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第四十九話「炎の魔王アスモデウス、襲来」
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半年が経った。
訓練の日々。
毎朝、夜明けとともに起きる。
剣を振る。
魔法を練習する。
体を鍛える。
俺たちは、以前より確実に強くなった。
「【イースト・エクスプロージョン】!」
俺の新しい魔法。
発酵の力を爆発的に解放する。
威力は、以前の三倍。
「すごいな、ケン君」
ダミアンが、感心する。
「前より、ずっと強くなった」
「まだまだです」
俺は、汗を拭く。
「魔王と戦うには、これでも足りない」
エミリアも、新しい魔法を習得していた。
「【聖域展開・極限光】!」
巨大な結界。
その中では、すべての闇が浄化される。
「すごいです、エミリア」
リーゼが、拍手する。
「これなら、魔族も倒せそう」
「頑張りました」
エミリアが、微笑む。
セラフィナとロイドは、新しいコンビネーション技を開発していた。
「【光と影の双龍】!」
光の龍と影の龍が、同時に放たれる。
二つの龍が、螺旋を描きながら進む。
訓練用の的に、命中する。
ドガァァン!
的が、粉々になる。
「完璧だ」
ロイドが、満足そうに言う。
「ああ。これなら、魔王にも通じるはず」
セラフィナも。
グスタフは、剣の極意を追求していた。
「【剛剣・天地断】!」
剣を振り下ろす。
その一撃で、地面が割れる。
深さ、三メートル。
「すごい威力……」
ミレーユが、驚く。
「これなら、どんな敵も斬れる」
「まあな」
グスタフが、笑う。
「だが、まだ完璧じゃない」
「もっと、精度を上げないと」
クラリスは、炎の魔法を極めていた。
「【業火大爆発】!」
巨大な火の玉。
空中で爆発する。
すさまじい熱量。
「熱い……!」
離れているのに、熱気が伝わってくる。
「クラリス、すごいな」
「えへへ」
クラリスが、照れる。
「炎の魔王と戦うなら、負けられないから」
ダミアンとミレーユは、新しい魔法陣を開発していた。
「【複合魔法陣・五大元素】」
炎、水、風、土、雷。
五つの元素を同時に操る魔法陣。
「成功だ」
ダミアンが、満足そうに頷く。
「これで、どんな敵にも対応できる」
「ええ。準備は万端ね」
ミレーユも。
ヴォイドは、新しい力を手に入れていた。
「【虚無と希望の融合】」
虚無の力と、希望の力を混ぜ合わせる。
黒と白のオーラが、体を包む。
「これが、私の新しい力だ」
ヴォイドの目が、輝く。
「もう、虚無だけではない」
「希望も、宿っている」
ルシファーも、時の魔法を極めていた。
「【時間加速】」
自分だけ、時間を速く動く。
周囲がスローモーションに見える。
「これで、どんな速い敵にも対応できる」
そして――
運命の日が来た。
ある朝。
空が、赤く染まった。
不自然な赤。
まるで、血のような。
「何だ……?」
村人たちが、空を見上げる。
「空が……赤い……」
不安が、広がる。
その時――
通信の鏡が光った。
ソレイユからだ。
「ケン!」
「ソレイユ陛下! どうしました!」
「サンライズシティが、襲われている!」
ソレイユの声が、切迫している。
「炎の魔王が……現れた……!」
「炎の魔王……アスモデウス!」
「ああ……街が……燃えている……!」
通信の向こうから、悲鳴が聞こえる。
「すぐに向かいます!」
「頼む……急いでくれ……!」
通信が、切れる。
俺たちは、すぐに準備をした。
武器を持ち、防具を着ける。
「全員、準備はいいか!」
「ああ!」
「行くぞ!」
村を出て、サンライズシティへ向かう。
だが、馬では時間がかかる。
その時、ルシファーが言った。
「私の魔法で、転移しよう」
「転移……できるのか!」
「ああ。時の魔法の応用だ」
ルシファーが、魔法陣を描く。
「【時空転移】!」
魔法陣が、光る。
俺たちの体が、光に包まれる。
そして――
次の瞬間。
サンライズシティにいた。
街は、地獄だった。
建物が、燃えている。
人々が、逃げ惑っている。
悲鳴と、炎の音。
