627 / 1,519
心優しい龍
しおりを挟む「氷で塞がれて入れなかったんだぞ」
子龍が出る前に塞がれていたら餓死待った無しじゃないか。
「魔力を…出し過ぎた…か…」
『おや!エサ!エサ!』
『エサだ。食うが良い』
何処からか獲って来たホカホカのドウドウを子龍の前に寝かせると、直ぐに食い出しスプラッター。見ないようにしよう。
「もうすぐ住処を移動するのだろ?」
「よく知っているな、人の子」
「龍の知り合いが多いものでな」
「其方の…龍か」
「お互い、名前は隠しておきましょう。カケルさんに悪い虫付けたくないですから、うふふ」
「人化すると飛び切りの美人になる訳か、成程理解「しなくて、いーんです!」」
横から抱き着いて来たリュネが可愛く怒ってる。これ以上怒らせる訳にはいかんな。諦めよう。
「魔力を出し過ぎたと言っていたな?」
「我が子のエサともなるからな」
親の魔力を吸収して成長するんだもんな。家には人の子が居るからそこまで大量には出せない訳か。で、魔力に飽きて外に出た、と。
「送り届けたし、そろそろ帰るよ。冷えて来たしな」
「そうですね!帰りましょう!」
「…世話を掛けた。これをくれてやる」
尻尾でポイッと投げ渡されたのは、二つに割れた殻だった。
「この子は男の子なのか」
「くっ付けて抱いて寝ます」
そんな事してると発情期が伸びちゃうぞ?とは言わない。丸いのを愛でて抱きたがるのは龍の習性なのだ。言ってる傍から白磁でくっ付け卵の形に復元してるし。
「お前にやったのでは無いのだが…人の子がそれで良いのならそれで」
『ひと、かえる?』
『帰るよ。ママの言う事をよく聞くんだよ?』
『わかった』
頭を下げる子龍を撫でて、洞穴を後にした。
「知り合いだな?」
「バレちゃいましたか。ミーネの同期です」
「成程。繁殖期が近いのはその為か」
帰りながら話をする。ミーネと同じタイミングで発情期を迎え、仲良く孕んだ同期だそうで、それなりに強いらしい。戦いにならなくて良かった。
「カケル!」
気付けば夕方。門前に屯していた衛兵は橋の袂で陣を組み、ジョン達冒険者も其方に合流していた。真冬のキャンプかよ…。俺は絶対したくない。雪の中でのキャンプなんて全然ゆるくないからな!
「話は付けて来たぞー」「うふふ、戦利品ですっ」
「卵?」
「殻だけな」
「貴様!我等の指示を無視して何処に行っていた!?」
突然がなり掛けて来るのは衛兵隊の誰かだな。人と言う生き物は生き抜くセンサーが退化しているようだ。
「ジョン、あれは?」
「衛兵隊の隊長らしいぞ?おい、この者達は俺と一緒に威力偵察してたんだ。何処も糞も無いだろ」
「ノコノコと逃げ帰って来た分際で偉そうに」
「弱いウオルスはよく吠え散らすもんだな。ウオルス鳴いてるの見た事ないけど」
剣に手を掛けやる気を見せる隊長らしい男はその場で服や鎧を残して消えた。
「リュネ、やり過ぎだろ」
「一人の尊い犠牲で街が更地にならなくて済んだのです」
「リュネ様、出来れば手足を捥ぐ程度で頼んます」
「はぁ~い。次は気を付けまぁす」
全裸で転移させられた男はスルーする事にして宿へと向かっていると、夕方なのに門前に人集りが出来ていて、その中心には全裸の男が居ると聞こえて来た。
「殺らなかったのか」
「穏便にしたつもりですので、ふふっ」
心優しい龍の腰に手を回し、宿に帰った。
「おかえりカケルー」「おかえりなさいませ」
部屋に戻ると二人共昼寝から覚めていて、お腹空いたとネーヴェがダイブする。
「知らない女の匂い…」
触れてないのによく分かるな。卵があるからかな?
「触ったのは男の子なんだが」
「母の匂いが強い時期ですからねー」
「カケル様はドラゴンによくよく縁がありますね」
「一生に一度見ない筈なんだがな」
「普段は《阻害》してますしね」
「気を使ってるんだな」
「美味しくないですから」
「カケルの魔力、美味しい」
「カケルさんは別腹です。うふ」
俺は美味いらしい。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる