女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
1,147 / 1,519

身代金を取る

しおりを挟む


 お手頃価格の運動と、付き添い達のストレス発散が終わり、傷んだ者等を治して回る。回復も出来る弥一は糞するってトイレに駆け込んでった。野郎、サボってモクモクする気だな?

「お前の回復は魔法では無いな?」

近くで見てれば気付くか。グリオーソが問い掛ける。

「スキルだよ。便利だぜ?」

「自身を癒すキルは知っとるが、人に掛けるのは初めて見たぞ」

「治れば何方も一緒ってな。ほい、終わりっ」

「ありがとうございます。カケルさんとやりたかったけど、まだまだ壁は高そうです」

一組の奴にボコされた六組の男は、礼を述べて寝に向かう。俺も寝るかね。

「あの、カケル様…」

…騎士達が、戦いたそうな雰囲気で此方を見ている。木剣持ってるし、そう言う事なのだろう。

「訓練したくなったのか?」

「体が疼いてしまって…」「我々は鎧があるので怪我は殆どありません。ですので…」

怪我は無くとも鎧が凹むだろうに。夫人達の横に立つ騎士の代表を見ると、頭を縦に動かした。許可は降りているみたい。少しだけ、と念を押し、俺も木剣を握った。

「はっ!しっ!」

対人戦に慣れている騎士達は冒険者より上手い。唯、スキルが使えずレベルが低いだけだ。スキル有りの戦いであれば、《強化》無し状態での俺では太刀打ち出来んだろう。
カツッと軽く木剣を当てて試合が終わる。俺の勝ちだ。

「見え見えだな。剣筋もフェイントも、一歩離れるだけで丸見えだ」

「ありがとうございました」「お見事ですわっ」

 キャーキャー言わずに大人しく見てられるニーネンタールは育ちの良い子だ。対戦相手が身を引くと、俺が淹れ、メイドの注いだお茶を持って寄って来る。

「ありがとうございます。しかし見事等ではありませんよ。間合いを空けさせるのも一つの手、ですからね」

「あら、それは?」

「特に対人戦であれば、押し返す事が勝ちになる場合もありますから」

「それでもあの者は倒されましたのでしょ?」

「多対多であれば後詰と代わるだけです。他の皆を見てください、致命打は狙っていないでしょう?」

「……分かりませんわ」

「戦時では、唯殺すよりも捕まえて身代金を取る方が儲かるのですよ」

「まあ。ではキネイアッセンとの戦いは大損ではありませんか」

「宰相閣下が戦争を辞めさせた理由、お解りになられましたか」

「私がもっと小さい時、豊かなヒズラーを守る為と仰っていましたが」

「戦後直ぐ、俺が寄った頃には草木枯れ果てた土地になってましたよ。今は俺の仲間が国を興して木を植えたりしてますがね」

「カケル様のお仲間?」

「俺が様付けを強要する者等ですよ」

「あら、それは障らぬが良いわね」「王公に強要とは、聞き捨てなりませんな」

夫人と騎士の代表が反応して声を上げると、ニーネンタールに手を引かれた。座って話したいのだろう。俺は寝たいんだが。

「夫人、後で説明をなさってくださると有り難いです」

一礼し、お願いする。

「ふふっ、そうね。因みに何方様であらせられるのかしら」

「ミネストパーレ様と申します」

「して、そのミネストパーレ殿「「様です」よ」ゴホッ、失敬。ミネストパーレ様の治める国とは何処に?」

「国交を結ぶ事が出来ません故、場所はお教え出来兼ねます」

「他国に知らしめての国であると思われるが?」

「デヌーロ、お止めなさい。土地を荒らされた民の住まう土地に出来た国、おいそれと国交等結べようがありませんよ?」

「御意に御座います。されど、キネイアッセンはどう動くか…」

「それは問題ありません」

「「それは?」」

「キネイアッセンの帝国は、皇帝を滅ぼして俺が王位を受け継ぎましたので」

「あら…」「なんと」

「王籍でらしたのね。ふふっ、私より位が高いわ」

「なんと…」

「今は唯の冒険者ですので、そのようにお願いします」

「そうですね。デヌーロ、そのように」

「承知しました」

「カケル様、よろしかったら私も娶りませんか?」

ニーネンタールは許婚が居るでしょう?


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

処理中です...