいの火の弾が具現化する。
意外としょぼい。
しかし指先にはしっかりと火の熱が伝わってきており、焚火に着火したりするには非常に便利であることが伺える。
放つことなく火の弾を眺めること数分、プスッとガス欠になったライターのように火が消えた。
もう一度火弾と念じるとまた火の弾が出る。
まだMPはある。
ということは火弾を撃たずに保持しても、1発分のMPしか消費しないということだ。
しかし数分で火が消えるなら長時間の灯りとしては使えそうにないな。
主な用途は着火と戦闘になりそうだ。
戦闘なんてできればやりたくないのだけど、魔力値が低いままでこの世界をうろつくのは怖すぎる。
俺は最初の街でレベルを99にしたいタイプなのだ。
危険な格上には挑まず、ひたすら地道に弱いモンスターだけを相手にして少しでも魔力値を上げていきたい。
スライムとかいるのだろうか。
火弾で倒せたらいいのだけど。
そうこうしているうちに2発目の火弾も消えてしまった。
考え事をしていて1発無駄にしてしまったな。
もったいない。
残弾3発はいざというとき用なのでもう今日は火弾を撃つことができない。
結局1発も飛ばさずに終わってしまったな。
まあMPは眠れば回復するそうなので明日また練習しよう。
今日は刺身包丁だけを頼りに島の散策だ。
まだ島だと決まったわけではないが、ここまで歩いた感じではほぼ確定だと思う。
ゆるやかにカーブした海岸線の曲がりがどんどんきつくなっている。
右手に海を見ながらの左曲がりはやばい。
きつい左曲がりが4回きたらもう円だからな。
夕暮れ時。
俺は疲れ果てて岩場に座り込む。
なんといっても荷物が重すぎた。
1日中歩いたのに、10キロも歩けた気がしていない。
おそらく1時間に1キロくらいの速度でしか歩けていないだろう。
だが海岸線は全体的に緩やかに左に曲がっており、ここが島である可能性を強く主張してくる。
どのみちこのまま歩き続ければ、いつか結論は出るはずだ。
とりあえず今日の探索はここまで。
もう体力が限界に達している。
今日はここにテントを張り、眠るとしよう。
幸いにも近くに綺麗な小川があり、水には困らない。
地面はゴツゴツした岩場だが、俺にはJK神様からもらったスキル【石工】がある。
これは道具などを使って石を加工する職人技というわけではなく、もっとファンタジーな代物だ。
なんと手で石をコネコネして形を変えることができるのだ。
これにもMPが必要らしいが、最低ランクの魔法スキルよりも省エネなようだ。
こいつを使えば、ゴツゴツしてとても眠れないような地面を平らに均すことができるはずだ。
寝心地を改善するために、俺は作業を開始した。
テント内は朝の陽光に照らされてえげつない室温になっていた。
汗が止まらん。
ここが常夏の島なのか今が季節的に夏季なのかはわからないけれど、朝からこの気温はなかなかに堪える。
俺はアイテムボックスに入れておいたコーラを取り出し、ぐいっと煽った。
「ああ美味い。キンキンに冷えてて」
通販スキルで購入することのできるコーラは160円と自販機価格なだけあり、出てきたばかりはキンキンに冷やされている。
そのキンキンを保つために、俺はコーラ3本しか入らないアイテムボックスを使っているのだ。
2リットルの空間に、500ミリペット4本はギリギリ入らない。
中身だけなら入るだろうが、液体をそのままアイテムボックスに入れることはできなかった。
もはやアイテムボックスはコーラを3本入れておくだけの冷蔵庫と化している。
こんなことならソーラーパネルと小型冷蔵庫も買ってこればよかったな。
まあこんな海沿いに置いておいたらひと月と保たずに壊れるだろうけど。
「さて、今日はどうするかな」
テントを出ると、磯臭い海風が吹き付けてきた。
砂が舞い上がって目に入る。
砂浜の先には森があるが、森に入るのは怖かったので今日は砂浜で眠ったのだ。
しかしここはあまり拠点には適していないな。
歩くだけで砂だらけになるし、風で砂が飛んでくるし、水も無いし、磯臭いし。
