女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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ファンタジック

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 口からご飯粒を飛ばして驚く弥一はペットボトルのコーラを飲んで落ち着きを取り戻そうとしている。勿論俺の分は無い。

「コーラなんて飲んでっと、デブに拍車が掛っぞ?」

「ぐえー…ふぅ。異世界行ったら飲めねーんだろ?」

「まあな。取り敢えず明日は休みになったから金策しようぜ」

「ああ…。けど俺、殺しは…」「殺すかっ!」

「だってよう、翔の言う金策ってモンハンドロップだろ?俺、殺られる自信しか無えよ」

「弥一君、君はファンタジックな脳味噌してんだから、色んな金策法を模索しようぜ?」

「ん~、採集とか?」

「そうだ。コレを拾いに行く」

脳に糖分を摂取した弥一は、やっと冒険者の基本を思い出したようだ。答えが出たので採集品を見せてやる。

「金かそれ。つか、あるのか?」

「異世界チートで金策するにゃ、コレか強盗しか無い…ってな。それで、家族には言ったのか?」

「ああ。信じて無えけどな。書き物は終わらせた。後は妹に通帳とかを渡して、パソコンぶっ壊すだけだ」

ドライブはしっかり破壊して置かないとな。

「あ、パソコンで思い出した。写真撮ったから取り込んでメニュー表作ってくれよ」

「は?メニュー表?」

「レストランにあるアレだよ」

「成程…。俺の書いてたヤツにも無かったな。口頭にした方が文字数稼げるし」

「シルケに行って気付いたが、絵付きのメニュー表って全く無くてさ、あると凄ぇ便利なんだよ」

「コッチですら高い店は文字だけだもんな、行った事無えけど」

机にあるPCを卓袱台に持って来ると、カルビ弁当を食いながら借りてたデジカメを接続して画像を取り込んだ。

「こりゃ、ファンタジックな飯だな。スープにパンに、肉か。ん?これ、餡蜜か?」

「甘納豆と黒蜜作ったら自然発生した」

「女の執念ってヤツだな」

「俺のだ。やらんぞ?」

「ハーレムめぇ…。で、文字どうすんだ?」

「写真と余白だけで良いよ。識字率はお察しだからな」

プリントは時間が掛かるので、雑木紙を束で渡して後でやってもらう事になった。弥一がむしゃむしゃポチポチしてる間、俺は俺で作業する。《白昼夢》を使いすぐ側に視界を移すと、《逃げる》に指示して砂金の埋まっている場所を探す。成る可く近場で、成る可く多くある所。しかしコレは失敗。肉体が動いて壁にへばり付いた。

「ちょっと出掛けて来る」

「おう。刷れるだけ刷っとく」

《白昼夢》を解いて出掛けるのを告げると、カルビ弁当食いながら弥一は答えた。夜だし《阻害》を掛けるとは言え、鎧で外には出られない。玄関に置きっ放しになってる服を着て、そのまま玄関を開けて外に出た。

 《阻害》を掛けて空に上がり、砂金の掘れる場所へ飛ぶ。電線に触れない高さで、且つ飛行機にぶつからないように、《結界》を纏って超高速で飛んでった。

近場でと指示したのでそこそこ近い場所に着く。川の上流で如何にもな場所だが、俺はこんな所で採れるなんて話聞いた事が無い。何せ通ってた小学校の脇を流れる川の上流だったのだから。有名ポイントなら人の姿もあるだろうが、暗くなったこの場所には人っ子一人居やしない。お化け出そうだし帰ろう。

「只今~」

弥一の部屋へ《転移》で戻ると、既にプリントが始まっていた。水の流れる音がして、トイレから出て来る弥一が手も洗わずに部屋に来る。

「戻ったのか」

「おう。手、洗わないと死ぬ世界に行くんだ。忘れんなよ?」

「お、おう…」

嘘だ。その程度で死にはしない。多分下痢にはなると思うが。

「それと、爪も短く切っとけ」

「翔よう、ソッチって爪の処理はどうしてんだ?」

「砥石で研ぐ。金持ちは金属鑢だ」

「爪切り無いのか…。持ってくかな」

「百均の爪研ぎが良いかもな。印刷は後にして買い物に行くべ。俺休み少ないんだ」

「冒険者じゃ無いのか?」

「副業で風呂屋を始めたんだ」

「それって、ソープ…」

「女用のスーパー銭湯だな」

外着に着替えて部屋を出る。向かうはホームセンターだ。




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