女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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 馬鹿にされた兄も引かない。

「だって、体付きも、髪だって」

「魔力の本質はカケル様です!私だけのカケル様にしちゃうからいーもーん」

「本質だって?……え?何で?」

本質と聞いて気付かされたようだ。まあ普通はそうなるもんな。

「ちょっとスキルでマッチョになってるがカケルだよ。久しぶり」

「カケルー!」「お兄ちゃんはだーめー!」

二人に抱き着かれ、ジョン以外の周りは唖然としている。普段お淑やかに振舞ってるアルアが飛び付いたり、もーんとかお兄ちゃんとか言うのだ。ハークもな。飛べるのも秘密にしていたのだろう、周りの大人からは浮遊とか飛行とか聞こえて来る。

「カケル殿はハーク様達と面識があられましたか」

「カケルは僕とアルアの命の恩人だよ。僕が王になって二つ目の仕事はカケルをAランクにするんだ!」

「でしたら私はカケル様に嫁ぎます!」

「「「おおおおおおおおおおおお……」」」

こんな所で王になる、なんて公言して良いのか?そしてアルアからプロポーズされてしまった。

「良い女になれ。もう少しだけ待ってやる」

「はいっ」

後で怒られそうだなぁ…。どうせ見てんだろ、リュネ?

 興奮冷めやらぬ内に、模擬戦やら魔法のお披露目がされる事になり、ジョンが子供を虐…遊んでやってる。俺は魔力の足りない子に魔力を注いで練り易くしたり容量を増やす練習法を教えてやった。勿論エッチくない方だぞ?皆学んでるだけあって飲み込みが早い。そして子供より大人が真剣に学んでる。以前アズが言った通り、魔力の増やし方は知られていないようだった。


 ジョンが居るし、宿舎に泊まらされるのを回避した俺達は荷車に乗り飛んで帰る。街を出るまで二ヶ所からビシビシ《威圧》が飛んで来るが無視。ブルランさん達だろうが、泊まり掛けはしたくないのだ。腹癒せに高鼾のジョンの口に豆でも詰めてやろうかと思ったが、寝ながらでも食いそうなので止めた。そしてクリューエルシュタルトの街に着いた。

「起きろ。起きねば寝糞する迄《威圧》するぞ?」

「んが…、着いたのか」

「お疲れだな」

「大体お前のせいだがな」

周りに集った者からは獲物が無えとか寝ジョン萌えとか訳分からん声が聞こえるが全てスルー。荷車を仕舞ってジョンと別れた。

「ただいま~」

「おかえりなさいませ、カケル様…女の匂い…子供ですか?」

一番乗りで迎えてくれたテイカが女の匂いを感知した。

「アルアに抱き着かれただけだぞ?トカゲ狩りの行先で彼奴等の通う学校があってな、顔出して来たんだ」

「学校で、顔に、出した、と」「してないぞ?」

確認の為にぺろぺろさせて、浮気は無いと証明された。

「ゆーあうろゆーみあれひれおりまぷちゅ」

夕飯らしいので食堂に向かおう。けどちょっとだけ、扉に入った。
空腹に勝る調味料無し。ヤリ部屋でたっぷり腹を減らしたので美味い飯が更に美味い。

「トカゲ狩りはどうだった」

食事を終えてお茶を並べるのを待つミーネが今日の成果を聞いて来る。手持ちが無いので察して欲しい。

「間違えて雄龍とぶつかっちゃった」

「生きて帰って良かったよ、旦那様」

肩に頭を乗っけて甘えるミーネは珍しい。どんなだったか説明すると、ボーデンフェルトや今日会った雄みたいに、話の分かる龍はそう多くないみたい。基本人の子なんて塵の一粒的な感覚なので腹具合一つでどっちにもなる訳だ。もしかしたら既に人との関わりがある龍なのかも、だって。

「アルアちゃんと会ったのでしょ?成長してましたかぁ?」

「見た目的にはなんとも。プロポーズされたがな」

人種の視線が一斉に飛んで来る。

「カケル様?王女は私だけで充分では…ありませんか?」

リアがプルプルしながら問い掛ける。返答次第で私泣きますわって顔してる。

「助けないとこっちが襲われる状況で、偶々助けてしまったのがアルアだったんだ」

人目を気にしなければ飛び上がって避けるのも良かったが、見殺しにはしなかっただろうな。
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