女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
105 / 1,519

ぶちのめす!

しおりを挟む


 ゴーラナイフは予備も含めて三本帯刀。ちゃんとテイカに研いでもらった。
服と鎧にコートも着込んだ。メイドに洗われて臭くない。ポケットには飛び道具石ころ二つ。
お弁当はイゼッタが干し肉を炙って叩いて柔らかくしたのを数枚と、此方もイゼッタ作の水筒にお茶を入れて、肩掛けカバンに詰め込んだ。

「カケル、準備よろし」

イゼッタも準備万端な様子で、俺におぶさり革ベルトで繋がれている。
今日は二人でゲビトをぶちのめす!

一昨日からずっと気になっていたのだ。彼奴等、何処に向かっていたのかと。
戦力はだいぶ削いだが主力は八人残ってる訳だし、仲間を増やされても、人の、特にランナー族の集落を襲われても困るのだ。ランナー族だってそんなに弱くは無いだろうが、殺られる前に殺るしかない。
昨日、武器を買えたら一人で行こうかと思っていたが、皆が抱き着いて離さないのでイゼッタが着いて来る事になった。
だが敢えて言おう、過剰戦力であると。

飛行砲台となった俺は昨日の場所へと飛び立った。

 イゼッタの耐えられる速度で飛び、漸くして激闘の跡地に到着した。
死体は粗方野獣に食われたようで、ブフリム達の臭い袋や武器が散乱してる。小銭やアイテムを探してうろうろし、カバンが武器になる程度に重くなった。

「中々の稼ぎ」

「殆ど鉄貨だろうけどな」

ゲビトの居場所をギフトで探すと、一昨日向かっていた方向に進んでいるようで、体が引っ張られた。手下は要らないのか、行く先々で増やすのか、それとも自分達だけで充分なのか。何方にしてもやる事は変わらない。
森の上に上がり、追跡を開始したが進行方向の先に幾本もの煙が立ち上っているのが見える。
彼奴等に加熱調理の概念が無ければ集落が襲われているって事だな。

「カケル」

「急ぐぞ」

ちょっと早目に移動した。

 煙の下は戦場だった。八対多数でボコボコにされている。勿論、ボコボコなのは八人では無い。
マッチョボディはどう言う訳か矢が刺さらない。魔法も何だか効いてないみたいだ。

「魔法で堅くなってるかも?」

「被害が出ないように殺れるか?」

「わかんない」

「上からより横からだな。以前森を斬ったみたいに。首を狙えば被害も少なかろう」

「そうする」

ごにょごにょと呪文を唱えている隙にゲビト達の横に回り、八つの円盤が敵の首目掛けて飛んで行った。
八本の血柱を上げて戦いが終わる。
やっぱ過剰戦力だった。俺も結構苦労したのになぁ…。

「大丈夫か!?」

「た、助かった!礼を言う」

「待てっ!貴様ら何者だ!?」

また貴様かー。

「見ての通り、通りすがりの強い奴らだ」

「後ろの女は確かに物凄いが貴様は何もしてないだろうが!」

「俺は一昨日頑張ったんだよ」

「変なヤツめ。とにかく礼はする。浮いてないで降りて来い!」

確かに見下すようで失礼だったな。降りて謝辞を受けよう。集落は入口付近が潰れたりしていたが殆どの家屋は無事だった。まあ時間の問題だったかも知れんがそこは言わぬが花。

「余計な手出しをした事を詫びた方が良いか?」

「否、正直助かった。矢が刺さらずジリ貧だったからな。俺はカヤンだ。この村で狩人をしている。長の所へ案内する」

「カケルだ」

「イゼッタだ」

真似んな。革ベルトを外して降ろしてやる。
謝辞を述べる村の戦士達を抜けて、カヤンの後を付いて行った。皆耳が隠れる帽子だか防具を着けているが、多分ランナー族だろうなー。

長の家はそれなりに大きい。寄り合い所とかにも使ってるのかな?
玄関前で待ってる間にそんな事を考えてると、暫くして入って良しと中に誘われた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい

夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。 彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。 そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。 しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

処理中です...