「ひどい……」
エミリアが、呆然とする。
そして、街の中心に――
一人の男が立っていた。
赤い髪。
赤い瞳。
赤い鎧。
背中には、炎の翼。
「あれが……アスモデウス……」
アスモデウスは、笑っていた。
楽しそうに。
「ハハハ! 燃えろ! もっと燃えろ!」
手を上げると、炎の柱が上がる。
建物が、崩れる。
「許せない……!」
俺は、走り出す。
「待て、ケン!」
グスタフが、止める。
「計画通りに動け!」
「……わかった」
俺たちは、事前に立てた作戦通りに動く。
第一陣:ケン、グスタフ、ロイド(前衛)
第二陣:エミリア、クラリス、ミレーユ(魔法援護)
第三陣:セラフィナ、ダミアン、リーゼ(側面攻撃)
第四陣:ヴォイド、ルシファー(特殊攻撃)
「行くぞ!」
第一陣が、アスモデウスに向かう。
「ほう、来たか」
アスモデウスが、俺たちを見る。
「人間が、私に挑むとは」
「面白い」
アスモデウスが、炎を放つ。
「【灼熱の波】!」
炎の波が、襲ってくる。
「【イースト・シールド】!」
俺の盾が、防ぐ。
だが、熱い。
盾が、溶け始める。
「くっ……!」
「【聖域展開】!」
エミリアが、結界を張る。
炎が、結界に阻まれる。
「助かった……!」
グスタフとロイドが、アスモデウスに斬りかかる。
「【剛剣・天地断】!」
「【光剣・閃光】!」
二つの剣が、アスモデウスを襲う。
だが――
アスモデウスは、剣を素手で受け止める。
ガキィン!
「何!?」
「遅い」
アスモデウスが、二人を蹴り飛ばす。
ドガァ!
二人が、吹き飛ばされる。
「グスタフさん! ロイド!」
第二陣が、魔法攻撃。
「【業火大爆発】!」
クラリスの炎。
だが、アスモデウスには効かない。
「炎の魔王に、炎の魔法か?」
アスモデウスが、笑う。
「愚かな」
「【氷結大魔法】!」
ミレーユの氷魔法。
アスモデウスの足元が、凍る。
「ほう、氷か」
だが、アスモデウスは炎で氷を溶かす。
「だが、この程度では……」
「【聖なる光・極大】!」
エミリアの最強魔法。
巨大な光の柱が、アスモデウスを襲う。
「ぐっ……!」
アスモデウスが、初めて怯む。
「光の魔法……効くか……」
第三陣が、側面から攻撃。
「【シャドウ・アサシン】!」
セラフィナが、影から奇襲する。
アスモデウスの背中に、刃が刺さる。
「ぐあっ!」
血が、流れる。
「やった……!」
だが、アスモデウスは振り返る。
拳を振るう。
セラフィナが、避ける。
だが、拳から炎が放たれる。
「きゃあ!」
セラフィナが、炎に巻かれる。
「セラフィナ!」
リーゼとダミアンが、援護する。
「【ウォーターシールド】!」
ダミアンの水の盾が、炎を消す。
「ありがとう……」
セラフィナが、立ち上がる。
第四陣が、動く。
「【虚無と希望の刃】!」
ヴォイドの剣が、アスモデウスを斬る。
ズバァ!
胸に、深い傷。
「ぐあああ!」
アスモデウスが、叫ぶ。
「貴様……!」
「【時間停止】!」
ルシファーが、時間を止める。
アスモデウスの動きが、止まる。
「今だ、みんな!」
全員で、攻撃する。
剣、魔法、すべて。
アスモデウスの体に、無数の傷がつく。
時間停止が、解ける。
アスモデウスが、倒れる。
「ぐ……ぐう……」
血を流している。
かなりのダメージ。
「やった……のか……?」
だが――
アスモデウスは、笑った。
「ハハハ……やるな……人間……」
アスモデウスの体が、炎に包まれる。
傷が、癒えていく。
「再生する……!」
「炎の力で、体を修復している……!」
完全に、回復する。
「だが、これで終わりではない」
アスモデウスの体が、変化し始める。
さらに巨大化する。
炎の翼が、大きくなる。
角が生える。
「これが……私の真の姿だ……」
その姿は、悪魔そのものだった。
アスモデウスが、咆哮する。
「ギャオオオオオ!」
その声だけで、地面が揺れる。
建物が、崩れる。
「まずい……本気を出された……!」
アスモデウスが、空に浮かぶ。
そして――
両手を上げる。
「【煉獄の炎】!」
空から、無数の炎の隕石が降ってくる。
「逃げろ!」
全員、散開する。
隕石が、地面に激突する。
ドガァン! ドガァン!
