女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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モンスターの群れ

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 デイバッグを背負い、原付を駆る弥一の上を飛んで行く。ホムセンの場所は分かるから、奴が着いた頃に《転移》しても良いのだが、それだと暇を持て余す。二十分程掛けて辿り着いたホムセン前で、最後の通告を行う。

「俺の姿、見えてないよな?」

「ああ」

「話してると独り言になるから気を付けろよ?」

「だな。では行くべ」

弥一の後ろを着いて行く。買うのは園芸用の受け皿に革手袋。キッチン用の丸いプラ笊。アウトドア用の小さなスコップ。それに小さなジッパーバッグだ。弥一の奴は買い物カートにコーラを積み込んでるが、原チャで帰れんのか?目的の品以外に、爪研ぎや安全靴、おやつのミックスナッツまで買っていた。

「コーラは余計だったろ」

「足に挟む」

コーラ依存性の此奴がコーラロスで悶え苦しむ姿が目に見えるようだ。再び二十分程掛けて家に戻る。

「明日、朝飯食ったらまた来るよ」

「それ迄にプリントしとくわ。またな」

鎧に着替えて島へと《転移》すると、テイカが寝室に駆け込んで来た。

「カケル様、お出掛けでしたかっ」

「明日の準備をしてたんだ。何かあったか?」

「いえ、特には。カケル様が消えたので何処に行かれたのかと。それにしても、今回は特に、匂いますね」

原付の近くを飛んだからだろうな。《洗浄》して《消臭》。テイカチェックは可とされた。


 翌日。朝食を摂ると、異世界の服に着替えて《転移》するが、弥一の野郎、まだ寝てやがった。

「起きろ!モンスターの群れだ!囲まれてるぞっ!?」

「んなっ!?……俺の部屋だ…」

「シルケだったら死んでたかもな」

「心臓痛ぇ…。ショック死で異世界転移、出来るかな…」

「神様次第だろ。ほれほれ、飯食って支度しろ~」

食パンにジャムを塗って食う弥一を他所に、出来上がったプリントを確認する。安物のプリンターなのでしょぼい印刷だ。だが、それが良い。

「印刷ありがとな」

「ん。礼はハーレムでよろしく」

「ハーレムは自分で作るモンだ。独り立ち出来るようになったら違う大陸で生きるのも良いな」

「僻地に追いやってスローライフさせる気か?死ぬぞ?」

「死なないように鍛えてやるよ。それに、女を取り合いたくないからな」

「俺だって穴兄弟は嫌だぞ」

「即ち、そゆこと」

「納得」

デイバッグに荷物を詰めて、身支度を終えると外に出て、原チャに跨り移動する。同じ小学校だったから、場所の説明は短くて済んだ。

「バイクは置いてった方が良いな」

「歩けと?」

「回復は任せろ。四肢切断でも治せるぞ」

「ハイキングなんて小学以来だぜ…」

「中学でオリエンテーションしたろうが」

「そんな昔の事なんて忘れちまったぜ」

小学の方が昔だろうが。デイバッグをほんのり浮かせ、歩くデブの後ろを行く。川沿いの道を行き、橋の袂から川に降りて、湿った砂利の上を歩いてく。

「回復って、凄ぇのな」

「疲れ自体は取れないけどな。今掛けてるのは《強化》だ」

「それで歩けてる訳か」

「十キロは歩けるようになっとけよ?街から村迄丸一日歩くからな」

「そ~ら~を自由にっ、飛~びた~いな~」

「はぁい、努力しろ~」

「異世界、マジヤバい、世知辛い。いぇあ」

「スキルも魔法も数熟さないと見に付かんからな」

「取り敢えず、濡れない魔法、無い?」

「無い。後で乾かしてやるよ」

砂利道が無くなり、濡れなきゃ進めないようだ。とっとと行けや。膝迄濡らして先を進み、二時間程で目的地に辿り着いた。

「此処か?砂利が薄らあるだけだぞ?」

「荷物出したら少し休憩して、それから始めっか」

「だな」

荷物とおやつを取り出すと、ナッツをボリボリ齧るデブ。常温のコーラも持参してたか。俺は水の棒でコップに注いだ水を煽り、ソーサーに噛み付いた。

「それ、異世界のパンか」

「ソーサーって言うんだ。ナンみたいなモンだ」

「この間の干し肉は?」

「干し肉持って外出ると、野獣に襲われっぞ?」

「ああ、確かに…。今の内にロールプレイしとかなきゃな」

「んだ」

休憩を終えたら作業開始だ。






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