女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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扱き使う

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「《感知》に反応したぞ」

「なっ!」「早いな」「どんくらい居る?」

 俺の言葉に反応し、皆が体を硬くする。

「数は…、とにかく沢山だな。森の中だから此処からじゃ見えないと思うが、先端が大体五千ハーンくらいかな」

「普通に見えないわよ」「魔力が、集まってる。これだけ居ると、濃さで、判る…」

「降りて戦うか」「「おう」」

マッチョはせっかちだな。飛び出したら死んじゃうぞ?

「その前に、全体を把握しようと思う。暫し待たれよ」

荷車を止めずに進み続けて群を飛び越し、殿と思しき疎らな魔物を確認する。

「追われてる訳じゃ無いようだな」

「なら、何処かに…ボスが、居る…」

「なら其奴を殺っちまえば!」

「ボスを倒しても今居る魔物が居なくなる訳じゃ無いわよ?」

「ちっ…。チマチマ殺るしか無いのか…」

立ち上がっていたマッチョが再び腰を下ろす。狭いからバタバタしないで欲しい。

「カケル、お前なら何とか出来るだろ?」

「まあな。皆の手柄を奪って良いんだろ?」

ジョンの声に応えると、マッチョと美女に目を向ける。マッチョ三人は渋々と、美女三人はどうぞどうぞと手を差し伸べる。中でもウィキスは俺の手腕に興味があるのか、目力強く見詰めていた。

「ドロップがあるなら山分けしてやるよ。俺は金持ちだからな」

「わお、太っ腹」

「拾うのは任せた」

「扱き使うつもりね」

荷車を群の中央付近に着けると仕事の時間だ。《感知》を集中させて群の全体を把握すると、ドーム状の《結界》を高く張り巡らせた。

「《結界》ですって!?」

「魔法じゃ、無い!」

「何を今更。荷車の周りにも張ってあったろうが」

「何が起こっている!?」

「この人、魔物の群の周りに《結界》を張ったのよ。とんでも無く馬鹿デカい奴をね」

「専門の、魔法職が…千人は必要…。それを、一瞬で…」

「魔法だとそんなにコストが掛かるのか」

「あんた何者?」

「んー、ドラゴンバスターと神殺し、どっちの方が二つ名として格好良いかな?」

「カケルは女好きで良いだろ」

「「「女好き!?」」」

「そうだな」

「「「良いのか!」」」

さて、群の進行方向に進んで行くと、予想通りドミノ倒しで死ぬ魔物で溢れてる。死を免れた魔物は結界に体を擦りながら左右に別れて移動していた。

「この結界、一つだけ弱点があるんだ」

「完璧な、結界だよ…」

「中で息が出来るじゃないか。これじゃあ外に居る者は結界を割って中に入って戦わないと殲滅出来ない。勿論、適当な攻撃では割れんがな」

魔法だろうか。群の中から火やら竜巻が飛んで来ては結界に当たっているが、リームの全力でやっと壊れるくらいには固めてあるつもりだ。そこらのボスでは歯も立たんよ。

「…だが、放置するには危険過ぎるな」

「で、カケルはどうすんだ?」

「剥ぎ取り一切出来無いけど一網打尽にする方法と、すげー時間掛かるけどチマチマ殺ってく方法がある」

「ああ、あれな」

「こう言う敵ってさ、倒したら剥ぎ取りした素材とかで報酬やら補填に充てるんだろ?」

「まあな。俺達ゃ今回働いて無ぇから報酬は仕方無ぇとしても、潰された街の補填は欲しいよな」

そうなるよな。街の復興に生き残った市民への補填。炊き出しだって馬鹿にならん額の金が飛ぶんだ。迂闊に全部《集結》して玉っころにする訳には行かん。
…あ、そうか。

「思い出した。行ける行ける。問題無い」

「何をするつもりなの?」

「俺って少し忘れっぽくってな。昔やった獲物の締め方を思い出したんだ」

下を見ても怖くない面々が見下ろす中、先ずは《結界》を小さくする。直径一キロハーン程もあった結界が魔物を押し込みながら縮んで行って、大体三百ハーン程の直径に収まった。中はもう鮨詰め状態で魔物が折り重なって呻き声が聞こえている。一番上に居る奴がボスらしい。
全身から瘴気を吐き出す黒紫の四肢は、元が獣系の野獣であったのを思わせた。
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