女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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報告は大事

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 夕飯を食べないと俺が美味しく頂かれてしまうので食堂へ歩みを進める。そこそこ混み始める時間帯、テーブルを確保出来たのはラッキーだった。

「カケル様、ネーヴェち…様、お帰りなさい。そちらのお客様は、今夜はお泊まりですか?」

注文聞きにやって来たティータにリュネを紹介し、色々注文する。

「ふふっ、砕いた言葉で構いませんよ。ネーヴェさんのお友達なんですから」

「は、はい。ありがとうございます」

また後で、と厨房へと向かい行くティータを見送り水を飲む。

「所でカケル様。ドラゴンとお会いになったそうですが、危険は無いのですか?」

「ん?コッチから手を出さなきゃ問題無いだろ。子供の方もライガーの群れを蹴散らせるくらいの力はあるし、この街で相手出来るのはジョンだけだと思うぞ。勿論親には瞬殺されるがな」

「どんなオンナだった?」

「俺、龍の雌雄を同定出来無いんだが。そもそも子供が居なきゃ雌だと気付かんよ。取り敢えず深い青がキレイな龍だったな」

「深い青のオンナ…」

「ミーネの同期らしい」

「おたのしみ?」

「しないよ?リュネが怒るもん」

「嫉妬はしますが怒りませんよぅ。隠れて致して契約したら…それはそれ、ですが」

それ絶対激おこパターンだ。あの辺には近付かないようにしよう。
食事が揃い、腹を幸せにしていると赤黒い男が現れて食堂内がザワ付きだす。彼奴今夜は橋の袂で冬キャンじゃなかったのか?

「おーい、カケルー」

手を振り歩み寄るジョンと俺達に視線が集まる。

「それ以上近付くと街を更地にすっぞ?」

「止めろよ。仕事の報告だぞ?」

報告は大事なので仕方無い。聞くと、ライガーは自分達の縄張りに戻り、此方には来ないそうで、今夜は解散。明日街道を直すとの事だった。耳傍立ててた客からはホッとした息が漏れていた。

「俺達に報告する必要、無くね?」

「腹減ってんだよ。飯食おーぜー」

そっちがメインか。円卓に五人が座り、少し狭くなった。仕事終わりだからって早速酒頼んでやがる。

「カケルは飲まんのな」

「あまり強く無いしな。それにエールは冷やして飲みたいんだ。ここだと冷やす必要ないだろうがさ」

「温いエールなんて飲んだ事無ぇ」

「暖かい地方だと逆なんだよ」

「冷やすだけでお金が取れますね。私にもエール下さーい」

酒を嗜むシャリーが女将さんに酒を注文する。見た目子供の注文は、果たして届くのだろうか?
結果、来た。俺の所に。

「カケル!乾杯しよーぜ!」

俺のエールじゃ無いんだが。更に一杯頼んでやって、久しぶりに酒を飲む。やはり冷えてる方が断然飲めるな。甘酸っぱく、シュワシュワした飲み物は、地球独特のホップの苦味が無くて飲みやすい。地球のビールにホップが入って無かったら、俺は飲兵衛になってたかもな。それでも今のジョンみたいに騒いだり笑ったりはしないだろうが。
ジョッキ片手に冒険譚を語り出すジョンは、声高らかに周りの客へエンターテインメントを振舞っている。泡食うと語彙が無くなる癖に、飲むと頗る饒舌になるようだ。

ダンジョンの中で、アイスゲルだと思って殴り掛かったら唯の氷だったとか、スノーマンタインなる謎エネミーを深追いし過ぎて逆に囲まれたとか、失敗談で笑いを誘い、一人で三頭ものトカゲモドキと戦ったり、アラクネに精神攻撃を食らって死に掛けた話でハラハラさせたりと客の心を鷲掴みにして夜は過ぎて行った。

「なあ、カケルー、お前は何な話はねーのかぁ?」

呂律が回らないジョンに話を振られるが、お前の後に話すのはハードル高いぞ?

「トカゲを倒す話はジョンがしちゃったしなぁ…」

「他にもあんらろ?海竜とかよぉ」

リクエストされたので、仕方無く海竜の話をしてやった。エージャと行った方な。
ダンジョン奥地に陸の無い海が広がっていて、海水を干上がらせて魚や海竜を打ちのめした話をしてやった。ドロップした海竜装備に一番興味が向けられたので、海竜の魔石を見せてやると皆ドン引きしてたよ。







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