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メイドの、企み
しおりを挟む翌日になり朝食が終えた頃、エヴィナの家から馬車と護衛のメイドが着く。両家の備品のチェックが終え次第出発となるので外に出ると、元クラスメイトの姿を見付けた。
「何やってんだロシェル」
「あ」
働くメイドを見渡すと、レイナとマキの姿もあった。きっともう1人も居るハズだ。
「エヴィナー、来てくれーっ」
「アタシ達依頼だもん」
エヴィナにエリザベス様も来て、メイドに扮したガサツ者を問い質すとそう供述した。集まった3人衆が言うに、クリスエス商会へ買い物に来たエヴィナの家のメイドの話を聞き、指名依頼を出してもらう事にしたのだと。
「私達、昨日の夕方から泊り込みで搬出入のお手伝いをしてたのよ」
「私も久しぶりにメイド服に袖を通しました。それよりも、連絡が遅れてすみません」
「知らせたかったけど、1人じゃお屋敷の外に出られないから…ごめんね?」
「3人の言葉を信じるよ」「おいユカタこら」
「お嬢、人手が要りやしたので勝手しやした」「えろうすんません」
「…まあ良い」
雇い主の主が良いなら良いのか?エリザベス様も気にしない様子だし、これ以上意地悪するのは止めておこう。
エリザベス様の馬車にはエリザベス様、エヴィナ、セーナとメイドが3人。エヴィナの馬車には僕とメイド服の4人とメイドが2人乗って街を出る。
「ユカタァ、似合う?コレ似合う?」
「みんな同じに見えるよ」
「嘘つけ、さっきはアタシの胸ばっかり見てたじゃん」
「その内見下ろしてやるからな」
「ユカタ君、私も…似合ってる、かな?」
「うん」
両腕で柔らかい物を挟み込み、上目遣いで聞いて来るジュンには素直に肯定するしかない。
「ユカタ様、昼までゆっくりしてください。特に危険もありやせんので。お前等も休んでおけ」
「「「はい」」」「はーい」
4人はこれでも仕事中。メイドの命令は絶対だ。馭者側の席には3人衆、後部席には僕とロシェルが着いて静かに過ごした。昨日はちゃんと風呂に入ったのだろう。ロシェルから良い匂いがして、思わずウトウトしてしまい、気付けば昼の休憩地に着いていた。
「起きろロシェル、みんな外に行ってるみたいだぞ?」
「お昼出来たら起こして」
「お昼を作りに行くんだよ。起きろ」
後に聞くと、僕が寝ちゃってたので食事が出来た頃に起こせと言う指示だったそうだ。危うく昼飯抜きになる所だったぜ。
「そっちはお楽しみみたいだな」
「寝てただけだぞ?」
「けっ、卒業したんだから羽目外せよ」
「宿に着くまでおよしなさいな」
宿に着いてもよしますが?羽目を外して、セーナに何言われるか分かったモンじゃない。
「妻に妾がいっぱいで、まるで貴族様みたいよ?」
「いっぱい稼いで豪商になったら考えるよ」
「家で働く気になったのね」「私の家でも大丈夫ですっ」
「それよかオレントコに婿に来いよ。デカい戦争もねーしさ」
「当家に来れば指揮を任せますよ?ふふっ」
戦争になったら戦いに出なきゃいけないんだろ?その前にエリザベス様とは家格が違い過ぎるってば。こちとら平民だぞ平民。
その後は何事も無く休憩地に着き、夕飯等して床に就く。休憩地には先客の乗合馬車がいたが、コチラが貴族の馬車と知ると騒がず寝てくれたようだ。
翌日の昼、村に到着。昼食を済ませ、土魔法と水魔法で湯浴みをしている間にエリザベス様の護衛部隊の第一陣が到着した。早いな。
「エリザベス様、我等ローウィラー駐留隊、只今到着致しました」
「ご苦労。けれど馬を使い過ぎね。今日はここで馬を休ませなさい。私達は常歩で行くので貴方達なら速歩程度で合流出来るでしょう」
やっぱり早過ぎたようだ。兵士の代表は少しゴネたがエヴィナの家の護衛もいると聞かされ幾分納得したようだった。
夜、ブフリムの夜襲を受けた。乗合馬車に少しだけ被害があり、乗っていた冒険者が怪我をした。
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