女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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飛べない俺は唯の人以下

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「カケル様が寝てる間に輸送と精算、ウラシュ島での御用聞きに仕入れと物納、諸々済ませておきましたよ」

俺がぶっ倒れてた間にシャリー達が仕事してくれていたようだ。

「マジか。助かるよ。けど売り物は俺の《収納》に入ってたよな」

「黒糖や煎りマメは此方でも作れますし、箱はミーネ様が作って下さいました。野菜や塩は毎日作られてるので其方も問題無く集められましたよ。輸送に関してはカケル様の箱様々です」

そうだった。マジックボックスに移しておけば誰でも取り出せたんだったな。シャリーが持って来た箱に俺の手持ち分を移動して、シャリー達に請け負ってもらう事にした。
体の拘束が解かれたので、皆で食堂へ降りて行き、心配してた皆に詫びる。カラクレナイは思い詰めてしょんぼりしてたが、抱き着いて撫で回して好き好き言ったら元気を取り戻してくれたよ。

「カケリューしゅきしゅきー」

「ぼべぼぶびぶびー」

龍の血よだれ塗れになりながらカラクレナイの巨大な舌を味わった。

「旦那様は少し肉体が脆いようだな」

「ぶはぁ!…まあ、自覚はあるな。スキル依存してるトコあるし」

「主様は体を鍛えるべきだ。スキル無しでは普通の人の子より劣っておるやも知れん」

ミーネとリームの言う事も尤もだ。俺の戦闘は少年隊につまんねぇと言わせる程安全マージンを取った物だからな。
飛べない俺は唯の人以下なのだ。

「しかしこんなに龍の血を浴びてるのに肉体は脆いのか~」

「カケルさぁん、一に百を掛けても百のままですよ?」

成程納得。

「ミーネ、俺に武器を作ってくれないか?」

「ふむ、武器か。良かろう」

少し待ってろと言い残し、ミーネは食堂を出て行った。シャリーとリームは黒糖の箱詰め等をすると言い、ラビアンを数人連れて厨房へと向かってく。

「旦那さま、武器なんて用意させて、なにするんですか?」

「冒険者するのさ。体を鍛えながらな」

「カケル様は充分お強いと思いますが…」

「ははは、スキルが無きゃそこらの有象無象と変わらんよ。《威圧》で敵を固めたり、脳味噌《散開》しないで、身体能力だけでやれるようになりたいんだ」

「カケルが飛ばないで戦ったの、ブフリムとタマゲルくらい?」

「だな。イゼッタと知り合った時くらいか?ああ、ナマコは素手で捕まえてたぞ」

「ナマコ?」

「リュネは知らないよな。タマゲルくらいの大きさでピョンピョン跳ねて動く生き物だ。名前知らないのでナマコと名付けたんだ」

そんな話をしている内に、ミーネが抜き身の剣をを持って帰って来た。長物なら鞘も作って欲しかった。

「旦那様よ、これを使うが良い」

手渡された剣は反りが凄い細刃の片手剣、シャムシールと言う奴に似ている。初めての長剣にしては癖が強いな。

「シャムシールか」

「そう言う名前なのか。人の子は何にでも名前を付けたがるのだな」

曰く、何となく伸ばしてみたらこの形になり、戻すのも面倒なのでこの形にしちゃったらしい。
人払いして振り回す。薄刃だけあって軽く、これなら俺でも取り回せるな。

「壊れたら帰って来い」

「早めに帰るよ」

「カケル、おでかけなの?」

「ああ。カラクレナイを抱いてもフラフラしないように鍛えて来る。帰ったらまたするからな?」

「そうだ、カケルさん、忘れてました。子供達が偶には顔を見せろって言ってましたよ。魔力の循環が出来たみたいです」

「ほう、それなら次は魔力を増やすだけだな。セカンドハウスに寄って、ママ上殿にも挨拶しておくか」

「ママの所に行くなら私も顔を見たいです!そろそろ赤ちゃん産まれるかもですし!」

「それは会いに行かないとな」

「でしたら寝具店にも転移門を置きましょう」

「カケル様、リュネ様、ドアはもう出来ております」

赤ちゃんと聞いて女達が浮き足立つ。リュネはドアを付与しに行き、他の者は土産やら身嗜みやら準備を始めた。

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