しかし森に入るのは野生動物などがいそうで怖いんだよな。
今日は海に沿っていい場所がないか探してみるか。
一周したら分かるように砂浜に棒切れを突き立て、荷物を纏めて海岸沿いを歩く。
武器は持ってきた刃物の中で一番刃渡りが長い刺身包丁だ。
異世界を舐めているとゴブリンに瞬殺される可能性があるからな。
同時に唯一の戦闘に使えるスキルである火弾の練習をする。
JK神様によれば、魔力値10の人間は最低ランクの魔法スキルであれば大体5発程度撃つことができるそうだ。
魔力値はMPでもあるという話だから、最低ランクの魔法スキルというのは大体MPを2程度消費するということだな。
火弾はまごうことなき最低ランクの魔法スキルであるので、俺は火弾を5発放つことができるというわけだ。
少ないな。
何が起こるかわからない異世界の無人島で、切り札である魔法スキルを全弾練習で撃ち尽くすわけにはいかない。
2発を練習用とし、3発はいざという時のために残しておくこととしよう。
俺は指先に意識を集中し、火弾と念じる。
別に魔法スキルは手から放つとかいう決まりはないので足からでも尻からでも放てるだろうが、弾だったらやっぱり指先からという気がする。
霊〇ンだって指先から放ってるからな。
親指も立てて銃を模した人差し指の先に、豆粒くらいの火の弾が具現化する。
意外としょぼい。
しかし指先にはしっかりと火の熱が伝わってきており、焚火に着火したりするには非常に便利であることが伺える。
放つことなく火の弾を眺めること数分、プスッとガス欠になったライターのように火が消えた。
もう一度火弾と念じるとまた火の弾が出る。
まだMPはある。
ということは火弾を撃たずに保持しても、1発分のMPしか消費しないということだ。
しかし数分で火が消えるなら長時間の灯りとしては使えそうにないな。
主な用途は着火と戦闘になりそうだ。
戦闘なんてできればやりたくないのだけど、魔力値が低いままでこの世界をうろつくのは怖すぎる。
俺は最初の街でレベルを99にしたいタイプなのだ。
危険な格上には挑まず、ひたすら地道に弱いモンスターだけを相手にして少しでも魔力値を上げていきたい。
スライムとかいるのだろうか。
火弾で倒せたらいいのだけど。
そうこうしているうちに2発目の火弾も消えてしまった。
考え事をしていて1発無駄にしてしまったな。
もったいない。
残弾3発はいざというとき用なのでもう今日は火弾を撃つことができない。
結局1発も飛ばさずに終わってしまったな。
まあMPは眠れば回復するそうなので明日また練習しよう。
今日は刺身包丁だけを頼りに島の散策だ。
まだ島だと決まったわけではないが、ここまで歩いた感じではほぼ確定だと思う。
ゆるやかにカーブした海岸線の曲がりがどんどんきつくなっている。
右手に海を見ながらの左曲がりはやばい。
きつい左曲がりが4回きたらもう円だからな。
夕暮れ時。
俺は疲れ果てて岩場に座り込む。
なんといっても荷物が重すぎた。
1日中歩いたのに、10キロも歩けた気がしていない。
おそらく1時間に1キロくらいの速度でしか歩けていないだろう。
だが海岸線は全体的に緩やかに左に曲がっており、ここが島である可能性を強く主張してくる。
どのみちこのまま歩き続ければ、いつか結論は出るはずだ。
とりあえず今日の探索はここまで。
もう体力が限界に達している。
今日はここにテントを張り、眠るとしよう。
幸いにも近くに綺麗な小川があり、水には困らない。
地面はゴツゴツした岩場だが、俺にはJK神様からもらったスキル【石工】がある。
これは道具などを使って石を加工する職人技というわけではなく、もっとファンタジーな代物だ。
なんと手で石をコネコネして形を変えることができるのだ。
これにもMPが必要らしいが、最低ランクの魔法スキルよりも省エネなようだ。
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