873 / 1,519
拳の応酬
しおりを挟む小さくした《結界》の下部を地面毎塞いで球体すると、思い切り空に打ち上げる。
「「「飛んだ!」」」
俺達も飛んでるからな?
「あ!前にやったヤツか!」
ジョンは思い出したようだ。
「何処かに、捨てる…のか?」
ウィキスの案も悪くない。だが今回は売り物だから捨てないぞ。
「空に上がれば上がる程寒くなるんだ。それこそ凍り付くくらいにな」
「凍死させると言うのね」
惜しいな。その前に酸欠で死ぬだろう。
「上げ下ろしに時間は掛かるから一度報告に戻ろうか。何処の街に行けば良い?」
「それならルングネンハルトだろうな。あの群の、次の目的地だった所だ」
「ああ、アルアの家がある街だったか。そこなら行った事あるぞ」
「何故お前がアルア様を…、まあ良い。考えるだけ無駄だろう」
「だが呼び捨ては不敬では無いか?」
当たり前なのだろうが、皆アルアの名を知っているようだ。荒くれフェイスのマッチョ達から様を付けられるくらいには人気があるようで何よりだ。
「そうだな。気を付けよう」
「カケルは以前、賊に襲われたアルア様を救ったそうだ。ハーク様とも面識が…謁見もしたんだったな?」
「トカゲ一匹奪われたな。あれは絶対許さん」
「トカゲ?」
「レッサードラゴンの事な」
「殺ったのか!?」「殺れんのか?」「どうやって!?」
「酒場で話せる程の冒険譚では無いぞ?」
「よし、酒場に行こう!」「「おお!」」
報告が先じゃ!
ルングネンハルトの街は軍人が門前に整列し、冒険者達はギルド前の通りに群れを成していた。
「カケル、魔法、来る!」
何時の間にやら名前で呼ぶようになったウィキスが注意を促すが、《結界》で囲った荷車には効果は無いのだよ。子供レベルの魔法を打つけられながら、
堂々と、ゆっくりと門前に降りて行った。
「ジョン、矢面に立てよ?」
「結界解いたら殴るからなっ。攻撃止めーっ!!俺はジョンだ!クリューエルシュタルト冒険者ギルド、ギルドマスターのジョンだ!攻撃止めーっ!!」
「攻撃止めーっ!」
どうやらジョンの声は届いたようだ。土煙が晴れて無傷のジョンと荷車が現れると兵隊達に動揺が走る。使用感たっぷりの荷車が壊れる事無くそこにあるのだからな。そんな魔法で魔物を殺れんのか?って話になる。
「ジョンか!」
「魔法を無駄撃ちさせんな馬鹿野郎!」
ツカツカと歩み寄り、繰り広げられる拳の応酬に周りの兵隊が引いている。窓から覗くマッチョ達も引いていた。
「こら、馬鹿ジョン!イチャイチャしてねーで報告だろーが」
男同士のイチャコラ等見たくないので矢面に立たざるを得ない。荷車から降りて殴り合うイイオトナを窘める。
「おう、そうだった。先ずはギルドだ。隊長格もそっちに居るんだろ?」
「ああ。お前が参加してくれるならこんなに心強い事は無いぜ。で、彼奴は?」
「カケルだ。詳しくは聞くな」
「カケルだ。ほれ皆も降りろ」
「おお…、ありゃ剛腕のルウェインじゃねえか?」
「なら鉄壁と血煙も居るのか?」
「居た!ドータンとキャストルだ!」
「おいあれ首狩りマルーンか!?」
「隣のは誘姫のシャン・ドワンだ…。凄ぇ…」
「癒しの冷姫ウィキスも居るぞ」
マッチョ達が降りて来るとガヤ共が色めき立つ。此奴等皆二つ名持ちだったのか。
「癒しの冷姫…」「やめろ女好き」
「女が嫌いな男等殆ど居らんよ」
立ち話する暇は無いので、荷車を仕舞うとジョンを先頭にとっとと街に入る。ある程度規律正しい兵隊達だが、女好きと言う言葉だけはヒソヒソと木霊していた。
街に入ると今度は冒険者共が囲んで来る。俺以外は有名人らしいからな。ジョンなんて外に居ると何時も囲まれてるし。だがこっちは冒険者。ジョン達の《威圧》で寄るに寄れなくされていた。
終始無言でギルドに入り、アポ無く階段を上がってく。
「誰だ!?」
「うげっ、ジ、ジョンだ」
ノックもせずにドアを開ける馬鹿ジョンは流石に《威圧》で締めといた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる