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負担の、代償
しおりを挟む「ねね、ユカタ」
「何だ?」
「お腹空いたね」
「交代する時に干し肉出すよ」
…………
…………
「ねね、ユカタ」
「何だ?」
「エヴィナのおっぱい揉んだでしょ?」
「硬皮のブレストだけどな」
…………
…………
「ユカタ君」
「何だ?」
「ローブなら、柔らかいよ?」
「獣が見てるよ」「ガルルル…」
…………
…………
「ユカタ君」
「何だ?」
「寝たみたい」
「起きろ馬鹿、死ぬぞ?」「ねてらぁい」
…………
…………
「あの、ユカタ君」
「何だ?」
「私の事、好きですか?」
「ジュンちゃん」「あンた…」
…………
…………
「あの、ユカタ君」
「何だ?」
「催して来たのですが」
「ジュンちゃん」「アタシも…」
各々寝てしまわないように、時間を空けて話し掛けて来る。早起きなロシェルは夜更かしに弱く、じっとしてるとウトウトするのでソレを起こすためでもありそうだ。同じ返事ばかりしてるので、僕も眠くなってしまうよ。
「ねね、ユカタ」
「…何だ?」
「獲物来た」
…………
「…いっ、位置と数っ」
「お静かに」「大丈夫。壁があるから」
「で、どうする?位置はあっちから来てる。数は…弱いかな」
ロシェルの勘では数や種類は分からんが、方向と全体的な強さは分かるようで、僕を基準にした強さで表現してくれる。僕でも殺れるレベルの敵が不明な数寄って来てるそうだ。
「ガリガリしないなら放っておくか」
「ガリガリされたらどうします?」
「殺るしか」「ないよねっ」
アッゼニまでの道中で、面倒事を放置した結果、壁にうんこをされた事があった。なので寄って来たら出来るだけ処理したい。しかしジュンに魔法を使わせたくないし、血の匂いで新規がやって来る事もある。夜空に雲は掛かって無いが、星灯だけでの夜戦は怖い。ロシェルはともかく、マキと僕が傷付け合ってしまいそうだ。
「お休みの方々を起こしましょうか?」
「ロシェル、登って数確認出来る?」
「もういるよ。数は…3かな。そろそろ柵を越える。視界はあるから、アタシ真ん中にして各個で殺ろ」
「仕方ない。ジュン、開けてくれ」
増援が来るようなら皆を起こすと言う事で、ジュンの開けた穴から僕とマキは静かに外へ出た。抜剣し、マキは左、僕は右側に回り込みながらロシェルの指差す方向へ歩を進めると、ガサガサと草薮を掻き分け、柵を越える3匹のブフリムに狙いを定めた。
「グヒッ」
1匹が柵から前のめりで倒れ込む。ロシェルが殺ったか。それを合図に駆け出して、それぞれの獲物に剣を振るった。
「生死確認して耳切っとくから、ジュンを呼んで来て」「あ~い」
ジュンに死体を埋めてもらい、光源の無い夜戦は終了した。敵が馬鹿なブフリムで良かった。多少素早い敵とかだと、避けられてマキと刺し違える可能性もある。たった1匹殺るだけでも精神力を持ってかれるな。それにジュンの消耗も馬鹿にならない。壁と地面に穴を開けたり閉じたりして、回復する以上の魔力を使わせてしまう。やはり戦うべきでは無かったか?交代まではまだあるが、とにかくジュンには寝てもらった。
何度かの交代を経て朝になり、食事や支度を済ませると、馭者の合図で出発となる。
「昨夜だけでブフリム8のウォリスが4。数はともかく、夜戦は気を張りますわね」
「オレは前衛1人だったから良いが、混戦になったら気を付けねぇとな」
「死体の処理は私がしますから、気にせず起こしてくださいね?」
「だな。危うく壁の外で寝る所だったぜ」
エリザベス様達の組にも敵襲があって迎え出たのだが、エヴィナは馬車伝いに外に出たまでは良かったものの、戻る事が出来なくなってジュンを起こして処理等してもらったそうな。
「とにかくジュンはゆっくり休んでよ。設営に夜戦に、魔法を使い詰めてるからね」
皆も同様に休んでもらう。敵が少ない日中に、少しでも回復してもらわねば。
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