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改稿版
21.ダンジョン
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大森林中層。
ゴブリンやオークを餌にするような大型の強い魔物が生息している魔境だ。
先日奴隷たちの怪我を治したおかげで大魔石がほとんどなくなってしまったので、今日は補充のために魔物を狩りに来た。
俺はめんどうな同行者たちをチラリと一瞥する。
傷が治り、衰えていた身体も全快した元おじいさん&おばあさんずだ。
彼ら彼女らは元はさる国の騎士だったらしい。
しかし戦乱で国が無くなり、傭兵に身をやつした。
長らく戦で生計を立てていたが、身体が衰えれば若い頃のようにはいかない。
負け戦で戦線からの離脱が遅れ、奴隷となったそうだ。
もともと戦うことくらいしかできなかったから傭兵になったという彼ら彼女らは、往年の肉体を取り戻して生き生きとしている。
俺が大森林に魔石の補充に行くと言ったら勝手に付いてきた。
「む、オークですな。儂に任せてくだされ」
そう言ってオークに向かっていくのは、右目の傷を治さないでくれと言ってきた元おじいさん、アルベルトだ。
元おじいさん&おばあさんずを纏める傭兵団の団長だった人らしい。
確かにまとめ役っぽい。
強そうだし。
実際その剣の腕は周辺国家でも並ぶ者無しと言われたほどだと、周りのみんなが言っていた。
本人はバカの一つ覚えだと言っていたが。
アルベルトは軽い足取りでオークに走り寄ると、すれ違いざまにオークをなで斬りにする。
剣を抜いてオークを切るまでの挙動がほとんど見えなかった。
素人目から見ても相当な剣の達人であることは間違いないだろう。
いい拾い物だったかもしれないな。
アルベルトからは魔力をあまり感じないので、たぶん魔法は使えないだろう。
しかし騎士だったというだけあって、元おじいさん&おばあさんずの中には魔力の強い者も多い。
おそらく傭兵時代は魔法を得意としていた者だろう。
武器は良い物を買い与えたが、魔法具も必要かもしれないな。
前に横転した馬車ごと買った奴隷の中にも魔力の強い者はいたので、魔法が使える者には魔法具を与えたい。
しかし魔法具はその辺に売っているものでもないからな。
魔法具というのは、そもそも人の手で作れる物ではないそうだ。
この世界にはダンジョンという不思議な建造物が世界各地に存在する。
魔法具はその内部に低確率で出現するという宝箱に入っているものなのだ。
まるでゲームのようだが、この世界ではそれが普通のことだ。
俺に魔法具をくれたのが時空神を名乗るおじいさんであることから、たぶん神がなんか関係あるんだろうな。
そのダンジョンから誰かが手に入れた数少ない魔法具を、世の金持ち権力者たちが取り合っているんだ。
俺のような新参の成金が入り込める余地はない。
金の力で魔法具を手にれることが難しい以上は、自分で取りに行くしかないのかもな。
「アルベルトは、ダンジョンって行ったことある?」
「ダンジョンですか。懐かしいですな。騎士時代には訓練で何度か入ったことがあります」
ということはここにいるみんなは行ったことがあるということだな。
俺はダンジョンに行ったことがないから、何人か連れて行ったほうがいいかもしれない。
「この辺りですと、ケイネスの町にダンジョンがあると聞いたことがありますな」
「へー、どの程度の難易度のダンジョンなの?」
ダンジョンは一つ一つ難易度が異なる。
難易度によってFからSまでランク付けされており、Fが一番難易度が低くSが一番高い。
「確かCランクのダンジョンだったと思います」
ダンジョンの難易度は低ければそれだけ出現する魔物も弱く罠も少なくて安全だが、その分だけ宝箱から出るお宝も価値の低い物が多くなる。
