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ギルド職員は、村人ではない
しおりを挟む翌日になり、全住人に貨幣制度の導入が伝えられた。子供達は酒を飲まないし飲ませない。さらに言えば子供からはお金を取らないのでお金を使う場所もない。なので『大人になったらタダじゃなくなる』と言う事を忘れない程度に聞かせておいた。酒を飲む悪ガキは反発したが、甘い水を人質にして解決させた。
反発は大人からも出た。冒険者ギルドだ。突然土地代や食費を払う事になったのだから当然ではあるが、こちらは土地を売ってもないし、譲渡してもいないのだから土地代を取るのは当然だ。土地代が払えない程儲からないならギルドを置いても仕方無いと言う領主側の主張に、反論する事は出来なかった。最悪、『嫌なら帰れ』されたら生きて戻る事が出来ないのだ。折れるしか無い。
「なぜ我々だけ賃貸料や食費が掛かるのでしょうか。同じく入領した職人達は酒場代だけではありませんか」
「ンなモン住民の服代がタダだからに決まってんじゃねーか。代わりに材料をタダでくれてやってる。お前等は何を貰って何を返す?」
食堂でタダ飯を食うだけで、ギルドは何も出来ていない。今はまだ開業してないのだから当たり前だが、エヴィナの問いは今ではなく、その後の事を聞いている。ギルドマスター代理代行は責任に飲まれ、言葉を返す事が出来なくなった。僕はさらに言葉を重ねる。
「ギルドカードの発行も、歳を問わなくしてもらうよ。僕はコレで路頭に迷ったからね。子供の小銭を大人がぶん殴って奪うような事はさせないし、ギルドが対処しないから酷い目に遭う子供が出るんだ。国や街のせいにしても良いけど、我が領はそんな事させないから」
何を貰って何を返す。1つの例えを聞かせてやるが、ギルド側は頭真っ白になって考える余裕が無いみたい。それでもギルド本部からの出向か?俯いて黙っていると、メイドさんにより書面が配られ、ギルマス代理代行は虚ろな目でサインを入れた。契約書か。商人や一部の貴族はこの書面が命より大切だと言う。書面化された約束を破ると酷い目に遭うそうな。
「領主様」
僕も名前を書くみたい。ちゃんと読んで、エリザベス様に意見を聞いて、サインした。
「ウェストモーア男爵と冒険者ギルドとの間に、私立ち会いの元契約がなされました。双方努努違えませぬよう、よろしいですわね?」
義母様の言葉に頭を下げる。後で聞いたが相手が虚ろな状態だったのを見てゴリ押ししたようだ。それでもギルド側にとっては負担の軽い契約だそうで、仕事をする冒険者の負担は僅かなものだろうと義母様は言葉を締めた。
「ワシ等にして見りゃ金払ってでも飲みたかったんじゃ」「酒場万歳よ!」「「「バンザーイ」」」
棟梁達は飲む気満々。酒場の完成を急いだ。他の建設を蔑ろにするのはやめて欲しいが、ギルド職員の食事の場ともなるので仕方無いと言う。仕方無いとは言うが、食堂で彼等からだけお金取れば良いんじゃないのかなぁ…。言っても、中途半端じゃ終われんと返される。他のも中途半端なんだけど。
「私達はお酒なんて飲みませんからねぇ」「食堂で頂けるだけで十分飲み過ぎですよ」「酔わせても、満足させてあげられませんよ?ふふふ」
針子さん達は僕と同じでほとんど飲まない。お相手は間に合ってますので沢山稼いでくださいね。
「やっと好きなだけ飲めるぜぇ」「生産量は有限だけどね」「では生産量を増やしましょう」「アルアイン嬢、ツルネだけで作れないモノかしら?」「味は変わるでしょうが、試してみますね」「よしなに」「「「よしなに!」」」
飲兵衛達は翌日の苦しみを忘れて快楽を夢見る。何がよしなにだ、程々にしないと大変だぞ?
目標があると達成が早く、3日もしないで酒場が出来た。物理建築と魔法建築の融合であると言う。さらにその後しばらくして、村はツルネを使った蒸留酒の特産地となった。好きな物に掛ける情熱は半端ないな。
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