街が、破壊される。
「くそ……このままじゃ……!」
その時、ソレイユが現れた。
彼女も、戦っていたのだ。
「ケン!」
「ソレイユ陛下!」
「私の力を使え!」
ソレイユが、俺に剣を投げる。
陽光剣。
「これを……!」
「ああ。お前なら、使える」
俺は、陽光剣を受け取る。
剣が、光る。
太陽の力を感じる。
「みんな、力を貸してくれ!」
俺は、叫ぶ。
「アスモデウスを倒すために!」
「ああ!」
全員が、俺に魔力を送る。
魂の共鳴。
全員の力が、剣に集まる。
剣が、眩しく光る。
太陽のように。
「これで……決める!」
俺は、空に向かって剣を掲げる。
「【魂の共鳴・太陽剣】!」
巨大な光の剣が、アスモデウスに向かう。
アスモデウスも、最大の炎を放つ。
「【絶対灼熱】!」
光と炎が、ぶつかり合う。
ドガァァァァァァン!
凄まじい衝撃。
街全体が、揺れる。
光と炎が、押し合う。
どちらが勝つか――
だが、徐々に光が勝ち始める。
太陽の力が、炎を押し返す。
「くそ……!」
アスモデウスが、必死に抵抗する。
だが――
光が、完全に炎を飲み込む。
「ギャアアアアア!」
アスモデウスが、悲鳴を上げる。
光に包まれる。
そして――
爆発。
ドガァァァァァン!
爆発の後。
煙が晴れると――
アスモデウスが、倒れていた。
もう、動かない。
体が、灰になって消えていく。
「やった……」
俺は、膝をつく。
疲れた。
魔力も、体力も、限界だ。
「ケン!」
リーゼが、駆け寄る。
「大丈夫!」
「ああ……何とか……」
全員、倒れ込む。
だが、勝った。
炎の魔王を、倒した。
だが、その時。
アスモデウスの灰の中から――
小さな赤い石が現れた。
「あれは……」
ルシファーが、驚く。
「魔王の核……」
「核……?」
「ああ。魔王の力の源だ」
ルシファーが、石を拾う。
「これを持っていれば……」
「魔王の力を、少し使える」
「本当か……」
「ああ。大切に保管しろ」
ルシファーが、石を俺に渡す。
赤く、熱い石。
確かに、力を感じる。
戦いの後、街の復興が始まった。
建物を修理し、怪我人を治療する。
ソレイユが、指揮を取る。
「みんな、頑張ろう!」
「必ず、街を元に戻す!」
村人たちも、協力する。
俺たちも、手伝う。
瓦礫を片付け、建物を建て直す。
一週間後――
街は、ある程度復旧した。
「ありがとう、ケンたち」
ソレイユが、感謝する。
「お前たちがいなければ、街は全滅していた」
「いえ、当然のことを」
「だが、まだ終わりではない」
ソレイユの目が、険しい。
「あと五人の魔王がいる」
「ああ……」
「準備を怠るな」
「わかってます」
その夜、宿で休んでいると――
通信の鏡が光った。
メルキオールだ。
「ケン殿」
「メルキオール殿」
「アスモデウスを倒したそうだな」
「ええ、何とか」
「よくやった」
メルキオールが、微笑む。
「だが、次はもっと強い」
「次……?」
「ああ。氷の魔王、レヴィアタンだ」
メルキオールの表情が、暗くなる。
「彼女は、アスモデウスよりも狡猾だ」
「策略を使う」
「気をつけろ」
「わかりました」
通信が、切れる。
俺は、窓の外を見る。
星空。
平和そうに見える。
だが、いつ次の魔王が来るかわからない。
「ケン」
リーゼが、部屋に入ってくる。
「眠れないの?」
「ああ、少し」
「あたしも」
リーゼが、隣に座る。
「怖い?」
「……ああ」
俺は、正直に答える。
「次は、もっと強い敵が来る」
「勝てるかわからない」
「大丈夫」
リーゼが、俺の手を握る。
「あたしたちは、負けない」
「みんなで力を合わせれば、絶対に」
「……ありがとう」
翌朝、俺たちはベルガルド村に戻った。
一時的に。
休息のために。
だが、休んでいる暇はない。
次の戦いに備えて、さらに訓練する。
