1,190 / 1,519
男の子
しおりを挟む夜景の時間になると、見張りと眠気覚ましを兼ねてか三組の女達が焚き火でソーサーを焼く。焼くなら直火焼きの方が美味いと言うのだ。薪の匂いにパリパリになった表面は確かに美味い。だが時間的余裕が無い場では魔法での調理も仕方無かろう。
昨日より少し大きめに作られた焚き火を囲むように煉瓦の板が立てられ、何枚ものソーサーが流れ作業で焼かれて行くのを眺めながら、夜の空きっ腹を耐え忍んだ。
日が登り始め、朝食の時間になると、今日も稼ぎに出る友恋フレンズ少年隊が湖を渡り陸に上がって来る。
「おはよー」「「はよー」」
「お早う。皆は今日も仕事か」
「家に居てもつまんねーし」「またジョンのトコ連れてってくれよー」「ハークにもー」
此奴等だけでも行けなくは無いが、保護者としては危険は避けたい。
「ブチ達の生活もあるだろうし行きたいなら話しておくんだな」
「「「はーーい」」」
「お前さぁん、オレもダンジョン行きたいぜぇ」
「アタシも行きたいかも」
「予定組んどけ」
獣人五人はダンジョンが好きなようだが、人種な慎重だ。
「ね、ねえカケルさん。また変な爆発する敵なんて出ないよね?」
「クリューエルシュタルトでは見た事無いな」
「私ドラゴンは無理よ?」
「支援に集中するんだな。アズの指示なら皆聞くだろ?」
妾達に抱き着かれ、弟分にはソーサーを二枚奪われて、騒がしい連中は魔動車唸らせ出て行った。
「翔よう、俺もドラゴン殺れっかな?」
「無理だな。お前飛べねーじゃん」
弥一も男の子、ドラゴンと聞いて危険な思想に陥るが、線引きしてやるのも先輩冒険者の務めであろう。他の男の子共も俺達の会話を聞いて苦笑い、無謀な冒険は弁える事だろう。
「カケルよ、お前のように飛ぶ事が出来れば倒せるのか?」
「飛ぶ以前に装備が必須だよ。魔剣が無いと鱗が斬り難い」
魔剣と聞いたダミヤン君の顔が曇る。買うに買えない代物だからな。とは言えダンジョンドロップされる頃には直ぐ近くにドラゴンが居る訳で、遠征費用や継戦能力の問題もあり入手難易度が高いのだ…とジョンは愚痴ってた。
「勿論彼奴等飛ぶからな。こっちも飛んだり跳ねたり出来なきゃブレスでイチコロよ。もし見付かって逃げるなら、バラバラに逃げるのが良いだろうね」
「それ、誰かが死ぬのよね?」
「生き残れたら良いな」
「走る目的が、分かって来た気がします…」
「ドラゴンなんて一生に一度見ないんだ。気負わなくて良いぞ」
自分達がトカゲ相手に何とか出来ると思っている内は何にも出来ずに食われるぞ?食われる前に飯を食え。朝食を済ませ、片付けと準備を整えたらバルタリンドに向けて出発した。この辺りは魔動車が蹂躙してるので禄な獲物が居ない。なのでホルストを《強化》し回復掛けて、車両を少し浮かせて速度を上げさせる。乗り心地が良くなって、皆に睡魔が寄り添った。俺も少し寝る。
昼休憩を挟んで野営地に着く迄敵の姿も無く、治安が良過ぎて午後は三組と合同で走った。走ってないと寝るしか無いからな。久しぶりのランニングで良い汗かいたぜ。《洗浄》が久しぶりに気持ち良い。
「翔ぅ、頼むよぉ~」「「「カケルさぁ~ん」」」
俺や他の男共が《洗浄》で済ませていると言うのにこの元デブと女共は…。夕飯の片付けが終わると直ぐに徒党を組んでやって来る。手伝いしたとか何とか言うが、それは皆やってるからな?
「明日迄ダ~メ。それに他の人も居るでしょうが」
今日の野営地には珍しく野営者が居る。バルタリンドから来た商隊と、その護衛のテントが俺達のサイトの対角側に陣取られ、焚き火を囲んで夜警の支度を始めてた。野営地が狭いのもあるが、知らない顔の商人だし、下手にイザコザしたく無いのだ。
「弥一、俺、何かやっちゃいましたか?だぞ?」
「ぬ、そう言われると…」
弥一が折れて憤慨する女子達だったが、スイーツで手を打ってくれた。弥一よ、まさかそれを狙って居たのか!?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる