支援魔術師の俺、美女だらけの仲間と世界を救う

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第9章「闇の刺客──夜に忍ぶ影」

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キマイラ討伐から三日後。
王都は平穏を取り戻していた。
四人は通常通り、依頼をこなしながら日々を過ごしていた。
「今日の依頼は薬草採取です」
アリシアが依頼書を確認した。
「簡単な依頼ですね。午前中に終わらせましょう」
「了解」
四人は森へと向かった。

森での薬草採取は、順調に進んだ。
「これで全部だね」
蓮が採取した薬草を袋に入れた。
「早く終わったな」
セラは伸びをした。
「お腹空いた~」
「また食べるの……?」
リリアは呆れたように言った。
「朝ごはん、あんなに食べたのに」
「だって、お腹空くんだもん」
セラは無邪気に笑った。
「帰ったら、お昼ご飯食べよう!」
「もう……仕方ないわね」
リリアは小さく微笑んだ。

王都に戻ると、ちょうど昼時だった。
「じゃあ、どこかで食事しましょう」
アリシアが提案した。
「いつもの酒場でいい?」
「うん!」
セラは元気よく答えた。
四人は酒場へと向かった。

酒場で昼食を取っていると、ギルドの受付嬢・ミラが駆け込んできた。
「神谷さん! アリシア様!」
「どうしたんですか?」
蓮は立ち上がった。
「大変なんです……騎士団長が、アリシア様に至急の連絡を……」
ミラは息を切らしていた。
「騎士団長が?」
アリシアは驚いた表情を浮かべた。
「何があったんですか?」
「詳しくは聞いていませんが……緊急事態だそうです」
「わかりました。すぐに行きます」
アリシアは立ち上がった。
「みんなも、一緒に来てください」
「うん」
四人は騎士団本部へと急いだ。

騎士団本部は、王城の隣にある立派な建物だった。
「アリシア様、お待ちしておりました」
門番が道を開けた。
「団長室へどうぞ」
四人は団長室へと案内された。

団長室では、一人の厳格そうな中年男性が待っていた。
「アリシア、よく来てくれた」
騎士団長のレオンハルトは、威厳のある声で言った。
「お久しぶりです、団長」
アリシアは敬礼した。
「こちらが、私のパーティメンバーです」
「うむ。噂は聞いている」
レオンハルトは蓮たちを見た。
「支援術師の神谷蓮、魔術師のリリア、獣人戦士のセラ……いずれも優秀だと聞いている」
「光栄です」
蓮は頭を下げた。
「早速だが、本題に入る」
レオンハルトは深刻な表情になった。
「実は、この数日で王都の貴族が次々と襲撃されている」
「襲撃……?」
「ああ。すでに三人の貴族が、自宅で殺害されている」
レオンハルトは資料を広げた。
「いずれも、夜間に何者かに襲われ、一瞬で命を奪われている」
「犯人は?」
リリアが尋ねた。
「わからん。目撃者もいない。痕跡もほとんど残っていない」
レオンハルトは拳を握りしめた。
「だが、一つだけわかっていることがある」
「それは?」
「犯人は、闇魔法を使う暗殺者だということだ」
「闇魔法……」
蓮は眉をひそめた。
「魔王軍の可能性が高い」
レオンハルトは頷いた。
「おそらく、魔王軍が王国の重要人物を暗殺しているのだろう」
「それで、私たちに依頼を?」
アリシアが尋ねた。
「ああ。お前たちには、次の標的を守ってほしい」
レオンハルトは一枚の紙を渡した。
「この貴族、バーナード卿が次の標的だと推測している」
「バーナード卿……」
「王国の財務を管理している重要人物だ。彼が殺されれば、王国の財政が混乱する」
「わかりました。必ず守ります」
アリシアは決意を込めて言った。
「頼む」
レオンハルトは真剣な目で見た。
「お前たちなら、きっとできると信じている」

その夜、四人はバーナード卿の屋敷に潜んでいた。
「静かね……」
リリアが囁いた。
「暗殺者は、いつ来るのかしら」
「わからないけど、油断できないわ」
アリシアは剣の柄に手をかけた。
「みんな、気をつけて」
蓮は周囲を警戒した。
月明かりが、屋敷の庭を照らしている。
風が木々を揺らし、葉が擦れる音が聞こえる。
「あたし、ちょっと怖いかも……」
セラが小声で言った。
「魔物と戦うより、こういうの苦手……」
「大丈夫よ、セラ」
リリアが優しく言った。
「私たちがいるから」
「うん……」
セラは頷いた。

