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改稿版
22.亀のダンジョン
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ケイネスのダンジョンは別名、亀のダンジョンと呼ばれている。
亀のように防御力の高い魔物が多く出現するからだ。
実際亀型の魔物も出るし。
時空間魔法との相性も悪くない。
どれだけ硬い装甲でも空間属性が付与された銃弾なら貫ける。
地竜のように強い魔法防御を持つ特殊な魔物でもない限りは、魔石の収支もかなりのプラスになるのではないだろうか。
俺達は第1層に足を踏み入れる。
中は意外にも暗くない。
壁や天井が薄っすらと発光しているようだ。
不思議なところだな。
1層は人が多く、あまり魔物に出くわさない。
ギルドにあった資料によれば、亀のダンジョン第1層には普通にゴブリンなどの弱い魔物が出るようだ。
ゴブリンは油断せず1対1に持ち込めば誰でも倒せる魔物だ。
食うに困ってダンジョンに潜っている人たちによって、狩り尽くされてしまっているのかもしれない。
外にもゴブリンはいるが、狭いダンジョン内ならばたくさんのゴブリンに囲まれる心配は無いし、運がよければ宝箱も発見することができる。
近くにダンジョンがあったらそっちに行くのは当然の話だ。
見習い冒険者などもダンジョンに憧れてそっちに行ってしまうから、ダンジョンの近くではゴブリンが増えてしまって困っているらしいとギルドの受付嬢から聞いたことがある。
そんな状況とは真逆で、ここはゴブリン1匹出ないな。
「第1層なんてどこもこんなもんですよ」
「そうなんだ」
ダンジョンというのは深い層ほど魔物が強くなる傾向にある。
そのために一番魔物の弱い第1層は、見習い冒険者から一般人、果ては食い詰めた浮浪者までもが殺到するので魔物が少なくなるのだとアレックスは語る。
俺達は1匹の魔物とも戦うことなく第2層へとたどり着いた。
「ここからが本番ですからな。気を引き締めて行きましょう」
「了解」
2層からはゴブリンの上位種であるホブゴブリンが出る。
ゴブリンよりも脅威度が高いので、一般人はここから下にはあまり行かない。
これからは普通に魔物に出くわすだろう。
俺はアイテムボックスから拳銃を取り出し、サプレッサーを取り付ける。
「罠の発見は俺に任せてください」
アレックスは罠を見つけるのが得意なようなので任せることにする。
武器も短剣だし、斥候職みたいなものなのかな。
RPGとかで言う盗賊。
鍵開けとかもできるのかな。
まあ宝箱に鍵が掛かっていることは無いそうなので必要ないけれど。
「と、早速ホブゴブリンですね」
「この層はみんなに任せるよ」
「「「了解です」」」
ゴブリンやホブゴブリンなんかの小魔石の魔物は魔石収支が悪いんだよね。
銃は狭い場所で使うと外したときに跳弾したりして危ないし。
使うのならワームホールを使って外れないようにしたい。
そんなことを言っているから射撃がちっとも上手くならないのかもしれないけど。
アルベルトたちはホブゴブリン相手に囲んで滅多打ちにする。
連携の確認をしているようだが、ホブゴブリンでは相手が弱すぎてあまり意味が無かったようだ。
魔石を取って次に行こう。
ホブゴブリンの持っていた粗末な武器は鉄くずとして売れるようだが、面倒だから放っておく。
「あ、あの!!」
なんだか遠巻きに見ていたと思われる子供に話しかけられる。
2層に子供が来るなんて危ないな。
よほど金に困っているのだろうか。
子供は2人組。
ひとりは10歳そこらに見える女の子。
もうひとりは5、6歳くらいに見える男の子だ。
おそらく兄弟なのだろう。
2人はどことなく似通った顔立ちをしている。
しかし着ているものは酷く汚れており、ツギハギだらけ。
一目で困窮していることが見て取れる。
