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光を纏う女
しおりを挟む荷車から降りると、犯されて動けない女を守るように女子供が湧いて出た。
「街に居る全員を此処に集めろ。動けない者は此方から行くから案内しろ」
「「「はい…」」」
警戒する相手には《洗脳》が一番だ。勝手に動かされてる間に俺達の為人を知って行けば良い。
動けない者は一塊になり、動ける者は各々散って行く。数人の子供が俺の傍に寄って来るのは動けない者が他所に居る事を示していると思われる。子供達に案内された先は、家屋の隙間に屋根だけ付けたような荒屋。家はこんなにあるのになんでこんな所で寝起きしてるんだ?子供の一人に聞いても分からないと言う。産まれた時から此処に住んでいたのだと。
荒屋の中には三人の女。男は居ないと言う。《感知》で診るまでも無い。そっと浮かせて、雑木シーツで包んで持って行く。
「どう、すんの…」
「元気にするんだ」
「そんな金、無ぇよ…」
「気にすんな。この島で金が使われてる場所なんて一ヶ所くらいだよ」
広場に着いて、他にも動けない者が居ると言うので案内させて連れて来る。ミーネとリームには他の仕事を頼んだ。
「旦那様よ、此方の支度は整ったぞ」
「ああ、宜しく頼むよ」
「あの家の中に風呂を用意した。動ける者は入って体を洗え。動けぬ者は主様の指示に従え」
「「「はい」」」
一人に一枚、雑木タオルを持たせて風呂に向かわせる。二人に頼んだ仕事は家屋の中を共同浴場に作り替える事であった。広場の一面に建つそれは大型の商店のようで、ゲル版ガラスが壁一面に張られ、明かりが漏れている。中は男女を分ける扉があり、扉の向こうはきっと浴室になっているのだろう。だが今は、女風呂しか使われない。大人の男が居ないから。男風呂は俺が使おう。
「体を洗って病を癒す。良いな?」
「「「はい…」」」
動けない者女達を浮かせて男湯へと向かう。ミーネとリームも一緒だ。浴室の中はサラッとした煉瓦で出来た空間で、男女を隔てる壁からは湯気立つお湯が直下にある浴槽に流れ込んでいた。港街の共同浴場と同じ作りだ。洗い場にお湯を回す設備が無いのは突貫工事だから仕方無いか。
「先ずは全員浴槽に漬ける。お湯が汚れるから飲むなよ?服が脱げない者は居ないか?」
「「「はい…」」」
「あ、あだ…」
一人だけ、完全に動けない程弱っている。これは先に回復しないと不味いな。
服を仕舞って全裸に剥いた女の姿は一言で言えばヤバい。だった。
「ミーネ、手伝ってくれ」
「うむ」
《治癒》を掛けながら《感知》で全身を診て、《遮断》を施す。
「此処からは私がやろう。旦那様は追加で《耐性》を掛けてくれ。…妹よ」
「おう」
リームの手から放たれた魔法で、女の全身が緑色に光る。癒しか浄化か、その両方か。光を纏う女に向かうミーネは、女の腕と脚を《収納》した。
「まっ!?」
血の吹き出る暇も無く、みるみる四肢が生えて来る。根元の方からニョキニョキと、窶れてはいるが健康な四肢だ。こんな治し方出来るのプラナリアくらいのモノだろう。だが施術は更に続く。
再び四肢を切り落とし、更に首を落とした。正確には胴体を切り捨てたのだ。確かに内臓はボロボロだったが、そりゃあ無いぜ…。首の付け根からムクムクと、体が生えて来る。柔らかそうな餅のように膨らんだ胴体に、先程切り出した四肢を貼り付ける。グネグネムクムク。どんどん形が定まって、痩せた女の形になった。
「凄いな…」
「まだだ」
顔の肉が、骨が、目が、脳を残して消し飛んだ。俺では絶対出来無い施術だ…。脳の表面から骨や肉が付いて行き、最後に艶やかな髪の毛が生えた。
「吐きそ。否、そんな無責任な事言っちゃダメだな」
「《耐性》以外は解いても良いぞ。端の方に寝かせてやってくれ」
「分かった」
雑木マットを敷いて、女を慎重に寝かせると、スキルを解いて行く。
「うっ…」
呻き声を一言発し、女は眠りに就いた。脈は…ある。呼吸…良し。
「ふぅ~…」
まだ一人終わったばかりだ。
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