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3.モンスター
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昼寝から目覚めたら罠に魚がかかっていた。
魚は泳いでいるのが見えるほどにたくさんいるのだからかからないわけがないと思ってはいたが、実際石の入れ物から大きな魚が出てくるのを見るとなかなかにテンションが上がる。
陸に打ち上げられてビチビチ跳ねている魚は、日本ではイワナと呼ばれている魚に似ている。
ここは異世界だから、おそらく似ているだけの別物だろう。
だがなんとなく食べられそうな雰囲気ではある。
日本とは常識が違うはずだから川魚が毒を持っていてもおかしくはないが、そんなことをいちいち考えていたらなにもできなくなってしまう。
何か身体に異常を感じたらロードでセーブポイントまで戻ればいいだろう。
そう考えたら案外セーブ&ロードも悪くないスキルだ。
普通ならば慎重になるようなところで多少の無理ができるのだから。
「だがさすがに生で食う勇気はないな」
川魚は寄生虫がいるから生で食べたら死ぬって小さいころ母方のおじいちゃんに聞いたことがある。
実際おじいちゃんの兄弟は幼い頃に川魚を生焼けで食べて亡くなっているらしく、おじいちゃんは川魚の焼き加減にはかなり厳しかった。
だから俺も川魚はよく焼いて食べることが重要だと思っている。
しかし魚を焼くには火を起こす必要があるんだよな。
俺の持ち物は財布とスマホとコンビニで買った食料だけ。
この限られた持ち物だけで火を起こさなければならない。
サバイバル番組を思い出し、持ち物の中に火を起こせる物を探す。
「確かペットボトルは使えたはずだ」
光の集束によって火をつける。
水を入れたペットボトルがレンズの役割を果たすっていうあれだ。
そうと決まればペットボトルを空にする必要がある。
お茶でもできるかもしれないが、サバイバル番組では水を入れたペットボトルを使っていた。
不安要素はできるだけ排除したほうがいい。
もったいないが、俺はペットボトルのお茶を一気飲みした。
「ぐぇっぷ。よし、これに水を入れて光を集束させる」
幸いにも今日は日差しが強い。
あちらの世界は初夏だったが、この世界もおそらく同じくらいの季節だろう。
これならすぐに火をつけられるかもしれない。
俺は下に着ていた黒いTシャツの袖をちょっとだけバリアで切り取り、揉み解して火口にする。
火口は燃えやすいものならなんでもいいが、光の集束を使うならば光を反射してしまう白いものよりも光を吸収しやすい黒いもののほうが適している。
これもサバイバル番組の知識だ。
ありがとう群馬のランボー。
下草の無い岩場に焚火場所を決め、拾ってきた乾いた木の枝や流木を組んでいく。
大きな流木もバリアでカットすれば簡単に薪になってしまう。
やはりバリアはチートだな。
俺は角材のようにカットされた流木をキャンプファイヤーのように組み、その下にもっと細い木の枝や枯草などの燃えやすいものを設置する。
これで焚火の準備は完了だ。
あとは火口にペットボトルの水が集束した光を当て続けるだけ。
煙が出始めたら燃えやすい枯草などをかぶせてふーふーだったな。
ペットボトルの位置を調整し強い光が黒い布に当たるようにすると、意外に早く煙が出始めた。
少し焦ったが、すぐ横に枯草を用意していたおかげでなんとか火を移すことができた。
勢いよく燃え広がる枯草。
それを下に敷いていた石の板を持って組んだ薪の中に投下すればすぐに一番下の燃えやすい細い木に燃え移り、やがてパチパチと太めの木も燃え始める。
「よし、火がついた」
ライターもマッチも使わずに火をつけたのなんて初めてだけど、なんだろうなこの快感は。
これがサバイバルの魅力なんだろうか。
パチパチと燃える焚火を眺めながらそんなことを思った。
「あ、のんびりしている場合じゃないな」
魚を焼くために火を起こしたことを思い出した。
気温的に暖を取る必要はない。
この焚火は完全に調理用だ。
魚を焼かなければ意味はない。
俺は捕らえた魚を石ナイフでさばいていく。
石ナイフも石をバリアでカットして作ったものだ。
バリアで切断した石の切断面はとてもなめらかなので少し強度が低いが、切れ味は確かだ。
魚なんて過去1、2度しかさばいたことがないから少し不格好だが、なんとか内蔵だけは取り出すことができた。
あとはバリアとナイフで削って作った串に刺して焼くだけだな。
塩が欲しいが持っていないので仕方がない。
俺はポテトチップの袋を開け、砕いて魚にまぶした。
もったいないが現代人に味付けしてない焼き魚なんて食えるわけがないだろう。
俺は残りのポテトチップをバリバリ砕いてポテト風調味料にしながら、気長に焼き魚ができるのを待った。
焼き魚っていうのは少し火から離れた場所に置いて遠赤外線で焼くもので、非常に時間のかかるものなんだ。
しかし時間をかけて焼く分、水分が抜けて旨味が凝縮された焼き魚はまるで何日も天日干しにした干物のような風味がある。
俺は干物が大好きだ。
じっくりと待つ価値はある。
「ん?」
ポテチが荒い粉状になり、それをどこまでなめらかな粉にできるか挑戦していた俺の耳が異音を捉える。
バキバキと木の枝が折れるような音が、森の中から聞こえてきた。
俺の心臓の鼓動は自然と早くなる。
モンスターだ。
ついに俺にもモンスターとの戦闘イベントが発生してしまったんだ。
バリアの強度も完璧に把握したわけではないので、絶対的に信頼することはできない。
いざというときは迷うことなくロードを発動することを覚悟し、焚火の前から立ち上がった。