困ったな、子供は苦手なんだよ。
「なんだ?」
「ひぇっ」
「ご主人様、なんで子供に接するときだけそんな怖い声になっちゃうんですか。老人にかける声は優しいのに」
見かねたニーナが子供たちの頭を撫でながら、俺にそんなことを言い放つ。
そんなことは、ないはず。
俺なりに優しい声を心がけているんだ。
あまり大きな声にならないように、びっくりさせないように抑揚を抑えて。
「それが怖いってんですよ。大丈夫ですからね。ご主人様は本当はすごく優しいお方なんだよ」
「ほ、本当ですか?」
「ええ、確かにあの顔は何人か殺ってる顔ですが、それは私たちもですからね」
「ひぇっ」
「お前も怖がらせてどうする」
バシンッとニーナの頭をアレックスが叩く。
意外にも、子供たちが一番警戒心を持たなかったのはクラークだった。
「おじさんは、とても大きいですね」
「ああ、俺はおじさんというよりもおじいさんという歳なんだがな……」
身体が大きくて威圧感のあるクラークだが、懐に入ればそれは守られているという安心感となるのか。
「それでお前たち、なにか儂らに用があったんじゃなかったのか?」
どんどん話がそれていくのを苦く思ったのか、アルベルトが子供たちに尋ねる。
「あ、あの、ホブゴブリンの持っていた武器を、拾わないならいただけないかと思いまして……」
なるほど、2層でホブゴブリンの武器を集めているのか。
しかし重たい武器を持って帰ってもそんなに金になるとは思えないがな。
子供に持てる量なんてたかが知れてる。
言ってしまえばハイエナのような行為だから、血の気の多い冒険者の中には良く思わない奴らもいるだろう。
そういった冒険者とトラブルになる可能性もある。
単純に子供だけでダンジョンにいることも危険だしな。
別に武器を拾うくらい俺はなんとも思わないが、このままでいいとも思えないな。
とりあえずアルベルトたちの倒したホブゴブリンの武器を拾わせて、何か事情があるのか聞いてみるか。
「構わない。魔石以外ならなんでも拾ってくれ」
「ありがとうございます」
亀のように防御力の高い魔物が多く出現するからだ。
実際亀型の魔物も出るし。
時空間魔法との相性も悪くない。
どれだけ硬い装甲でも空間属性が付与された銃弾なら貫ける。
地竜のように強い魔法防御を持つ特殊な魔物でもない限りは、魔石の収支もかなりのプラスになるのではないだろうか。
俺達は第1層に足を踏み入れる。
中は意外にも暗くない。
壁や天井が薄っすらと発光しているようだ。
不思議なところだな。
1層は人が多く、あまり魔物に出くわさない。
ギルドにあった資料によれば、亀のダンジョン第1層には普通にゴブリンなどの弱い魔物が出るようだ。
ゴブリンは油断せず1対1に持ち込めば誰でも倒せる魔物だ。
食うに困ってダンジョンに潜っている人たちによって、狩り尽くされてしまっているのかもしれない。
外にもゴブリンはいるが、狭いダンジョン内ならばたくさんのゴブリンに囲まれる心配は無いし、運がよければ宝箱も発見することができる。
近くにダンジョンがあったらそっちに行くのは当然の話だ。
見習い冒険者などもダンジョンに憧れてそっちに行ってしまうから、ダンジョンの近くではゴブリンが増えてしまって困っているらしいとギルドの受付嬢から聞いたことがある。
そんな状況とは真逆で、ここはゴブリン1匹出ないな。
「第1層なんてどこもこんなもんですよ」
「そうなんだ」
ダンジョンというのは深い層ほど魔物が強くなる傾向にある。
そのために一番魔物の弱い第1層は、見習い冒険者から一般人、果ては食い詰めた浮浪者までもが殺到するので魔物が少なくなるのだとアレックスは語る。
俺達は1匹の魔物とも戦うことなく第2層へとたどり着いた。
「ここからが本番ですからな。気を引き締めて行きましょう」
「了解」
2層からはゴブリンの上位種であるホブゴブリンが出る。
