女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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殺生与奪の権利

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 ギルマスが帰り、テイカがドアの仮設を終えた頃。俺とイゼッタは街の外の森に居た。テイカが仮設したドアの材料も此処の木である。
着の身着のままで来るだろう難民に、家をどうこうする手段は、多分無い。なので雨風を凌げるだけの空間を作らねばならないのだ。
何時もならイゼッタに依存して切った張ったしているが、今の俺は条件付きでスキルが使える。出来ない事など殆ど無いのだ。

街の壁を中心に半径百ハーンの木を伐採し、森の上に浮かせた。イゼッタに浮いた木を製材してもらう間に、切り株の生えた地面を《散開》で粉末にしたら《集結》で硬く平らに整地した。
次に、外周を《伸縮》で×深さハーン程で陥没させて堀に、すぐ内側を高さ×厚さハーン隆起させて壁とした。
新しい壁に沿って《伸縮》を使い、三十の小部屋を作る。二階建てなので六十部屋だ。箱建築は楽で良いな。階段は頭を使って一階正面の壁と一体化させてみた。
部屋の前五ハーンを道として、端と中程に通路を作り十八部屋、二階建てで三十六部屋となった。

一先ず窓もドアも無い集合住宅が出来た。
まだ空間はあるが足りなかったらまた作れば良いか。材木を空いたスペースに置いたら、堀に水を張ってもらい、街の壁に穴を開ける。
イゼッタの風魔法と俺の《散開》で音も静かにアーチ状の入口になった。ギルマス気付いたら驚くだろな。


 宿に戻って夜まで時間を潰し、再びナンシーの元へ飛んだ。

「ある程度住める場所をエディアルタに確保した。移動する支度をさせておいてくれ」

「どの様な…、いえ、その時になれば解りますね」

「因みに、何人くらい居る?」

「孤児や病床者を含めて、ざっと百人と言った所でしょうか」

「それなら問題無さそうだな。明けて翌日の朝に出発したいが、行けるか?」

「分かりました。何とか説き伏せてみましょう。それでも残りたいと言う者が居た場合は…」

「放置して構わない」

「……」

「情けは掛けないから、そのつもりで」

「貴方に…、殺生与奪の権利はありませんよ?」

「そうならないようにするのがお前の仕事だ」

「善処します」

ほんと、駄々を捏ねる奴が出ない事を祈る。長居してしまったのでぶっ飛んで帰った。

「おかえり」

「ただいま」

窓を開けてくれたイゼッタを飛び込み様に抱き上げて帰宅した。

「明日の夜、やる」

「ん。私も行く」

故郷の最後だ、見納めも良いだろう。テイカには難民施設のドア作りを頼み金を渡しておく。手が足りなけりゃプロを頼れ、手が空けばその分他の事が出来るからな。

「カケル、明日はリアさんと用事がある。一人でいい子にしてて」

ママ~んと抱き着いたら撫でられた。多分やんごとない用事だろうし俺はノータッチで良いな。明日は夜までゆっくり過ごそう。


 翌日。テイカとフラーラはドア作りに行き、イゼッタとリアはテーブルに向かい合わせて何かして、ノーノはお茶等淹れている。俺は夜まで暇なので、カバンを提げて外に出た。スケイルの実がまだ成ってるみたいなので摘んで来ようかと。
難民施設でテイカ達の様子を見ると、地元の大工と仲良くドア作りしてた。フラーラもお茶汲みしてるな。仕事の邪魔をするのも悪いので《阻害》を使ってそっと壁から外に出ようとすると、見られてる気がして振り返る。テイカがこっち見てた。何故判るのか?

食べ頃のスケイルの実を三十個ばかり摘んで堀を超える時も見られたので夕飯の時に聞いてみたら、朝は《阻害》を使う前から気付いてたからこの辺りだろうと目星を付けた。夕方はそろそろ帰って来る頃合に、甘い香りがしたから。…だそうな。
すごいぜ…。




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