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もうすぐ彼が覆い被さってくる
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見つかってみたくて慰める人(台詞無し)
もうすぐ彼が覆い被さってくる、
そういう妄想をした。
見つけてしまった彼が脱いだTシャツは、手に取るまでは洗濯カゴへ入れるつもりだった。
……いや、ウソだ。
目にして3秒後にはどうなるだろう?
と思っていた。
これを手に取ったら、したくなるだろうか?
恋人の残り香を嗅ぎながら自らを慰める、なんて耳にしたことはあったが実践したことはなかった。
こういった、服だけを残して本人は不在、なんていう絶好のタイミングも今までなかったし、
いや、一回くらいはあったかな、
少なくとも、こうやって考えるのは初めてだったと思う。
とにかく俺は、ああそういえば珍しく朝急いでたものなあ、と普段は几帳面で掃除好きの恋人の顔を思い浮かべなから、そのパジャマ変わりのTシャツを手に取った。
量販店で500円くらいで売られていた割に肌触りの悪くないそのシャツは、持ち主ではない俺の手にもよく馴染んだ。
でも同じものを買って着ている筈なのに不思議と自分用のものとは微妙に感触が違う気がした。
それを味わいたくて何度も撫でそうになるが、本来の目的を思い出し、ただでさえ体臭の薄い彼の香りが消えてしまわないようにとすぐに止めた。
寝室のドアを閉めようか迷って、開けたまま照明だけ彼と抱き合う時のように落とした。
人間の脳とは単純なもので、すぐにスイッチが入ってパブロフの犬のように涎が出た。
バカみたいに興奮しきったままベッドメイクされていない布団に潜り込んで、いつも彼の居る方に寝そべって、その慣れない位置に、
そういえばたまに俺が動けなくなったりしてこっち側で寝たこともあったな、
と思い出してまた熱が上がった。
火照った体を自分の手で撫で回すと、ぞくぞくと肌が粟立つのを感じた。
耐えきれなくなってスウェットのズボンをなおざりに脱いで下着の上から自身を撫でた。
そこはもう湿っていて、荒くなる息に気を取られて熱が冷めないように深く呼吸をした。
空気を吸い込むと、彼の香りが鼻先を掠めたのに気付いて、それを追い掛けるように枕に顔を埋めた。
俺が彼の恋人でなければ、きっとこの花のような洗剤の香りしか嗅ぎとれまい、と思うとまた更に興奮して自然と腰が揺れた。
そのまま彼の指を舌を眼差しを声を、
覆い被さってくるあの香りと影と唇を、
思い出しながら下着を脱ぎ捨てた。
鍵の音が響いた時、一瞬心臓がぴくりと跳ねた。
でもそれは本当に一瞬で、そのあとに続くドアを開けたり荷物を置いたりする音は待ち焦がれていた音そのものだった。
けれども俺に向けられた、小さくただいまと響くその愛しい声でさえ、俺を完全に現に戻すにはまだ至らなかった。
記憶でも妄想でもない本物の彼は、一体俺を見てどんな顔をするだろう。
心配性なところのある彼は、いつものようにおかえりと迎える俺の声がしないことを不思議に思いながら、きっと少し早足でリビングに向かい、開け放たれた寝室のドアの奥のオレンジ色のランプと、ドアに向けられた俺の背中を見て具合でも悪いのかと少し肝を冷やすだろう。
でも目敏いところのある彼だから、きっとベッドの下に脱ぎ捨てられたズボンや下着をすぐに見つけて、俺が今何をやってるかとか彼にどうして欲しいかなんてすぐに気が付く筈だ。
ほら思った通り彼の足音が近付いてくる、
もうすぐ彼が覆い被さってくる
もうすぐ彼が覆い被さってくる、
そういう妄想をした。
見つけてしまった彼が脱いだTシャツは、手に取るまでは洗濯カゴへ入れるつもりだった。
……いや、ウソだ。
目にして3秒後にはどうなるだろう?
と思っていた。
これを手に取ったら、したくなるだろうか?
恋人の残り香を嗅ぎながら自らを慰める、なんて耳にしたことはあったが実践したことはなかった。
こういった、服だけを残して本人は不在、なんていう絶好のタイミングも今までなかったし、
いや、一回くらいはあったかな、
少なくとも、こうやって考えるのは初めてだったと思う。
とにかく俺は、ああそういえば珍しく朝急いでたものなあ、と普段は几帳面で掃除好きの恋人の顔を思い浮かべなから、そのパジャマ変わりのTシャツを手に取った。
量販店で500円くらいで売られていた割に肌触りの悪くないそのシャツは、持ち主ではない俺の手にもよく馴染んだ。
でも同じものを買って着ている筈なのに不思議と自分用のものとは微妙に感触が違う気がした。
それを味わいたくて何度も撫でそうになるが、本来の目的を思い出し、ただでさえ体臭の薄い彼の香りが消えてしまわないようにとすぐに止めた。
寝室のドアを閉めようか迷って、開けたまま照明だけ彼と抱き合う時のように落とした。
人間の脳とは単純なもので、すぐにスイッチが入ってパブロフの犬のように涎が出た。
バカみたいに興奮しきったままベッドメイクされていない布団に潜り込んで、いつも彼の居る方に寝そべって、その慣れない位置に、
そういえばたまに俺が動けなくなったりしてこっち側で寝たこともあったな、
と思い出してまた熱が上がった。
火照った体を自分の手で撫で回すと、ぞくぞくと肌が粟立つのを感じた。
耐えきれなくなってスウェットのズボンをなおざりに脱いで下着の上から自身を撫でた。
そこはもう湿っていて、荒くなる息に気を取られて熱が冷めないように深く呼吸をした。
空気を吸い込むと、彼の香りが鼻先を掠めたのに気付いて、それを追い掛けるように枕に顔を埋めた。
俺が彼の恋人でなければ、きっとこの花のような洗剤の香りしか嗅ぎとれまい、と思うとまた更に興奮して自然と腰が揺れた。
そのまま彼の指を舌を眼差しを声を、
覆い被さってくるあの香りと影と唇を、
思い出しながら下着を脱ぎ捨てた。
鍵の音が響いた時、一瞬心臓がぴくりと跳ねた。
でもそれは本当に一瞬で、そのあとに続くドアを開けたり荷物を置いたりする音は待ち焦がれていた音そのものだった。
けれども俺に向けられた、小さくただいまと響くその愛しい声でさえ、俺を完全に現に戻すにはまだ至らなかった。
記憶でも妄想でもない本物の彼は、一体俺を見てどんな顔をするだろう。
心配性なところのある彼は、いつものようにおかえりと迎える俺の声がしないことを不思議に思いながら、きっと少し早足でリビングに向かい、開け放たれた寝室のドアの奥のオレンジ色のランプと、ドアに向けられた俺の背中を見て具合でも悪いのかと少し肝を冷やすだろう。
でも目敏いところのある彼だから、きっとベッドの下に脱ぎ捨てられたズボンや下着をすぐに見つけて、俺が今何をやってるかとか彼にどうして欲しいかなんてすぐに気が付く筈だ。
ほら思った通り彼の足音が近付いてくる、
もうすぐ彼が覆い被さってくる
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