Cランクであれば魔物の強さや財宝の価値も中くらいだ。
初めて探索するダンジョンにはちょうどいいのかもしれない。
「よし、魔石をできるだけ補充してダンジョンに行くぞ」
「「「了解です!」」」
ケイネスの町はダンジョン以外に何もないような町だ。
だが逆に言えばダンジョンが売りの町だ。
ダンジョンを探索してお宝を見つけて一攫千金を目指す冒険者に、その冒険者を目当てにした商人が集まり結構賑わっている。
まず向かうのは冒険者ギルドだ。
アルベルトたちの冒険者登録をしなくてはならない。
騎士時代にはその特権を使ってダンジョンに入ったようだが、普通の人は冒険者登録をしなければダンジョンには入ることができない。
盗賊などがダンジョンを根城にしないための措置だ。
冒険者のふりをした盗賊は結構いるみたいだから、ダンジョンの中では気を抜かないようにしなければならないな。
「登録を頼む」
「かしこまりました」
今回連れてきたのはアルベルトの他に3人。
元おじいさんのクラークとアレックス、元おばあさんのニーナだ。
ダンジョンの中は狭いので大人数で入っても身動きが取れなくなるだけなので、ダンジョン探索のパーティではよく見られるこの人数にした。
「この歳で冒険者なんて、新鮮ね」
ニーナは栗色の髪を腰のあたりまで伸ばしたナイスバディだ。
皺くちゃのおばあさんだったとは思えない肉感的な身体をしている。
武器は槍だ。
「なかなか激動の人生だな」
アレックスは顎髭を綺麗に整えたダンディ系のおっさんだ。
身長はそこまで大きくないが、野生動物のようにしなやかな筋肉をしている。
武器は短剣で、無手の拳法も得意だと言っていた。
「ご主人様には、感謝してもしきれません」
クラークは全体的に四角い印象を受ける大男だ。
身長180くらいのアルベルトよりも更に頭一つ分くらい大きく、胸板も分厚いマッチョメン。
武器は大盾と片手斧だ。
この3人にアルベルトと俺を含めた5人パーティでダンジョンに潜る。
ちょっと前衛が多いかな。
ゴブリンやオークを餌にするような大型の強い魔物が生息している魔境だ。
先日奴隷たちの怪我を治したおかげで大魔石がほとんどなくなってしまったので、今日は補充のために魔物を狩りに来た。
俺はめんどうな同行者たちをチラリと一瞥する。
傷が治り、衰えていた身体も全快した元おじいさん&おばあさんずだ。
彼ら彼女らは元はさる国の騎士だったらしい。
しかし戦乱で国が無くなり、傭兵に身をやつした。
長らく戦で生計を立てていたが、身体が衰えれば若い頃のようにはいかない。
負け戦で戦線からの離脱が遅れ、奴隷となったそうだ。
もともと戦うことくらいしかできなかったから傭兵になったという彼ら彼女らは、往年の肉体を取り戻して生き生きとしている。
俺が大森林に魔石の補充に行くと言ったら勝手に付いてきた。
「む、オークですな。儂に任せてくだされ」
そう言ってオークに向かっていくのは、右目の傷を治さないでくれと言ってきた元おじいさん、アルベルトだ。
元おじいさん&おばあさんずを纏める傭兵団の団長だった人らしい。
確かにまとめ役っぽい。
強そうだし。
実際その剣の腕は周辺国家でも並ぶ者無しと言われたほどだと、周りのみんなが言っていた。
本人はバカの一つ覚えだと言っていたが。
アルベルトは軽い足取りでオークに走り寄ると、すれ違いざまにオークをなで斬りにする。
剣を抜いてオークを切るまでの挙動がほとんど見えなかった。
素人目から見ても相当な剣の達人であることは間違いないだろう。
いい拾い物だったかもしれないな。
アルベルトからは魔力をあまり感じないので、たぶん魔法は使えないだろう。
しかし騎士だったというだけあって、元おじいさん&おばあさんずの中には魔力の強い者も多い。
おそらく傭兵時代は魔法を得意としていた者だろう。
武器は良い物を買い与えたが、魔法具も必要かもしれないな。
