女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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ゴロツキは癒し

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「カケル、此処がこの国の王都、クリューエルシュタルトだよ」

かわゆいお強請り顔にホイホイ荷車に乗ってしまった俺は、クリューエルシュタルトなる長い名前の門前を素通りさせられていた。左隣に美少年、メットを脱いでブサ…フツメン面を晒したのにも関わらずキラキラした目で見て来るし、正面に座る二人のメイドはペニスケを凝視して来る。初め、ハークは俺の膝に乗ろうとしたが、メイド二人が「それだけはダメ!」と鼻息荒く懇願し、哀れセバスチャンは御者席に追いやられた。すまんセバス、本当の名前知らないけど。

「冒険者ギルドに寄りたかった…」

「後で案内させるね」

「宿を取りたいんだが…」

「後で案内させるね、ちゃんと冒険者が泊まれる宿だよ」

「飯を…」

「うちで食べられるよ、セカンドハウスで家族は居ないから一杯食べてね」

とても面倒である。
ギルドの受付でゴロツキに絡まれたり、酒場でゴロツキに絡まれる方がよっぽど楽だと思った。ゴロツキは癒しである。
諦めの境地へと至り、ゴロゴロと車輪が回る音と衝撃を感じながら、窓の外を走るこの国の荷車を眺めて過ごす。この国の荷車は、車輪の内側に橇が付いている。走れるし、滑れるしで中々凝っているな。荷車を曳く毛むくじゃらはゾーイと言って、雪解けになると毛刈りして、衣服等に加工されるのだそうな。馬のような羊で角は無く、毛が密に生えた水掻きの付いた指で雪に沈み難くしてるのだとか。

「カケル、着いたよ」

着いたらしい。腕に絡み付かれて外に出ると、カロ邸より土地は狭いが子供が住むには広すぎる屋敷がそこにあった。

「…ほう、窓に張られたガラスはゲル版では無い正真正銘の板ガラス。歪み無く、厚みを揃えた板ガラスを揃えられるのは最早凄いとしか言い表せません。施行主の拘りに脱帽です」

「冒険者…否、カケル殿にはお分かり頂けたようで」

セバスチャンが乗って来た!

「素晴らしい御屋敷に入る事を躊躇ってしまいます」

「エントランスを見ずにお帰り遊ばされるのは些か早計かと」

「ほう…」

ホイホイと着いて行ってしまう俺なのであった。
そして拗ねちゃうハーク坊っちゃま可愛い。客間でお茶を頂きながら拗ねちゃまをあやします。

「僕も車は好きだけど、カケルがこんなに家に食い付くなんて思って無かった」

「すまんな。男は箱物が好きな生き物なんだよ」

車が好きならお詫びにこれをくれてやろう。倉庫に仕舞い切れなかった雑木を練り練りして車の玩具を作ってやった。雪道仕様で大経車輪と橇のハイブリッドだ。風の魔法が使えるなら直ぐに遊べるようになるだろう。その内飛べるようになるかも知れない。

「いっけー!スクリュージャンプだ!!」

この通りである。部屋は広いけど、出来ればお外で走らせようね。
その後遅目の昼食を頂いて、ギルドと宿の場所を聞いてハーク邸を後にした。中々離してくれないハークに「これ持ってって」と紋章コインを手渡されたが、これって色々便宜が図られるアレだろ?使うのは宿だけにしよう。メイドが一人、ギルドと宿の道案内すると言うのも断った。メイド付きでギルドなんて行ったらペニスケ以上に見られるからな。
どの国も、冒険者ギルドは正門の目と鼻の先にある。王都であってもそれは変わらず、防壁に背中を合わせた四階建ての建物であった。外からの見た目は気密性の高そうなドアと窓が特徴的で、出入りする冒険者が暖かそうな装備をしているのも珍しい。
金持ってる女冒険者とか普通にビキニアーマーで歩いてたりするからな。

「何見てんだい!」

「良い女に見蕩れちまうのは仕方無いだろ。それに、お前は何を見てるんだ?」

「マントからはみ出てる、その役に立たなそうなお飾りだよ!」

ペニスケ温かいんだぞ?
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