深夜1時を過ぎた頃──
突然、庭に黒い影が現れた。
「来た……!」
アリシアは身構えた。
黒い影は人型だが、まるで煙のように揺らめいている。
その姿は不明瞭で、顔も見えない。
「シャドウアサシン……」
リリアは緊張した。
「Aランクの暗殺者……闇魔法を使う最高峰の刺客よ」
「みんな、気をつけて!」
蓮は叫んだ。
シャドウアサシンは瞬時に屋敷の中へと侵入しようとした。
「させません!」
アリシアが立ちはだかった。
剣を振るうが──
シャドウアサシンは煙のように剣をすり抜けた。
「えっ……物理攻撃が効かない……!?」
「フレイムアロー!」
リリアが炎の矢を放つ。
シャドウアサシンは回避し、再び屋敷に侵入しようとした。
「待て!」
セラが飛びかかった。
拳を振るうが、これも虚しく空を切った。
「くそっ……当たらない……!」
「魔法攻撃しか効かないのよ!」
リリアが叫んだ。
「でも、速すぎて当てられない……!」
その時──
シャドウアサシンが、屋敷の窓から侵入した。
「まずい……!」
四人は慌てて屋敷に飛び込んだ。

屋敷の中、バーナード卿の寝室。
バーナード卿は眠っている。
そして、その枕元に──
シャドウアサシンが、短剣を構えて立っていた。
「させるか!」
アリシアが突撃した。
だが──
シャドウアサシンは一瞬でアリシアの背後に回り込んだ。
「くっ……速い……!」
「アリシア、危ない!」
蓮は反射的に叫んだ。
「支援強化!」
「バーサーク・ブースト!」
アリシアの体が光り輝いた。
「この力……!」
アリシアの反応速度が上がる。
シャドウアサシンの攻撃を、ギリギリで回避した。
「はあっ!」
反撃の剣を振るう。
だが、シャドウアサシンは再び煙のようにすり抜けた。
「やはり、物理攻撃は効かない……!」
「ライトニングボルト!」
リリアが雷の魔法を放った。
シャドウアサシンに直撃──
だが、ダメージは浅い。
「硬い……闇の魔力で防御しているわ……」
「くそっ……どうすれば……」
その時、蓮は気づいた。
「そうだ……光魔法だ!」
「光魔法?」
「闇には光が有効なはずだ! リリア、光魔法は使える?」
「使えるけど……攻撃力は低いわよ」
「いい、それで十分だ!」
蓮は叫んだ。
「俺の支援で威力を上げる!」
「わかったわ……!」
リリアは杖を構えた。
「光よ、闇を払え──ホーリーライト!」
光の柱がシャドウアサシンを包み込む。
「グランド・サポート!」
蓮の支援魔法が、リリアの魔法を強化する。
光が、さらに強烈に輝いた。
「ギャアアアッ!」
シャドウアサシンは悲鳴を上げた。
その体が、光に焼かれていく。
「今だ、アリシア!」
「はい!」
アリシアは剣を構えた。
「セラも!」
「おう!」
二人は同時に突撃した。
光に弱ったシャドウアサシンに、剣と拳が叩き込まれる。
「はああああっ!」
シャドウアサシンは、光の中で消滅した。

「やった……!」
四人は安堵の息を吐いた。
「危なかった……」
蓮は膝をついた。
「何とか間に合った……」
「神谷さん、大丈夫ですか?」
アリシアが駆け寄った。
「うん、ちょっとMPを使いすぎただけ……」
「無理しないで」
リリアも心配そうに言った。
「でも、あなたのおかげで勝てたわ」
「そうだよ!」
セラも頷いた。
「蓮、すごかったよ!」
「みんながいたから、勝てたんだよ」
蓮は笑顔で答えた。

その時、寝室のドアが開いた。
バーナード卿が、驚いた顔で立っていた。
「な、何があったんだ……?」
「大丈夫です、バーナード卿」
アリシアは剣を納めた。
「暗殺者を撃退しました」
「暗殺者……!?」
バーナード卿は青ざめた。
「私を狙って……」
「はい。ですが、もう安全です」
「……感謝する」
バーナード卿は深々と頭を下げた。
「あなた方がいなければ、私は殺されていた」
「当然のことです」
アリシアは微笑んだ。

翌朝、四人は騎士団本部に戻った。
「よくやってくれた」
レオンハルトは満足そうに頷いた。
「暗殺者を撃退し、バーナード卿を守った。見事だ」
「ありがとうございます」
アリシアは敬礼した。
「だが、まだ油断はできん」
レオンハルトは険しい表情を浮かべた。
「魔王軍は、必ずまた動く」
「はい」
「お前たちには、引き続き警戒してもらいたい」
「かしこまりました」
四人は頷いた。

