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更地
しおりを挟むじっと一点を見詰めていたイゼッタだったが、お茶を啜り口を開いた。
「カケル、更地にするのはその必要があるから?」
「まあな。建物が無くなればまた建てなきゃならんだろ?畑が無くなりゃ植え直しだ。金があっても材料や道具が無きゃ何も出来ない…ってのは経験談だが、物理的に住めない土地に領主様が居座るかね?移動の足も捥がせてもらうがな」
「その後は?」
「人の移動は自由になるからそのまま不毛の地として放置するも良し、壁を作り直して街にするも良しだ。人を殺してすげ替わるような領主様だ。街が完成するまでは来ないだろ。完成したら入れないと思うがな」
「もし居座ったら?」
「更地で放置で良いと思うよ?」
「街を作るとしましても、政は如何致しますおつもりでしょうか?」
「ギルドにでもやらせたらどうかな?商業ギルドとか」
「ナーバーグは通過点。商業ギルドなんて無かった」
「サボテン養殖して甘い汁増産したら良いのに」
「カケル様、サボテンとは?」
「ドラゴンスケイルの事な。荒野に生えてて甘い汁が取れるんだ。
特産物が出来るならギルドも来るだろ。にしても地続きは交易楽で良いよなー、うちの島は交易品すら無いけど」
「カケルが領主になれば良いのに」
「やだ。公務員より農家、儲かる農家が良い」
「コームイン…。公務をする者の事で御座いますね」
「皆様、お茶が入りました」
お茶を飲み飲み四方山話に興じていると、宿の従業員が客が来たのを知らせて来た。ギルドからだと言うが、何処のギルドの誰なのかを確認させる為追い出した。
暫くしてドカドカと廊下が騒がしくなり、ドアが開け…られない。鍵掛かってるしな。次は従業員の制止を振り切りドアを壊そうとしているらしい。
「イゼッタ、水の塊」
「ん」
廊下の者がドアを蹴破ろうとするが、分厚い水の塊に衝撃は吸収されビクともしない。両足分の音が鳴り止むと間が空いた。力を溜めて体当たりでもするのだろうか?
何者かがドアにぶつかる瞬間、ドアに《散開》をかけてやると、ドアは麩菓子の如く砕け散り、麩菓子を砕いた者を水の中に叩き込んだ。勿論、水の表面を《集結》させるのは忘れない。
上半身を水に漬け込んだマヌケはギルマスでした。気絶するまで威圧した。
「お前等なんて事しやがる」
本人の名誉の為に一部は省くが、全身ズブ濡れになった後、さっぱりキレイになって乾燥したギルマスである。
「普通に名乗ってノックして入って来ないからだ。ドアは弁償しろよな?」
「くそ…、しかしあの威圧はお前だったか」
「受付嬢にアポを頼んだら酷い門前払いをされてな、つい」
「ナーバーグの職員を結構な数受け入れたからそう言うのも居るさ。ランク上げないお前も悪いぞ?」
「依頼の無い奴を討伐する事が多いからなー」
「だからお金だけはある」
「で?俺に用があるんだったな、何だ?」
ギルマスに、ナーバーグについての報告をした。教会が街から出られない市民を救いたい事。方法は此方に任せる事。やって良いなら更地にしてやる旨伝えた。
「更地って…、さっきのドアみたいにスカスカにするのか?」
「街から周囲の土地まで待っ更にしてやるよ」
「んな事したら帰る場所が無くなるだろうが」
さっきイゼッタ達との話に出た、領主を追い出す方法や政治についても説明すると、結果的には賛同した。冒険者ギルド的には事務仕事しかやる事が無いので勝手にやってくれと言うスタンスだ。
どうせ俺達、此処には居ない事になってるしな。
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