女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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報連相

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 ストーブに群がるペットの犬猫の如く、竈に集まる女子二人。

「生地が出来たから退きたまえ」

切って丸めた生地を竈の上に並べて熱々になった蓋をする。五リット程したら一度確認してみよう。暖房器具として御役御免となった鉄板は、スープを作る調理器具として無事復帰を果たした。

「ふぁ~」

「やっぱり火よねー」

「ソーサー焼いてるんだから火を焚き過ぎるなよ?」

「「は~~い」」

余熱だけでも暖かいので追加の薪は投げなくて良いのだよ?薪を入れるのが楽しくなっちゃってるのをたしなめる。五リット程して蓋を開けると香ばしい香りと共にキレイに焼き色の付いたパンが姿を現した。

「良い匂いだね、それ」

「ソーサーでは無いけど美味しそうね」

トングで挟んで皿に乗せようとしたら全部くっ付いてた。パン作りあるあるだな。千切って喰えば問題無い。パンが無くなった竈に脂身を擦って肉を焼く。ジュワ音と肉臭が食欲をそそる。焼きたてを皿に盛り、お椀にスープをよそったら三人揃って頂きます。

「分厚くて、ムキムキしたソーサー?だね」

「小分けに出来るみたいよ?ほら」

「外はパリパリ、中は柔らかく仕上がったな」

「んまい。エール味」

「粉とエールだけなのに、こんなに変わる物なのね」

「手間は掛かるけど、まあ美味く作れて良かったよ」

「マタル粉もエール飲んで酔っ払っちまったのかな」

中々にメルヘンチックな事を言う。撫で回して舌でろ~んさせてやった。

「女の子がしちゃダメな顔してるわよ?」

「えへ、もーらめへ~」

多幸感に包まれてダウンしてしまったワーリンを寝かし、パンを焼くため再び粉を練った。

「もしかして、売りにでも出すの?」

「明日の分だよ。冷めたらどうなるか見たいんだ」

「へぇー」

後ろから抱き着かれて作業し難いが、それもまた良し。イチャイチャしながらパンを焼いてパンパンした。


 今日はアルア達が最終宿営地に着く予定の日。近くでは無いが煙を出していると不審がられそうなので、キャンプを畳んで街に帰ろうと思う。昨夜作ったパンはパリパリ感が失われていたが、温め直したら美味しく頂けた。食後のお茶を飲んでゆっくりしたら、身形を整えドアを引っこ抜いた。

「……」

「だいぶ積もってたんだね」

「真っ白ね…」

暖かい壁のすぐ外側は入口を覆う程の雪が積もっていた。二ハーン以上は積もってるな。アルア達が心配になり《感知》すると、やはり移動に難儀しているようで、雪かきしながら移動してる。敵になる者は近くに居ないのが唯一の救いだな。

「取り敢えず街に帰ろう」

家を丸ごと《収納》し、橇風呂に二人を乗せて街に帰った。そして向かうは衛兵詰所。ゴモランさんに報連相するのだ。

「うむっ!よくぞ知らせてくれたな。兵を集めて整地させてくれよう」

副隊長に指示を出すと、どかりと社長椅子に身を沈めた。

「カケル達だけの手柄にすれば良い物を。お前の、欲は何処にある?」

「アルア様達だって護衛や冒険者を連れてるだろ?仕事の邪魔はしたくないし、曲者と間違われても気分悪いからな。手を出すなら、せめてゴモランさんに一筆認めしたた てもらおうと思ったんだよ」

「成程。確かにそれが確実であるな」

そうこうする間に、集められたラッセルゾーイ二頭と角スコ部隊は二列になって行軍して行ったようだ。

「オッサンは行かないの?」

「ワシは街の中を取り仕切るのだ。動き回っている方が好きであるのだがな」

下の者に手柄を与えるのも上役の務め、だそうな。報連相の報酬をくれると言われたが、本当に何もして無いので断った。そしたらまた家に泊めてくれるって。ライガー食べ切れないから消費するの手伝え、だとさ。夕方また来いって事で、それまでは使った食材を買い足したり、夫人に渡すお土産等買いながら街を見て回った。
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