女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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皆が垂れ流したモノの匂い

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「ふぅ。何だよ?まさか此処の詰め物全部取れとか言わんよな?」

 立ち止まり、視線をくれる皆に問い掛ける。

「する必要が出ればやらんとな。だが先ずは階段から、だな」

バシットの指示で掘り進む。真っ直ぐ掘ってダンジョンの壁に突き当たったら左右何方かに掘れば階段があるだろう…との判断だ。階段があれば、更に下があると言う事。道の先が途切れる迄俺達の調査は終わらないのだ。
突き当たり、左に進んで発見した。そこに階段は見えず、光届かぬ真っ黒な穴。転移門だ。ダンジョンで無くなってもこれだけは在り続けている。

「転移門?初めて見たが…」

「私も初めてだよ。切り取って持って帰れないモノか…」

魔法職の二人は直ぐにこれが転移門だと気付いた。俺もリュネの転移門以外では初めてだったんだよな。ギルマスは転移門を移設しようと考えているが、移設しても行先は地下なんだよなぁ。

「俺が先だな」

バシットが名乗りを上げる。先が見えない状況では盾役が人身御供にされるのはままある事。索敵も必要なので俺も同行する。中の安全を確認したら皆を呼び集める事となった。

「カケルッ、何処だ。暗いぞっ」

俺が入るとバシットは真っ暗な中で焦りつつも、盾を構えてじっと耐えていた。

「今来た。穴を掘るからバルディと交代してくれ」

階段に詰まった瓦礫を除去しながら、風の属性魔石を持つバルディを待つ。此処は酸素が薄い。階段を降りたらどうなるか分からんぞ…。階下迄穴を伸ばす前にバルディと風が来た。

「…暑いな此処は」

「少し風を強く出来るか?此処には風の精霊が全く居ない様なんだ」

「魔力を込めて消したら、強めに込めるんだったな」

「人に向けないようにな」

バルディが風の棒を消し、再び起動する。正面から受けると目を開けるのが辛いくらいの風が出た。穴が階下を捉えたら、上で待つ皆を呼んで来る。

「此処は自然の傾斜なのだな」

パントルは明るく照らされた坂道を見て、ダンジョンの構造が変わった事を察した。詰め物の材質が変わったからだろう。百階迄の瓦礫は土が多かったが、此処は岩石が多いのだ。

「ん?そう言えば。さっきは見えなかったから分からんかったが」「入口から傾斜だっただろ」

バルディのツッコミが弱い。酸素の少ない所に居たせいだな。天然洞窟はコレがあるから危険だ。俺は《皮膚呼吸》があるから皆よりはマシだ。何より皆が垂れ流したモノの匂いを嗅がなくて済む。

「百一階。何処迄あるのか分からなくなってしまったな」

「それに瓦礫と通路との差が分から無くなったが、カケルはどうやって見分けたんだ?」

アーチヴとダールッターが寄って来て、それぞれの感想を述べる。

「硬い場所迄掘っただけだ。此処は平面だしこの瓦礫の材料にしたのだろうね」

「成程な」「真っ暗なのに凄いな」

《魔力視》と《暗視》も使えると教えてやったら感心してた。《感知》で事足りるからあまり使ってないけれど。
平面に削れた床を目印に穴掘りを進めて行く。削られた石膏や明礬が明かりを反射して少しキレイだ。そして愛する者を痛め付けた跡地を通り過ぎ、壊されて跡形も無い隠し扉を進むと、天然洞窟から再び遺跡型の通路に変わる。

「足音が変わったか」

「ああ。床が変わったな」

「カケル、少し広めに空間を取ってくれないか?」

ダールッターの提案に乗って、通路全体が露出するくらいの広さを取って進み、破壊されたドアを発見する。少し掘り進めて通路では無い事を確認すると、壁沿いに空間を広げながら行き止まりの部屋であるのを確認した。

「コレは、ダンジョンコアの台座…だね」

部屋全体を空間にしていると、ダールッターは瓦礫の中からダンジョンコアの台座だった物を発見した。

「なら、此処が最奥って事だな」

「そうだね。ホッとしたが、残念だよ。冒険者の頃は此処に来るのを目標にしてたからねぇ」

「来れただけでも良いじゃ無えか」

「ハハ、私ならコアを破壊なんてしないけどね」

盾を仕舞ってお椀を出すバシットに、ダールッターは心境を吐露する。




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