女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
938 / 1,519

兄の姿

しおりを挟む


 今日のバルタリンドは雨だそうで、仕事が暇になったタマリーがカロを連れて、そして経由地繋がりでママ上殿とアルネスを引き連れて島にやって来た。勿論メッツ君にガンダー、シンクレイアも一緒だ。

「大所帯で済まないね」

「歓迎するよ。ガンダーも久しぶりだな」

「あ、あば」

赤ちゃん語は分からないが嫌では無さそうだ。多分。

「メッツ、今夜はみんなでお泊まりですよー」

「ママ…、パパのご飯どうすんのよ…」

「何時もの酒場で済ますそうよ。偶の気晴らしくらい、させてあげなきゃね」

「ママ上、ご飯作ろ!教えてなのっ!」

あらあらはいはいとカラクレナイに連れてかれるママ上殿に、それに付いて行く女達。飯の力は偉大である。
居間に残ったのはカロとタマリーにエージャ。そして義弟と息子と娘。赤ちゃん三人浮かせて抱き寄せ頬っぺにチュウ…。シンクレイアに殴られた。

「取り敢えず赤ちゃん部屋で遊んでもらおうか」

「そうだね。同年代が集まる事なんて滅多に無いからきっと喜んでるに違いないよ」

「二人は大人との交流はありそうだが、メッツ君はどうだ?」

「坊っちゃまはご近所の奥様達のおっぱいを貰っております。出る出ないに関わらず」

「はははっ、それは羨ましいな。今度遊びに行くよ」

「場所と日時を設定しておきます」

『ばか』

「旦那様、シンクが拗ねちゃいましたよ?」

「後で甘い物をあげようね」

「きゃっきゃっ」

これは喜んでる絶対。
皆を連れて赤ちゃん部屋に向かうと、今は兎ちゃん達のお散歩タイムのようで兎少なめ。人の子は全員揃ってた。

「ジョー二アス~、お兄ちゃん達連れて来たよ~」

でっかい赤ちゃんベッドの中にお兄ちゃん達を入れてやると、三人がハイハイしながら寄って行き、揃って頭突きした。遠近感どこ行った。耐えるメッツに、石頭なのか動じないガンダー。兄の姿を見て涙目で堪えるジョー二アスが健気である。回復掛けとこ。

「あぎゃぎゃ」「ぎぎぃ」「ふへ」

ゴロツキみたいな笑い方である。大人になる前に矯正せねば。

一方、勇者シンクレイアは兎ちゃん達に突進してモフってる。気持ちは分かる。

「シンクレイア、程々にな?」

「あーい」

「返事しましたね」「したな」「ですね」

「偶々だろ。パパの気持ちを察してくれたなら嬉しいがな」

赤ちゃん達を撫で回し、お世話の大人兎に子供を託して部屋を出た。

「風呂に行っても皆料理に夢中だろうし、城にでも行くか」

「城?」「カケル様は王様になったのですか?」

「ウラシュ島ですね」

カロは分かったようだ。どうやら以前ジョンに会った繋がりで、クリューエルシュタルトのギルドとは連絡を取り合ってるんだって。転移門を潜り、城へ入り、エントランスは女の園。皆、風呂と井戸端会議の参加者だ。この中で街の運営が半決まりしたりするので井戸端議会と言っても良いかも知れない。

「おや、今日はお連れさんが違うねぇ」

「お妾さんかい?」

「そうだよ。カロにタマリー、エージャだ。あまり来ないがよろしくしてやってくれ」

挨拶合戦、よろしく攻勢、根掘り葉掘り。女のコミュは何時もこんなモンだ。この姦しい中でよくミーネは聞いて居られるな。女の集まりの中心に居るミーネに目配せすると、目で挨拶してくれる。

「皆、先に行ってるぞ。場所は先輩達に聞いてくれ~」

一足お先に風呂へ行く。全裸にタオルをアイツに掛けて、浴室への階段を降りて行くと、聞き慣れぬ悲鳴に此方もびっくりする。
この間連れて来た女達だ。此処で狼狽えると負けなので、先輩主婦に挨拶しながら堂々と、浴室に降りて掛け湯した。

「か、カケル様。何で此処に…」

「元々俺の家だし、王配だからな」

「そう、ですか…。けど、そん「まあまあ良いから。あンた等はゆっくり浸かっといで」」

狼狽える女を先輩の一人が宥め、俺のタオルを捲って口を付けた。じゅぷじゅぷと音を立て、アイツに涎を塗り付ける姿に新参者は言葉を失っていた。




しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

処理中です...