【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

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滞在、5日目

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 昼になり小食堂に通されると、セーナとエリザベス様も入室した。

「セーナ、間に合ったみたいだね」

「途中で切り上げたのよ。午後も離れるわ」

 席に着くセーナに声を掛けると、セーナは言葉の後に溜息を吐いた。お仕事頑張って下さい。

「その分私がわたくし一緒に居りますわね」

 エリザベス様の用事は済んだようで、午後は丸々暇であると言う。僕はずーっと暇なのでご一緒してくれるのはありがたい。1人になるとメイドさん達の視線が痛いのだ。

 食事をしながら先程王妃様達とした話をする。義両親が村に住んで、領地運営を協力してくれる話にはエリザベス様も驚いていたが、少し逡巡して納得したようだ。利はあると判断したのだろう。

「建築士もそうだけど、職人を増やすのは賛成ね。兵士を増やすのならアルアインにはそちらの生産を主にして欲しいもの」

「お母様とも擦り合わせをせねばなりませんね。セーナ嬢、時間が取れましたらご一緒下さいます?」「ご一緒致しますわ」

 おほほほほ、貴族笑いの2人は何か企んでるようだが、何するつもりだ?



 それから3度目の朝が来て、慌ただしい城内が喜びの声に満ちた。僕は普通に寝てたんだけど、メイドさんに叩き起され部屋を出るとこんなに居たのかと思う程メイドさんが動き回っていた。

「これから忙しくなります。お食事を摂られましたらエリザベス様と共に居て下さいませ」

 何となくは察していたが、何をするのかは分からないので指示に従う他は無い。小食堂に入るとセーナが先に着いていて、エリザベス様の姿は見えなかった。

「おはようセーナ。エリザベス様はまだなの?」

「ええ、おはよう。エリザベス嬢は昨夜から寝ずの番で今は休んでいるわ」

 王子妃殿下の傍にいたのか。セーナもが上がるまで一緒してたそうだが、平民であるためお暇をもらったそうだ。

「そっか。会えなかったんだ」

「オロオロしてる王子は見ていて楽しかったわ。コレ以上望むのは欲張りよ。その内お披露目もあるでしょうし、嬢が起きたら報告を聞きましょ」

「男爵様、ご予定もありますのでお急ぎ下さいませ」

 起き抜けから忙しいと言っていたが、何の予定があるのだろう。

「僕何するの?」

「ご生誕のお祝いのご挨拶ね。今頃広間は人だらけよ?」

 メイドさんへの質問は、セーナが代わりに答えてくれた。街に居る貴族が続々集まりエントランスに溢れているとメイドさんは続ける。僕は下級貴族なので呼ばれるのはだいぶ後になってからだと言うが、妻が上級貴族の縁者なので繰り上がりもありえるそうで、準備だけはしておけと言う事だと。腹六分目で切り上げて、入浴と着替えを済ませて客間に向かうとエリザベス様が先着していた。

「貴方様、おはようございますわ」

「おはよう。ちゃんと休めた?」

「今日は無理をしませんと。うふふ」

 忠誠を見せるのも貴族の努め、か。それが無くても知り合いのお祝いだ。僕だっておめでとうの一言を言いたい。

 …一言所では無かった。エリザベス様とメイドさんが付きっ切りで僕の頭に祝辞を詰め込んで、時間一杯まで予行練習する事になり、急ぎ足でエントランスを降りると息を整える間も無く広間への入室を告げる名乗りを上げられた。入口から一直線で王子と王様夫妻のいる最奥までの人が割れて道となり、僕達3人、2人と1人で進んでく。エリザベス様が止まると僕と後ろに控えるセーナも止まって膝を着いた。

「口上に感謝する。貴殿が居らねば今日こんにちの祝いは無い。今後の忠節にも期待する」

 貴族の挨拶は長い。平民の頭でよく覚えられたモノだ。自分で自分を褒めてあげたい。王子殿下の返事は短い物だが、それでも後に来た貴族よりは二言長かった。それからも貴族が続々と続き、大広間を一杯にして1回目を終えた。この後休憩を挟んで2回目もやるそうだ。1回目で入れなかった人達も手間だろうが、王様達も大変だな。










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