ゴブリンよりも脅威度が高いので、一般人はここから下にはあまり行かない。
これからは普通に魔物に出くわすだろう。
俺はアイテムボックスから拳銃を取り出し、サプレッサーを取り付ける。
「罠の発見は俺に任せてください」
アレックスは罠を見つけるのが得意なようなので任せることにする。
武器も短剣だし、斥候職みたいなものなのかな。
RPGとかで言う盗賊。
鍵開けとかもできるのかな。
まあ宝箱に鍵が掛かっていることは無いそうなので必要ないけれど。
「と、早速ホブゴブリンですね」
「この層はみんなに任せるよ」
「「「了解です」」」
ゴブリンやホブゴブリンなんかの小魔石の魔物は魔石収支が悪いんだよね。
銃は狭い場所で使うと外したときに跳弾したりして危ないし。
使うのならワームホールを使って外れないようにしたい。
そんなことを言っているから射撃がちっとも上手くならないのかもしれないけど。
アルベルトたちはホブゴブリン相手に囲んで滅多打ちにする。
連携の確認をしているようだが、ホブゴブリンでは相手が弱すぎてあまり意味が無かったようだ。
魔石を取って次に行こう。
ホブゴブリンの持っていた粗末な武器は鉄くずとして売れるようだが、面倒だから放っておく。
「あ、あの!!」
なんだか遠巻きに見ていたと思われる子供に話しかけられる。
2層に子供が来るなんて危ないな。
よほど金に困っているのだろうか。
子供は2人組。
ひとりは10歳そこらに見える女の子。
もうひとりは5、6歳くらいに見える男の子だ。
おそらく兄弟なのだろう。
2人はどことなく似通った顔立ちをしている。
しかし着ているものは酷く汚れており、ツギハギだらけ。
一目で困窮していることが見て取れる。
困ったな、子供は苦手なんだよ。
「なんだ?」
「ひぇっ」
「ご主人様、なんで子供に接するときだけそんな怖い声になっちゃうんですか。老人にかける声は優しいのに」
見かねたニーナが子供たちの頭を撫でながら、俺にそんなことを言い放つ。
そんなことは、ないはず。
俺なりに優しい声を心がけているんだ。
あまり大きな声にならないように、びっくりさせないように抑揚を抑えて。
「それが怖いってんですよ。大丈夫ですからね。ご主人様は本当はすごく優しいお方なんだよ」
「ほ、本当ですか?」
「ええ、確かにあの顔は何人か殺ってる顔ですが、それは私たちもですからね」
「ひぇっ」
「お前も怖がらせてどうする」
バシンッとニーナの頭をアレックスが叩く。
意外にも、子供たちが一番警戒心を持たなかったのはクラークだった。
「おじさんは、とても大きいですね」
「ああ、俺はおじさんというよりもおじいさんという歳なんだがな……」
身体が大きくて威圧感のあるクラークだが、懐に入ればそれは守られているという安心感となるのか。
「それでお前たち、なにか儂らに用があったんじゃなかったのか?」
どんどん話がそれていくのを苦く思ったのか、アルベルトが子供たちに尋ねる。
「あ、あの、ホブゴブリンの持っていた武器を、拾わないならいただけないかと思いまして……」
なるほど、2層でホブゴブリンの武器を集めているのか。
しかし重たい武器を持って帰ってもそんなに金になるとは思えないがな。
子供に持てる量なんてたかが知れてる。
言ってしまえばハイエナのような行為だから、血の気の多い冒険者の中には良く思わない奴らもいるだろう。
そういった冒険者とトラブルになる可能性もある。
単純に子供だけでダンジョンにいることも危険だしな。
別に武器を拾うくらい俺はなんとも思わないが、このままでいいとも思えないな。
とりあえずアルベルトたちの倒したホブゴブリンの武器を拾わせて、何か事情があるのか聞いてみるか。
「構わない。魔石以外ならなんでも拾ってくれ」
「ありがとうございます」
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