魔王の核を使って、新しい技を開発する。
「【炎の力・吸収】」
核の力を、自分の魔法に取り込む。
俺の発酵魔法に、炎の要素が加わる。
「【イースト・フレイム】!」
発酵の力と炎の力が、混ざり合う。
強力な魔法だ。
「いいな、ケン君」
ダミアンが、感心する。
「魔王の核を、うまく使ってる」
「まだ、完璧じゃないですけど」
一ヶ月後。
ある日、北の地方から連絡が来た。
「氷の魔王が……現れた……」
「村が……凍っている……」
「助けて……」
通信が、途切れる。
「行くぞ」
俺は、すぐに準備する。
「北へ」
全員が、頷く。
「ああ」
新たな戦いが、始まろうとしていた――
訓練の日々。
毎朝、夜明けとともに起きる。
剣を振る。
魔法を練習する。
体を鍛える。
俺たちは、以前より確実に強くなった。
「【イースト・エクスプロージョン】!」
俺の新しい魔法。
発酵の力を爆発的に解放する。
威力は、以前の三倍。
「すごいな、ケン君」
ダミアンが、感心する。
「前より、ずっと強くなった」
「まだまだです」
俺は、汗を拭く。
「魔王と戦うには、これでも足りない」
エミリアも、新しい魔法を習得していた。
「【聖域展開・極限光】!」
巨大な結界。
その中では、すべての闇が浄化される。
「すごいです、エミリア」
リーゼが、拍手する。
「これなら、魔族も倒せそう」
「頑張りました」
エミリアが、微笑む。
セラフィナとロイドは、新しいコンビネーション技を開発していた。
「【光と影の双龍】!」
光の龍と影の龍が、同時に放たれる。
二つの龍が、螺旋を描きながら進む。
訓練用の的に、命中する。
ドガァァン!
的が、粉々になる。
「完璧だ」
ロイドが、満足そうに言う。
「ああ。これなら、魔王にも通じるはず」
セラフィナも。
グスタフは、剣の極意を追求していた。
「【剛剣・天地断】!」
剣を振り下ろす。
その一撃で、地面が割れる。
深さ、三メートル。
「すごい威力……」
ミレーユが、驚く。
「これなら、どんな敵も斬れる」
「まあな」
グスタフが、笑う。
「だが、まだ完璧じゃない」
「もっと、精度を上げないと」
クラリスは、炎の魔法を極めていた。
「【業火大爆発】!」
巨大な火の玉。
空中で爆発する。
すさまじい熱量。
「熱い……!」
離れているのに、熱気が伝わってくる。
「クラリス、すごいな」
「えへへ」
クラリスが、照れる。
「炎の魔王と戦うなら、負けられないから」
ダミアンとミレーユは、新しい魔法陣を開発していた。
「【複合魔法陣・五大元素】」
炎、水、風、土、雷。
五つの元素を同時に操る魔法陣。
「成功だ」
ダミアンが、満足そうに頷く。
「これで、どんな敵にも対応できる」
「ええ。準備は万端ね」
ミレーユも。
ヴォイドは、新しい力を手に入れていた。
「【虚無と希望の融合】」
虚無の力と、希望の力を混ぜ合わせる。
黒と白のオーラが、体を包む。
「これが、私の新しい力だ」
ヴォイドの目が、輝く。
「もう、虚無だけではない」
「希望も、宿っている」
ルシファーも、時の魔法を極めていた。
「【時間加速】」
自分だけ、時間を速く動く。
周囲がスローモーションに見える。
「これで、どんな速い敵にも対応できる」
そして――
運命の日が来た。
ある朝。
空が、赤く染まった。
不自然な赤。
まるで、血のような。
「何だ……?」
村人たちが、空を見上げる。
「空が……赤い……」
不安が、広がる。
その時――
通信の鏡が光った。
ソレイユからだ。
「ケン!」
「ソレイユ陛下! どうしました!」
「サンライズシティが、襲われている!」
ソレイユの声が、切迫している。
「炎の魔王が……現れた……!」
「炎の魔王……アスモデウス!」
「ああ……街が……燃えている……!」
通信の向こうから、悲鳴が聞こえる。
