女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
168 / 1,519

更地

しおりを挟む


 じっと一点を見詰めていたイゼッタだったが、お茶を啜り口を開いた。

「カケル、更地にするのはその必要があるから?」

「まあな。建物が無くなればまた建てなきゃならんだろ?畑が無くなりゃ植え直しだ。金があっても材料や道具が無きゃ何も出来ない…ってのは経験談だが、物理的に住めない土地に領主様が居座るかね?移動の足も捥がせてもらうがな」

「その後は?」

「人の移動は自由になるからそのまま不毛の地として放置するも良し、壁を作り直して街にするも良しだ。人を殺してすげ替わるような領主様だ。街が完成するまでは来ないだろ。完成したら入れないと思うがな」

「もし居座ったら?」

「更地で放置で良いと思うよ?」

「街を作るとしましても、政はまつりごと如何致しますおつもりでしょうか?」

「ギルドにでもやらせたらどうかな?商業ギルドとか」

「ナーバーグは通過点。商業ギルドなんて無かった」

「サボテン養殖して甘い汁増産したら良いのに」

「カケル様、サボテンとは?」

「ドラゴンスケイルの事な。荒野に生えてて甘い汁が取れるんだ。
特産物が出来るならギルドも来るだろ。にしても地続きは交易楽で良いよなー、うちの島は交易品すら無いけど」

「カケルが領主になれば良いのに」

「やだ。公務員より農家、儲かる農家が良い」

「コームイン…。公務をする者の事で御座いますね」

「皆様、お茶が入りました」

お茶を飲み飲み四方山話に興じていると、宿の従業員が客が来たのを知らせて来た。ギルドからだと言うが、のギルドのなのかを確認させる為追い出した。
暫くしてドカドカと廊下が騒がしくなり、ドアが開け…られない。鍵掛かってるしな。次は従業員の制止を振り切りドアを壊そうとしているらしい。

「イゼッタ、水の塊」

「ん」

廊下の者がドアを蹴破ろうとするが、分厚い水の塊に衝撃は吸収されビクともしない。両足分の音が鳴り止むと間が空いた。力を溜めて体当たりでもするのだろうか?
何者かがドアにぶつかる瞬間、ドアに《散開》をかけてやると、ドアは麩菓子の如く砕け散り、麩菓子を砕いた者を水の中に叩き込んだ。勿論、水の表面を《集結》させるのは忘れない。

上半身を水に漬け込んだマヌケはギルマスでした。気絶するまで威圧した。


「お前等なんて事しやがる」

本人の名誉の為に一部は省くが、全身ズブ濡れになった後、さっぱりキレイになって乾燥したギルマスである。

「普通に名乗ってノックして入って来ないからだ。ドアは弁償しろよな?」

「くそ…、しかしあの威圧はお前だったか」

「受付嬢にアポを頼んだら酷い門前払いをされてな、つい」

「ナーバーグの職員を結構な数受け入れたからそう言うのも居るさ。ランク上げないお前も悪いぞ?」

「依頼の無い奴を討伐する事が多いからなー」

「だからお金だけはある」

「で?俺に用があるんだったな、何だ?」

ギルマスに、ナーバーグについての報告をした。教会が街から出られない市民を救いたい事。方法は此方に任せる事。やって良いなら更地にしてやる旨伝えた。

「更地って…、さっきのドアみたいにスカスカにするのか?」

「街から周囲の土地まで待っ更にしてやるよ」

「んな事したら帰る場所が無くなるだろうが」

さっきイゼッタ達との話に出た、領主を追い出す方法や政治についても説明すると、結果的には賛同した。冒険者ギルド的には事務仕事しかやる事が無いので勝手にやってくれと言うスタンスだ。

どうせ俺達、此処には居ない事になってるしな。






しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

処理中です...