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平穏は、続かない
しおりを挟む「うう、貴族様との商売に、色気なんて出せないわよぉ…グスッ」
立会人が政務室を出て、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになったペニーを慰める。貴族独特のオーラは僕等平民の心を抉って来るからな。気持ちは痛い程分かる。
「分かってるよ。僕はともかく後ろ盾は怖いからね。色気出そうとする者が出た時に、しっかり釘を差せって事だと思うよ」
「帰ったら父さん達に釘差して、自慢してやるわっ」
栽培が成功すると良いけどな。出来なかったら泣き損だ。翌日からは再び野外の調査をし、10日掛けて魔獣帯の際までを見て周り、旧友達はオーイへと帰って行った。
「これからは冒険者の往来も増える事でしょうね」
「今回は話が分かる相手だったけど、勝手する輩も必ず現れるわ」
「そうだね。立ち入り制限区域、みたいなのを作らなきゃ。棟梁さん達と予定の調整するね」
旧友を見送る3人衆は今回の来訪で得た経験をすぐに反映するようだ。畑や工場、人の住む住居には必要以上に近付いて欲しくない。壁の上も危ないから上がって欲しくないと感じた。その日の夜の話し合いでは来訪者の移動制限についてを議題に上げて、村の西・畑区、水源区の工場周辺、村の東・居住区への立ち入りを禁止する事に決まった。同時に侵入者への罰則も決められる。
開け放たれた路地に誤って入って罰を受けては可哀想。なので各集合住宅の入口には木の門が設置された。今はまだ来訪者が居ないので、来訪者が来たらその都度守衛を立てる事となり、住民達に伝えられた。畑の入口にも門が建ち、工場の周りには壁が建てられた。獣民少年共が上がれないようにスベスベのオーバーハングにしたのでヒト種は絶対無理だろうと思ったが、ロシェルは難無く上がって見せた。男の子達には喜ばれたが、やり直しのジュンは不満顔だった。
「んもー、ロシェルちゃん何で登れるのーっ!?」
「日頃の鍛錬?」
「これ以上高くしたら余計興味を引いちゃうよっ」
「こんな曲がった形の壁な時点で目立つしね。普通の壁に戻そうか」
「そうだね…気を引かないのが一番…だね」
「お前等も、登れるからって登んなよ?」
「「「うぇーーい」」」
とは言え娯楽がないからな。登り出す前に何とかしなければ。
余計な事に4日も使ってしまったが、村は平穏を取り戻し、宿屋が完成した。酒場の右隣に隣接して造られた建屋は1階石造、2階木造の二階建て。酒場に隣接する場所を切り抜いたコの字型に造られて、中庭では整備や洗濯、簡単な鍛錬ができる。素泊まりのみで1泊5,00~40,00Uとなっている。5,00Uのは大部屋雑魚寝、僕は泊まりたくない。
宿屋は出来たが客はしばらくないだろう。と高を括っていた僕に報告が入る。
「…で、どう致しましょうかね?金を返して帰しますかい?」
1泊5,00Uの大部屋に、獣民少年共が寝泊まりに来たと宿屋の新米女将が告げ口に来た。娯楽も無ければお金を使う場所も無い。悪さをしてる訳でもないので頻発しないなら良いのではないかと話をまとめた。それに客が来るまでの練習にしたら良いんだ。
建設が落ち着いたと思ったらまた新設するそうで、壁作りに来てくれたのは棟梁兄だけとなった。宿屋の隣に公共浴場と、さらに隣にもう1つ宿屋を作る予定だそうで、来たる新規住民のために集合住宅も増産したいとの事。大通りに向かい合わせになる店舗も作りたいそうだ。夢は膨らむな、人来ないけど。ハキとオッサンと僕で壁作りを続けて10日。陸路から何者か来たと壁の上から報告があった。
「貴方様、大勢が騎馬と馬車にて現れました」
エリザベス様の風魔法も飛んで来た。エリザベス様が数を把握する前に報告するとは、だいぶ大勢なのだろう。
「ユカタ~、多分軍人だよ?どーしよ?」
「どうしようも何も、出入りを封鎖する。ジュンを呼んでくれる?」「あ~い」
ロシェルも言うが、騎馬を連れてるって時点でそんな気はした。
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