騎士団本部を出ると、セラが大きく伸びをした。
「はあ~、疲れた~」
「お疲れ様」
蓮は笑った。
「昨夜は、みんな頑張ったね」
「うん」
セラは笑顔で答えた。
「でもさ、あたしたち、いいチームだよね」
「そうね」
リリアも頷いた。
「連携も完璧だったわ」
「これからも、みんなで協力して戦いましょう」
アリシアは微笑んだ。
「はい」
四人は揃って頷いた。

その日の午後、四人は街を散策していた。
「ねえ、あそこの店、入ってみない?」
セラが指差した。
可愛らしい雑貨店。
「いいわね」
リリアも興味を示した。
「ちょっと見てみましょう」
四人は店に入った。

店内には、様々な雑貨が並んでいた。
「わあ、可愛い……」
セラは目を輝かせた。
「これ、欲しい……」
セラは小さなぬいぐるみを手に取った。
狼のぬいぐるみ。
「似合うね、セラに」
蓮が言った。
「本当?」
「うん。買ってあげるよ」
「え、いいの!?」
セラは目を輝かせた。
「もちろん」
「やった! ありがとう、蓮!」
セラは嬉しそうに蓮に抱きついた。
「えへへ、嬉しい!」
「あ、ああ……どういたしまして……」
蓮は顔を赤らめた。
その様子を見て、アリシアとリリアは顔を見合わせた。
「……神谷さん、人気ですね」
アリシアは小さく笑った。
「そうね」
リリアも微笑んだ。
「でも……」
二人は少し複雑な表情を浮かべた。

店を出ると、日が傾き始めていた。
「そろそろ夕食の時間ね」
リリアが言った。
「どこかで食べましょうか」
「賛成!」
セラは元気よく答えた。
「お腹空いた!」
「また……?」
リリアは呆れたが、その表情は優しかった。
「じゃあ、いつもの酒場に行こう」
蓮が提案した。
「うん!」
四人は酒場へと向かった。

酒場では、四人で乾杯した。
「お疲れ様」
「乾杯!」
ジョッキを合わせる。
「昨夜は本当に危なかったですね」
アリシアが言った。
「でも、何とか乗り越えられました」
「みんなのおかげだよ」
蓮は笑顔で答えた。
「俺一人じゃ、何もできなかった」
「それは私たちも同じよ」
リリアが言った。
「あなたの支援がなければ、あの暗殺者は倒せなかった」
「そうだよ!」
セラも頷いた。
「蓮がいたから、勝てたんだよ!」
「……ありがとう、みんな」
蓮は照れくさそうに笑った。

しばらく歓談していると、アリシアがふと言った。
「神谷さん」
「うん?」
「あなたと出会えて、本当に良かったです」
アリシアは真剣な目で言った。
「あなたがいなければ、私は今でも一人で戦っていたでしょう」
「アリシア……」
「あなたは、私に仲間の大切さを教えてくれました」
アリシアは微笑んだ。
「感謝しています」
「俺も、アリシアと出会えて良かったよ」
蓮は笑顔で答えた。
「私も同じよ」
リリアが言った。
「あなたと出会って、私は変わった」
「リリア……」
「一人で戦うことしか知らなかった私に、仲間と協力する喜びを教えてくれた」
リリアは少し照れくさそうに目を逸らした。
「……ありがとう」
「あたしも!」
セラも言った。
「蓮と出会えて、すっごく嬉しい!」
「みんな……」
蓮は胸が温かくなった。
「俺も、みんなと出会えて本当に良かった」
四人は静かに微笑み合った。

だが、その時──
酒場の外から、爆発音が響いた。
ドオォォンッ!
「何!?」
四人は立ち上がった。
「外だ!」
酒場を飛び出すと──
街の一角が、炎に包まれていた。
「火事……!?」
「いえ、違います!」
アリシアは剣を抜いた。
「あれは……魔法攻撃です!」
「魔王軍……!?」
リリアは緊張した。
「おそらく……」
その時、炎の中から声が響いた。
「クククク……よく来たな、トリニティ」
低い笑い声。
炎の中から、一人の人影が現れた。
黒いローブを纏った、魔王軍の幹部。
「お前は……」
「俺は魔王軍第三師団長、フレイムデーモン・イグニス」
イグニスは冷笑した。
「お前らを倒すために、わざわざ来てやったぞ」
「何が目的だ!」
蓮が叫んだ。
「決まっている。お前らの命だ」
イグニスは炎を纏った。
「お前らは、魔王軍にとって邪魔な存在だ。ここで消えてもらう」
「させるか!」
四人は戦闘態勢に入った。
だが、イグニスは強い。
その魔力は、これまでの幹部とは比べ物にならない。
「来い……楽しませてくれ」
イグニスは笑った。
激しい戦いが、今始まろうとしていた。
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