前に横転した馬車ごと買った奴隷の中にも魔力の強い者はいたので、魔法が使える者には魔法具を与えたい。
しかし魔法具はその辺に売っているものでもないからな。
魔法具というのは、そもそも人の手で作れる物ではないそうだ。
この世界にはダンジョンという不思議な建造物が世界各地に存在する。
魔法具はその内部に低確率で出現するという宝箱に入っているものなのだ。
まるでゲームのようだが、この世界ではそれが普通のことだ。
俺に魔法具をくれたのが時空神を名乗るおじいさんであることから、たぶん神がなんか関係あるんだろうな。
そのダンジョンから誰かが手に入れた数少ない魔法具を、世の金持ち権力者たちが取り合っているんだ。
俺のような新参の成金が入り込める余地はない。
金の力で魔法具を手にれることが難しい以上は、自分で取りに行くしかないのかもな。
「アルベルトは、ダンジョンって行ったことある?」
「ダンジョンですか。懐かしいですな。騎士時代には訓練で何度か入ったことがあります」
ということはここにいるみんなは行ったことがあるということだな。
俺はダンジョンに行ったことがないから、何人か連れて行ったほうがいいかもしれない。
「この辺りですと、ケイネスの町にダンジョンがあると聞いたことがありますな」
「へー、どの程度の難易度のダンジョンなの?」
ダンジョンは一つ一つ難易度が異なる。
難易度によってFからSまでランク付けされており、Fが一番難易度が低くSが一番高い。
「確かCランクのダンジョンだったと思います」
ダンジョンの難易度は低ければそれだけ出現する魔物も弱く罠も少なくて安全だが、その分だけ宝箱から出るお宝も価値の低い物が多くなる。
Cランクであれば魔物の強さや財宝の価値も中くらいだ。
初めて探索するダンジョンにはちょうどいいのかもしれない。
「よし、魔石をできるだけ補充してダンジョンに行くぞ」
「「「了解です!」」」
ケイネスの町はダンジョン以外に何もないような町だ。
だが逆に言えばダンジョンが売りの町だ。
ダンジョンを探索してお宝を見つけて一攫千金を目指す冒険者に、その冒険者を目当てにした商人が集まり結構賑わっている。
まず向かうのは冒険者ギルドだ。
アルベルトたちの冒険者登録をしなくてはならない。
騎士時代にはその特権を使ってダンジョンに入ったようだが、普通の人は冒険者登録をしなければダンジョンには入ることができない。
盗賊などがダンジョンを根城にしないための措置だ。
冒険者のふりをした盗賊は結構いるみたいだから、ダンジョンの中では気を抜かないようにしなければならないな。
「登録を頼む」
「かしこまりました」
今回連れてきたのはアルベルトの他に3人。
元おじいさんのクラークとアレックス、元おばあさんのニーナだ。
ダンジョンの中は狭いので大人数で入っても身動きが取れなくなるだけなので、ダンジョン探索のパーティではよく見られるこの人数にした。
「この歳で冒険者なんて、新鮮ね」
ニーナは栗色の髪を腰のあたりまで伸ばしたナイスバディだ。
皺くちゃのおばあさんだったとは思えない肉感的な身体をしている。
武器は槍だ。
「なかなか激動の人生だな」
アレックスは顎髭を綺麗に整えたダンディ系のおっさんだ。
身長はそこまで大きくないが、野生動物のようにしなやかな筋肉をしている。
武器は短剣で、無手の拳法も得意だと言っていた。
「ご主人様には、感謝してもしきれません」
クラークは全体的に四角い印象を受ける大男だ。
身長180くらいのアルベルトよりも更に頭一つ分くらい大きく、胸板も分厚いマッチョメン。
武器は大盾と片手斧だ。
この3人にアルベルトと俺を含めた5人パーティでダンジョンに潜る。
ちょっと前衛が多いかな。
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