女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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「壁か?」

 階段を降りて、目の前を壁で塞がれている事に冒険者達は困惑する。ギルマスはまだ貫通してる頃の報告迄しか受けてないみたいで、頻りに壁を触っていた。

「誰がやったのか…、埋まってしまっているね」

ソレ、俺です。とは言えないなぁ。帰りに埋めながら上がって来たの、今思い出した。

鶴嘴で掘ってみろ、なんて言われる前に対処する。土魔法で穴にして行くのだ。

「土魔法迄使えるのか」

「投げてた球も土魔法だぞ?今更驚くのか」

「詠唱はどうした」

「射出するなら唱えても良いが、投げるのは手だからな」

「今掘ってる魔法もだ」

「落とし穴掘るのに詠唱なんぞしてたらバレちまう。出来る迄練習。基本だろ?」

バルディの連続突っ込みを往なし穴を開けると、光魔法の照明を持つパントルを先頭に奥へ進む。その隣には穴を開ける俺。殿に着いたのはバシットとパントルとなった。

「カケルよ、狭いな。息苦しくて敵わん」

閉所は苦手か?だが酸欠の可能性もある。対処しておかねば。

「パントルかギルマス、何方でも良いんだが、風魔法は使えるか?」

「使えるが、魔力が少ないんだ」「私は水のみだな」

「俺は使えるが、聞かないのか?」

「バルディは回復で使うのだろうと思ってな。悪いが風を吹かせてくれないか?」

「ストームか。お前が居るし、まあ良いだろう」

「強く無くて良い。指先にそよ風程度で良いんだ」

買ったまま忘れてたミズゲルの核を取り出して、《集結》させて魔力を込める。魔法職には見られたくないが命が掛かってるので仕方無い。やろうと思って出来る技術じゃ無いしな。仄かに光る、砂粒大の魔石を雑木に埋め込み、バルディのそよ風に当てると光が消えた。多分、成功だ。

「国力が、国勢が変わるな」

パントルは元魔法師団だけあって、コレを直ぐに属性魔石だと見抜いた。一冒険者がこんなにも簡単に魔法ギルドが秘匿する技術を使える訳が無い。俺の技術を国の物とすれば国の発展に大きな貢献となるだろう。

「冒険者の秘密で頼む。王家は知ってて黙っててくれてるからな?」

「それを言われると手が出せないな」

「しかし、自作して献上すれば陛下にお目通り叶うな」

アーチヴは付与が得意な様で、一部真似る事が出来そうな雰囲気。一部なのが惜しいし動機は不純だ。

「おいカケル、俺にも作り方を教えろ」「魔法使えないだろお前は」

動機不純は此処にも居た。とにかく秘密って事で、風の属性魔石を使ってみる。弱いストームだな。顔に当てて砂でも撒いたら痛いかも。

「それで、ソイツは何なんだ?」

「予想するに、風の精霊を召喚している様なモノだろうか」

バシットの問いにパントルは予想を述べる。確かに間違ってない。

「何故だ?」

「この場所に風の精霊が居ないとな?俺達息出来なくて死んじゃうんだよ」

「成程な。水ん中と一緒か」

バシットの問いに答えてやる。バシット向けに説明したので皆理解した。

「ソレ食ったら水の中でも息が出来るな」

惜しいぞ不純マッチョ。

「明日にはウンコと一緒に出て来ちまう。洗ってまた食えるか?」

「酒で流し込みゃ行ける行ける」「行けるかっ」

バシットは、凄い奴だな。


 下への階段に向けて穴を掘り進めて行くが、行く先はバルディに決めさせた。俺はゴール知ってるしな。そして途中空洞に出る。此方はハズレのルートだが、調査するのが仕事なので行かねばならない。皆特に異論も無く空洞を見て周った。

「ミミッキュすら居なくなったな」

「敵も息が出来ないと湧かないのかもな」

「コッチは行き止まりだ」

ハズレな事を確認し、穴掘りを再開する。何度かハズレのルートを進み、下へ下へと潜って行った。

「階段迄埋まっているとはな」

「期限を設けないとはしたが、コレでは先に食料が尽きてしまいかねん」

 夕食のスープを温める横で、今日の進みの遅さに愚痴を零すパントルにダールッター。残る三人は特に語らず装備の整備をしているが、腹の中は似た様なモノだろう。





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