女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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裏技

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 女達の威圧?の篭った名乗りにタジタジの大男の図が出来上がる。

「嫁だと…」

「俺達は門の近くまで向かうつもりだ。用が無いなら行くぞ」

草地にちょっと迂回して通り過ぎる。暗くなって来たとは言え、浮いてるの見られても困るしな。

「ちょ!待てよ!」

トレンディなドラマの台詞を吐くヤクザ顔をスルーして先を急いだ。どうせ明日には同じ場所に居るだろ?

「私も名乗った方が良かったですかね?」

「休んでなされ」

「…はい」

先を急ぐとは言ったものの、木の実だけでは物足りない。五人で十個の木の実を平らげたのだが、ふわふわで食べた気がしないのだ。

「アズは火の魔法使えるか?」

「え?はい。ファイアなら使えます」

「肉、焼きたい」

「カケルさん、良かったら何か獲って来ようか?」

「ちょっと待ってな」

ギフトで獲物になりそうな物を調べるが、近くには居ないと出た。

「居なそ?」

「ああ、遠くには居るがここは我慢して先を急ごう」

「にくぅ~」

はらぺ娘め。

「ほんとはダメだが裏技を使う。だから我慢だ」

荷車の速度を上げた。


 メルタールの街に着くと、門の前には荷車が並び、いくつものテントが建っていた。此処で夜を明かすと泥棒が来るかも知れないな。さっきの商隊はそう言うのが分かってたのだろう。荷車を列の最後尾に停めたら前の商隊に挨拶しておく。何かあって疑われても嫌だし。
その後五人でふらふら歩き、街から流れる川の畔に辿り着く。

「壁を越えたら警報が鳴るとか無いよな?」

「普通の人は越えられないですよ」

「多分そう言うのは無いと思うよ?やった事無いからわかんないけど」

「抜け穴とかあれば良いのに」

「あるぞ?悪ガキの抜け穴だけど」

「シトンは悪ガキだったのかー」

「良い子じゃ無かったけどさっ」

むくれてしまったシトンをあやして穴に連れてってもらうと、確かに悪ガキが通りそうな小さな穴が空いている。今日は何かと穴に縁があるな。
イゼッタに、俺達が抜けられるだけ穴を広げてもらい街に侵入した。

「誰だ!?」

甲高い声で誰何されてドキッとした俺達だが、シトンが静かに答えた。

「あたいだ、シトンだ」

「ねーちゃん?」

暗がりから出て来たのは悪ガキっぽい顔の悪ガキだった。

「シトンの実家なのか?」

「そ。で、この悪ガキは弟のリク。リク、この人達はパーティーメンバーだよ」

「良い大人が不法侵入なんてするなよな?穴まで広げやがって…」

「内緒にしてたらおっぱい揉ませてやっから黙ってな」

「おっぱいより金くれよ。明日までだぞ」

俺ならおっぱいを選ぶぞ?

「ちっ、わーったよ。悪ガキめ」

満面の笑みを浮かべ手を振る悪ガキに送られて、裏口から外に出た。向かうは宿屋だ。

「侵入成功」

「シトンって結構良い家住んでたのね」

「集合住宅の一階だぞ?良いもんか」

「とっとと宿屋に向かうぞ?シトン、アズ、案内頼む」

案内されたのは風呂無しトイレ外の一般的な安宿だった。二人とも此処に住んでいたそうで、フロントで超過金を払う羽目に遭っていた。
やっぱ金必要じゃん。まあ、荷物を売り払われなかっただけ良かったか?荷物を売っても安すぎて超過金貰った方が得なのかも知れないが。
フロントのババアに二部屋借りようとしたが部屋は全て埋まってたので他所に行かねばならない。二人も荷物を受け取って追い出されてしまった。
で、次に向かった宿は大部屋で風呂無しトイレ外の宿屋。金のある冒険者がパーティーで泊まる部屋だそうだ。ちょっと高いけど割り勘したら普通の宿よりリーズナブルだな。って事で此処にした。
併設されてる食堂兼酒場で飯を食い、腹を満たして夜明け前まで寝た。


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