「プギィィ!!」
バキバキと低木をへし折りながら俺の前に現れたのは、巨大なイノシシの化け物だった。
魚は泳いでいるのが見えるほどにたくさんいるのだからかからないわけがないと思ってはいたが、実際石の入れ物から大きな魚が出てくるのを見るとなかなかにテンションが上がる。
陸に打ち上げられてビチビチ跳ねている魚は、日本ではイワナと呼ばれている魚に似ている。
ここは異世界だから、おそらく似ているだけの別物だろう。
だがなんとなく食べられそうな雰囲気ではある。
日本とは常識が違うはずだから川魚が毒を持っていてもおかしくはないが、そんなことをいちいち考えていたらなにもできなくなってしまう。
何か身体に異常を感じたらロードでセーブポイントまで戻ればいいだろう。
そう考えたら案外セーブ&ロードも悪くないスキルだ。
普通ならば慎重になるようなところで多少の無理ができるのだから。
「だがさすがに生で食う勇気はないな」
川魚は寄生虫がいるから生で食べたら死ぬって小さいころ母方のおじいちゃんに聞いたことがある。
実際おじいちゃんの兄弟は幼い頃に川魚を生焼けで食べて亡くなっているらしく、おじいちゃんは川魚の焼き加減にはかなり厳しかった。
だから俺も川魚はよく焼いて食べることが重要だと思っている。
しかし魚を焼くには火を起こす必要があるんだよな。
俺の持ち物は財布とスマホとコンビニで買った食料だけ。
この限られた持ち物だけで火を起こさなければならない。
サバイバル番組を思い出し、持ち物の中に火を起こせる物を探す。
「確かペットボトルは使えたはずだ」
光の集束によって火をつける。
水を入れたペットボトルがレンズの役割を果たすっていうあれだ。
そうと決まればペットボトルを空にする必要がある。
お茶でもできるかもしれないが、サバイバル番組では水を入れたペットボトルを使っていた。
不安要素はできるだけ排除したほうがいい。
もったいないが、俺はペットボトルのお茶を一気飲みした。
「ぐぇっぷ。よし、これに水を入れて光を集束させる」
幸いにも今日は日差しが強い。
あちらの世界は初夏だったが、この世界もおそらく同じくらいの季節だろう。
これならすぐに火をつけられるかもしれない。
俺は下に着ていた黒いTシャツの袖をちょっとだけバリアで切り取り、揉み解して火口にする。
火口は燃えやすいものならなんでもいいが、光の集束を使うならば光を反射してしまう白いものよりも光を吸収しやすい黒いもののほうが適している。
これもサバイバル番組の知識だ。
ありがとう群馬のランボー。
下草の無い岩場に焚火場所を決め、拾ってきた乾いた木の枝や流木を組んでいく。
大きな流木もバリアでカットすれば簡単に薪になってしまう。
やはりバリアはチートだな。
俺は角材のようにカットされた流木をキャンプファイヤーのように組み、その下にもっと細い木の枝や枯草などの燃えやすいものを設置する。
これで焚火の準備は完了だ。
あとは火口にペットボトルの水が集束した光を当て続けるだけ。
煙が出始めたら燃えやすい枯草などをかぶせてふーふーだったな。
ペットボトルの位置を調整し強い光が黒い布に当たるようにすると、意外に早く煙が出始めた。
少し焦ったが、すぐ横に枯草を用意していたおかげでなんとか火を移すことができた。
勢いよく燃え広がる枯草。
それを下に敷いていた石の板を持って組んだ薪の中に投下すればすぐに一番下の燃えやすい細い木に燃え移り、やがてパチパチと太めの木も燃え始める。
「よし、火がついた」
ライターもマッチも使わずに火をつけたのなんて初めてだけど、なんだろうなこの快感は。
これがサバイバルの魅力なんだろうか。
パチパチと燃える焚火を眺めながらそんなことを思った。
「あ、のんびりしている場合じゃないな」
魚を焼くために火を起こしたことを思い出した。
気温的に暖を取る必要はない。
この焚火は完全に調理用だ。
魚を焼かなければ意味はない。
俺は捕らえた魚を石ナイフでさばいていく。
石ナイフも石をバリアでカットして作ったものだ。
バリアで切断した石の切断面はとてもなめらかなので少し強度が低いが、切れ味は確かだ。
魚なんて過去1、2度しかさばいたことがないから少し不格好だが、なんとか内蔵だけは取り出すことができた。
あとはバリアとナイフで削って作った串に刺して焼くだけだな。
塩が欲しいが持っていないので仕方がない。
俺はポテトチップの袋を開け、砕いて魚にまぶした。
もったいないが現代人に味付けしてない焼き魚なんて食えるわけがないだろう。
俺は残りのポテトチップをバリバリ砕いてポテト風調味料にしながら、気長に焼き魚ができるのを待った。
焼き魚っていうのは少し火から離れた場所に置いて遠赤外線で焼くもので、非常に時間のかかるものなんだ。
しかし時間をかけて焼く分、水分が抜けて旨味が凝縮された焼き魚はまるで何日も天日干しにした干物のような風味がある。
俺は干物が大好きだ。
じっくりと待つ価値はある。
「ん?」
ポテチが荒い粉状になり、それをどこまでなめらかな粉にできるか挑戦していた俺の耳が異音を捉える。
バキバキと木の枝が折れるような音が、森の中から聞こえてきた。
俺の心臓の鼓動は自然と早くなる。
モンスターだ。
ついに俺にもモンスターとの戦闘イベントが発生してしまったんだ。
バリアの強度も完璧に把握したわけではないので、絶対的に信頼することはできない。
いざというときは迷うことなくロードを発動することを覚悟し、焚火の前から立ち上がった。
「プギィィ!!」
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