女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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観光地

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 暗い筈の地下なのに、地上から漏れ入る少しの光でぼんやり明るい。それがまた幻想的で魅入ってしまった。

「カケルさぁん?覗きですか?」

「そうだよ。建築センスと魔法の融合に目から汗が出そうだ。自分の作ってた家が積木遊びに思えるよ」

「私は好きですよ?カケルさんが努力なさって建てた家ですから」

飛んで来たリュネの胸に挟まりオパニウムを補充する。しかし折れた心は折れたまま。今後の作業は俺が土台と壁、装飾はリュネに一任する事にした。

「カケルさんは甘えん坊ですねぇ。お昼にしましょうか」

「うん」

以前作った光の属性魔石をクリスタルに貼り付けて、爪の垢程度の魔力を注ぐと、クリスタルから拡散した光が白い壁に反射して辺り一面照らされる程明るくなった。

「あら素敵」

「観光地になりそうだ」

お風呂となる窪地に座ってお弁当を広げた。焼肉を挟んだソーサーが味吸ってて美味い。

「カラクレナイを配置したらさぞかし絵になるだろうな」

「ですよね!?カララちゃんを引き立てるのはやっぱり乳白なんですよ!ね!?」

赤には黒、金、白と相性の良い色があるがカラクレナイには白系だよな。

「出来上がったら入ってもらおうな」

お弁当を食べ終えて、リュネの作業は照明をどうするかだけだったそうで、俺が付けた明かりで充分と言う事になり、作業終了と相成った。

「階段を延長して天井まで伸ばしたいんだけど、どうかな?カラクレナイの寝室にしようかと思うんだ」

「私達の寝室も兼ねましょう!所で客室はまだ床が出来てませんね?」

「三階建てにして、一階は通路や倉庫にしたいと思ってる」

「それに合わせて階段にエントランスを設けましょう」

リュネが見守る中、五十ドン厚の煉瓦の床を三ハーンの高さで貼り付けて行く。二階の床が張り終わると、ニョキニョキ階段が伸びて来てエントランスが出来ると壁に穴が空いた。三階の床を張り終えて、階段が追い付いた所で今日の作業は終了とした。

「結界頼んでも良い?」

「龍でも苦労する程度に張っておきますね」

「それは頼もしいな。リュネに頼り切りで申し訳ないよ」

「頼ってもらえて嬉しいのです。一緒に居られて嬉しいのです。私は貴方のモノなのですよ?」

「リュネ~」

「ぎゃ~おぉ~ん」

抱き合って街まで飛んだ。腕に巻き付く圧がとても強い。柔らか痛折れそう。


「お帰りなさいませ。お風呂の支度は出来ております」

カロ邸に着くとアルネスとテイカが出迎えてくれた。

「ただいま。こっちも物凄い風呂が出来たぞ」

「拝見させて頂くのを楽しみにしております」

「あたしの出番は無さそうですね」

「そんな事はありませんよ。食堂や客室の建具は一切手付かずですし」

「無力な俺を手伝ってくれ」

「誠心誠意尽くします」

俺とリュネが風呂へ向かうと、二人は食事の支度に戻って行った。

「非凡な才能を羨ましく思う自分が恥ずかしいよ」

リュネのおっぱい枕に挟まれてお湯に浮かぶ俺。そんな俺を優しく抱き締めてくれるリュネは笑みを浮かべて愚痴を聞いてくれる。

「努力する姿、好きですよ?それに人の子は互いに補い合う生き物です。もっと群れて、皆で高みを臨めば良いのです。その中に、私も入れて下さいね、ふふっ」

「リュネ~」

「ぎゃ~おぉ~ん」

「旦那さま~、リュネさま~、お食事の支度が整いましたよ~?」

浴室の外から聞こえるのはサミイだな。

「皆帰って来たの?」

「カロさま以外は。ごきたくはバラバラなので先に食べちゃうそうです」

定時に帰れないのは可哀想だな。子供等を飢えさせたくないので出よう。むちゅ~っと舌を絡めて風呂から出た。

 食堂に着くと少年隊が待てずに食っていた。元気で帰って来たので良かった良かった。
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