女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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ボインさん

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「カケル!俺が糞を漏らすだと!?」

安定の喧嘩腰である。

「見たら出ちゃうかも知れんぞ?それくらいヤバいモンを持って来たつもりだ」

「その皮がか…?え?そらぁ…」

「流石にギルマスともなれば見た事もあるか」

「死んで海岸に打ち上がってる奴ならな。だがその程度なら昼に食った焼肉は出せんぞ」

「ギルドマスター、解体した海竜の残りがあるそうです」

「ひーふーみー……四十枚…、十五ハーンって所か。ハッハッハ!まだまだ尻の穴は固く閉ざされておるわ」

「なら持って来よう。とは言えギルドには直接持って来れないが…、門の前にでも置けば良いか?降ろすなら絶対買って欲しいが」

「その程度なら買ってやる!武具にも食料にもなるからな」

「マスター、言質ですよ?宜しいのですか?」

「構わん!解体士全員連れて来い!フル装備だ」


 一度寝具店に戻り、イゼッタを連れて門に向かうと、解体士の有象無象に紅一点のボインさん、タマリーとその他諸々が待ち構えていた。

「カケル、久しぶりだね。獲物は何処だい?」

「びっくりして腰を抜かしたらおっぱい吸わせろ」

「おっぱいだけで良いんだね?やってみな!」

おっさんの脱糞よりお姉さんのおっぱいである。
ジト目のイゼッタに頭を下げる。

「イゼッタ先生、お願いします」

「うむ」

 バッと諸手を挙げ風魔法を空に飛ばすのと同時に俺のギフトで星を降ろす。自由落下だと熱が出るのである程度ゆっくりと。
暫くして星が大きくなり、闇に消え、黒い塊が降りてくるのを見付けた皆がざわつき始める。
地面に降りて、初めて見る大きさに皆驚愕の表情だ。

「そ、そうか!氷漬けにして倒したのか!」

脱糞させられなくて残念だ。

「こんなにデカいの初めてだよ…。けどあたしの勝ちだね、腰は抜けなかったよ」

くっそーーー!!くそくそくそ!地面を叩き悔しさに打ち震える俺にタマリーが近付いて囁く。

「ちょっとだけ濡れたのはナイショ」

報われた気がした。

鑑定士総出で鑑定し、解体士総出で解体し、集計は来週となった。
それよりも、解体士の道具がすげぇ。凍った皮でもそれなりに切れてる。ミスリルナイフで筋しか付かなかったのに。

「なあ、タマリーさんよ」

「なんだい?まだ乳に未練があるのかい?」

「ある!じゃ無くて解体士の得物、すげえなーって」

「くく…、そりゃあプロの道具にプロの技ってヤツさ。今夜は徹夜だ。良い子は帰って寝な」

はいママ、とは言わない。怒らせそうだし。帰ろうとするとカロが小走りで寄って来た。

「カケル様、よろしいでしょうか?」

「何かな?」

「仮の受取書になります。換金の際お持ち下さい」

「了解した。お仕事頑張って」

そしてその場を後にした。寝具屋の客間で受取書に目を通すと、紙の下にメモ書きが挟まれてた。《今夜はお泊まり下さい》と。
サミイはやる事があると言うので実家に籠り、俺達は夜の空を飛びカロ邸に向かった。一人暮らしだと思ったのだが家に入れるのだろうか?門前に降り立ち暫し待つと、一人のメイドがやって来た。

「何方様ですか?」

カロと懇意にしてる旨伝え、メモ書きを見せると何とか信じて貰えたようで部屋まで通してくれた。リアが名乗ると平伏してたがな。

その晩だいぶ遅くなってカロが帰宅した。

「っ!只今戻りましたぁ~カケル様ぁ~ん」

何だこの蕩けた生物は?諸手を挙げてぺたぺた走って来たぞ。

「きっと疲れてる」

ああ、俺と同じか。よちよちと撫でて抱き締めほっぺにチューして労ってあげた。

「お…嬢様…」

「あ」

辺りを見回し赤くなり、青くなり、リアに平伏した。もう、遅いですよ。




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