女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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お茶漬けサラサラ

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 ダンジョンで無くなったこの洞窟でも、ダンジョンの頃から居たモンスターは存在する。ミズゲルだ。ミズゲルとは言ったが、正確にはミズゲルでは無いと思う。水棲じゃ無いしな。穴を掘り抜き、見付けてしまったハズレルートにはコイツ等が居て、逐一潰して行く事になった。

「このランクでゲルを相手にするとはな」

盾の縁をミズゲルに突き刺しバシットは愚痴る。外のと比べて愚痴る程弱くは無いのだが、Aランク冒険者達にとっては敵にもならない。

「水魔法はとことん相性が悪いのだ。済まない」

Cランクのパントルは此処では専ら照明係。適材適所だから問題無い。
そして水面状に固まった明礬。コレにも一度足止めを食らった。都市復興を目論むダールッターが、水晶なら金になるのではと考えたのだ。だがコレは水晶では無い。パントルが水晶との違いを説明してくれなかったらもっと粘られていただろう。残念がるギルマスに、焼いて野菜と一緒に塩漬けすると色味が良くなると教えてやった。糠漬けでお茶漬けサラサラしたいぜ。

 ダンジョン内部の丁寧な探索と魔物の排除をして、九十階のボス部屋で本日の業務は終了となる。進みが遅く、モンスターを殲滅したがミズゲル?の核が獲れただけ。それでも体を動かせた前衛達は満更でも無い顔で装備を整備する。

「私も派手に暴れたいモノだな」「確かに。だが役割は全うするのがパーティーと言う物」

パントルの愚痴にダールッターは共感し、反論する。パントルも元軍属、分かっているのだろう。意見する事は無かった。

「その点お前は便利だな。前も後ろもこなせるんだから」

「だな。カケル、お前剣も扱えるんだろ?」

バルディが俺に話を振って来た。剣を鞘に収めたアーチヴも、思った事を口にする。

「剣は素人だよ。人に手持ちをくれてやる程度だし。今の得物は投石と棍棒と、後はダガーくらいだな。よく剣が使えると思ったな」

「投石の時の腕の振りが常人とは思えなかったのでな。そうか、棍棒を振り回していたか」

普通の人と同じ様に投げても球威が全く違う。野球あるある。バッティングも然りだ。

「コッチも整備終わったぞ。飯飯っ」

盾を仕舞ったバシットが、お椀とスプーンに持ち替えて寄って来る。俺のを借りパクしているのだが、気に入ってる様だし、くれてやるか。スープをよそって、飯だ飯飯。

「この分だと、明日は百階だな」

「んぐ、百階で終わるのか?」

「大体のダンジョンは百階前後で最奥だと言われているね。記録自体少ないが」

バルディの呟きを相棒が問う。それに答えたのはダールッター。

「むぐ、そんなに、はぐっ…少ないのか」「喋るなら食うな」

「最近では、カケルの言っていたバルタリンドだな。報告が無いのもあるかも知れんがね」

「俺を見られてもなぁ」

「此処の最深階に到達したパーティーがね、君の名を出していたのだよ」

「?…ああ、人妻乙女か」

それで合点がいった。詰め物されてなかった頃の深層の情報を持ってたのは彼女達が報告したからか。

「女か?」「女だろ」「女、か…」「早く終わらせねばな」

パントルの一言で、男達は何かを決心したようだった。

 寝て、夜警して、寝て起きる。そして朝飯を摂り、皆気合いを入れる。今日で最奥に行く事を肌で感じ取っているからだろう。慢心せず、ハズレルートの確認もしながら下へと進み、干し肉を齧る頃合には百階のボス部屋に辿り着いていた。

「この斜面は階段か!?」

「扉も破壊されているみたいだぞ?」

前を行くパントルとバルディは、それぞれが見た物に対し感想を述べる。両翼五ハーン程の幅でしか道を広げられないが、斜面に崩れた瓦礫、そして倒れた扉を見ればそう考えるのが普通だろう。

「ダンジョンコアを破壊した後、辺りを壊し、土を詰めながらながら上がって来たみたいだな」

ダールッターの予測は正しい。皆口を閉ざし掘り進んでる俺に視線を送る。早く掘れってか?





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