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祝い、酒
しおりを挟む「ヤったか?」
宿に戻って最初に出たのがコレである。声の主はエヴィナ。貴族街から戻って来られたようで良かったな。
「…ヤったぞ」
喜んでるのはエヴィナだけ。エリザベス様とレイナ、マキは澄ましているが、その心根は如何に?ジュンは下見てる。ロシェルはうつ伏せだ。寝てるのか?
「みんな、ごめんね。ルイ姐さんに叱られちゃった」
ルイ姐さんとは食事等しながら色々聞いた。それを皆に伝えてく。僕が知らなかった事もあるが、皆に寂しい思いをさせていたのは確かだ。
「男子に話す事じゃないからね」「お金も掛かる事ですから」
「だからあの時、私が融通する、と」
「借金ヤダもん」
ロシェル起きてたか。
「ここの司教さん、男性だし、怖かったから…」
彼女達がお金を払って男の司教に股を開く。ルイ姐さんに聞いた時、僕はどうして良いか分からなくなった。
「そこでね、王都の司教さんに施術してもらえって。王都の司教さんは女性だから。お金は僕出すし、お願い出来る、かな?」
「そんな、自分の分は自分で出すよ」
「旦那がこう言ってんだ、甘えとけよ。それに出しても3人分だろ?」
「3人?」
聞くと、貴族と元貴族の3人は子供の頃に施術を終えているのだと。
「物心付く前でしたので。今思うと怖いですわね…。貴方様、抱きしめて下さいましっ」
「オレなんて親父も一緒だったんだぞ?旦那~怖い~」
「みんなが致せないのに、私達だけってのはフェアじゃ無いもの」
「レイナ様、もしかしてあの時ですか?」
「そ。一緒に寝た日よ」
レイナは物心付いてたみたい。泣いてるレイナを慰めながら寝たのだと。
「でも、赤ちゃんは?」
「それも解術出来ます。お忘れに?」「うん」
避妊魔術。そんなの僕知らなかった。元は貴族様が襲われた時に不義の子を授からないための物だったそうで、その内に一部モンスターや同業者に苗床にされる女性冒険者の不安を解消出来る施術だと言う事で、冒険者ギルドからも女性のみ、極秘裏に推奨されるようになったと、ルイ姐さんは教えてくれた。ちなみに男性向けのは処刑用で、やったら二度と…だそうだ。
「王都に向かう楽しみが増えましたね。貴方様」
「ロシェル、良いかな?」
「ユカタァ~」
うつ伏せのロシェルに被さって、耳元で聞いてみる。嫌なら跳ね飛ばしてくれ。
「うう、ルイ姐さんの匂いがする~」
お風呂には入ったんだけどな…。一緒に入ったらそりゃあするか。その後寝るまで査問会が開かれた。
女性達の間で何やら取り決めが成されたようだ。食事を摂り、昼飯を買って宿を引き払うと外に出て鍛錬に費やす。普段と差程変わりが無いように見えて、何かおかしい。
「ベス?何があったの?」
「特に何も?」
「…じゃあもうエリザベス様って呼ぶから」
「んんんっ!んんんんんーっ!」
「過度な接触を禁じたんだよ。間違えて咥えちまうかも知んねーだろ?」
「しないよ僕っ、我慢出来るもんっ」
だと良いな、だって。小癪な。
「ベスです」
唸ってたコチラ様は今度は拗ねて居られる。
「ベスとお呼び下さい!」
「抱き締めてくれたら呼んであげます。エリザベス様」
「んもーっ」
牛かな?抱き着いてくれたのでベス呼びに戻してあげた。
鍛錬して、昼食を食べ、貴族街に向かう。エリザベス様とエヴィナは顔が知れてるので誰何される事は無いが、後ろに続く僕達平民はジロジロ見られる。居心地悪い。
「お嬢、お待ちしてやした」「お嬢様…」
「悪りぃな。世話になんぜ」「私は家から離れた身。その呼び方はお止めなさい」
エヴィナのメイドの下宿に着くと、エリザベス様のメイドも並んでて、どこからかお嬢様との声が漏れる。それでもエリザベス様は嬉しそうで、メイドさん達も嬉しそうだった。
「お前等嬉しいか?」
「もちろん。酒宴の支度も上々でさ」
それ、メイドが飲みたいだけじゃない?
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