女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
291 / 1,519

地獄が始まる

しおりを挟む


 翌日は、作業があるからとゴネにゴネ、午前中は作業の時間を捥ぎ取った。幾らか男らしい顔付きになった少年隊も嬉しそうに作業の手伝いに行った。
俺は瓦作りをしながら、壁を削るテイカのサポートに従事する予定だが、今はまだ足の着く場所を削っているので瓦作りに集中だ。

先ずは押出し型を作る。板の上に柔らかい状態にした煉瓦を乗せて、厚さ二ドン程の薄い長方形の穴を開ける。そして上下の瓦が重なる所を厚みの半分、互い違いに削り取り、固める。板から外して、上から柔らか煉瓦を押し込めば、瓦がニュルニュル出てくる仕組みだ。天辺用に出っ張りの無い型も作っておく。

「カケルさん、土魔法が上達しましたね」

褒めて伸ばすリュネ先生が見回りに来た。

「スキルと併用してるだけだから、上達してるとは言えないよ。瓦の状態でぽぽぽぽーんと出せたら良いんだけどね」

お茶の時間を告げに来たそうで、型作りに時間を掛け過ぎた事に焦る。本日のお茶は謹んで御遠慮しました。

型を持って三階の屋根に上がり、下から順に、左右はみ出るように柔らか煉瓦を押し出して行く。最初は軒もはみ出るように、ニュルニュルニュルニュル…。端まで出したら切り取って、戻りながら煉瓦同士が重なる所に木釘を点々打ってやる。それを続けて十数段。屋根の頂点までやったら次の面だ。

「カケル様、良ろしいですか?」

下から聞こえる声はテイカ。背の届く範囲は終わったのかな?

「どうした?抱き上げて欲しいのか?」

「今直ぐ抱いて欲しいですが、もう少しお待ち下さい。お茶を持って来ましたよ」

「仕事も出来て気配りの出来るテイカは良い女だな」

「持って来たのは私」

「お休み期間なのにお手伝いしちゃうイゼッタも良い女だよ。抱っこしてやろう」

抱き寄せてチュッチュして胸にスリスリ。しかし光陰矢の如し、後反面は終わらせたいので渋々作業に戻る。片面やって慣れたので、もう片面はスピードアップ出来た。天辺は先に柔らか煉瓦を粘土のように盛り上げて、その上から瓦となるニュルニュルを乗せて固める事三回。何とか昼前迄にリュネの部屋の屋根を葺き終えた。テイカはと言うと、自分の背丈迄の壁に煉瓦模様の筋を入れたり、柱に見えるように段差にして削り出したりと工夫を凝らしていた。俺と同じくまだ慣れていないようで時間を掛けていたが、納期は無いのでゆっくりやりたまえ。

「カケルー、ごはーん」

テイカを褒めて揉んでしているとイゼッタが飯の時間を伝えに来たので午前の仕事は終了だ。二人の尻を撫でながら移動した。


 昼飯は軽くで済ませ、地獄が始まる。満面の笑みで自身の周りを小石を飛ばし回す姿はまるでニュータイプ専用機のようだ。しかも赤いので三倍速いぞ。
今は鱈腹食って早々に動けなくなった馬鹿を一人抱えて走ってます。因みに此奴等三人、兄弟なのだと。長男で悪路みたいな名前のダート、次男と三男は双子で、暖かそうな名前の次男ニット、食い過ぎた馬鹿は三男のガットだ。

「うっ、ぐぇっ、はき、そ…」

「吐けば楽になるぞ!俺がな!吐いて走れ!」

川を渡りながら水を飲ませたら無理矢理リバースさせ、手を繋いで走らせた。身長差があるから担いで走るよりもキツい。それでも暫くすると一人で走れるようになってくれた。マジ助かる。

「カケルさま、ガットが、すまねえ」

「おんに、きる、ぜ」

「あり、がっと」

「礼は実力で返せ!とにかく生き残るんだ!」

「「「おう!」」」

そして夕方、全員死に掛けて終了した。

「死なせる訳が無かろう、生かす為にやっているのだ」

最もなお言葉ですが、獲物を狩る鷹の目でしたよ?
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

処理中です...