「すぐに向かいます!」
「頼む……急いでくれ……!」
通信が、切れる。
俺たちは、すぐに準備をした。
武器を持ち、防具を着ける。
「全員、準備はいいか!」
「ああ!」
「行くぞ!」
村を出て、サンライズシティへ向かう。
だが、馬では時間がかかる。
その時、ルシファーが言った。
「私の魔法で、転移しよう」
「転移……できるのか!」
「ああ。時の魔法の応用だ」
ルシファーが、魔法陣を描く。
「【時空転移】!」
魔法陣が、光る。
俺たちの体が、光に包まれる。
そして――
次の瞬間。
サンライズシティにいた。
街は、地獄だった。
建物が、燃えている。
人々が、逃げ惑っている。
悲鳴と、炎の音。
「ひどい……」
エミリアが、呆然とする。
そして、街の中心に――
一人の男が立っていた。
赤い髪。
赤い瞳。
赤い鎧。
背中には、炎の翼。
「あれが……アスモデウス……」
アスモデウスは、笑っていた。
楽しそうに。
「ハハハ! 燃えろ! もっと燃えろ!」
手を上げると、炎の柱が上がる。
建物が、崩れる。
「許せない……!」
俺は、走り出す。
「待て、ケン!」
グスタフが、止める。
「計画通りに動け!」
「……わかった」
俺たちは、事前に立てた作戦通りに動く。
第一陣:ケン、グスタフ、ロイド(前衛)
第二陣:エミリア、クラリス、ミレーユ(魔法援護)
第三陣:セラフィナ、ダミアン、リーゼ(側面攻撃)
第四陣:ヴォイド、ルシファー(特殊攻撃)
「行くぞ!」
第一陣が、アスモデウスに向かう。
「ほう、来たか」
アスモデウスが、俺たちを見る。
「人間が、私に挑むとは」
「面白い」
アスモデウスが、炎を放つ。
「【灼熱の波】!」
炎の波が、襲ってくる。
「【イースト・シールド】!」
俺の盾が、防ぐ。
だが、熱い。
盾が、溶け始める。
「くっ……!」
「【聖域展開】!」
エミリアが、結界を張る。
炎が、結界に阻まれる。
「助かった……!」
グスタフとロイドが、アスモデウスに斬りかかる。
「【剛剣・天地断】!」
「【光剣・閃光】!」
二つの剣が、アスモデウスを襲う。
だが――
アスモデウスは、剣を素手で受け止める。
ガキィン!
「何!?」
「遅い」
アスモデウスが、二人を蹴り飛ばす。
ドガァ!
二人が、吹き飛ばされる。
「グスタフさん! ロイド!」
第二陣が、魔法攻撃。
「【業火大爆発】!」
クラリスの炎。
だが、アスモデウスには効かない。
「炎の魔王に、炎の魔法か?」
アスモデウスが、笑う。
「愚かな」
「【氷結大魔法】!」
ミレーユの氷魔法。
アスモデウスの足元が、凍る。
「ほう、氷か」
だが、アスモデウスは炎で氷を溶かす。
「だが、この程度では……」
「【聖なる光・極大】!」
エミリアの最強魔法。
巨大な光の柱が、アスモデウスを襲う。
「ぐっ……!」
アスモデウスが、初めて怯む。
「光の魔法……効くか……」
第三陣が、側面から攻撃。
「【シャドウ・アサシン】!」
セラフィナが、影から奇襲する。
アスモデウスの背中に、刃が刺さる。
「ぐあっ!」
血が、流れる。
「やった……!」
だが、アスモデウスは振り返る。
拳を振るう。
セラフィナが、避ける。
だが、拳から炎が放たれる。
「きゃあ!」
セラフィナが、炎に巻かれる。
「セラフィナ!」
リーゼとダミアンが、援護する。
「【ウォーターシールド】!」
ダミアンの水の盾が、炎を消す。
「ありがとう……」
セラフィナが、立ち上がる。
第四陣が、動く。
「【虚無と希望の刃】!」
ヴォイドの剣が、アスモデウスを斬る。
ズバァ!
胸に、深い傷。
「ぐあああ!」
アスモデウスが、叫ぶ。
「貴様……!」
「【時間停止】!」
ルシファーが、時間を止める。
アスモデウスの動きが、止まる。
「今だ、みんな!」
全員で、攻撃する。
剣、魔法、すべて。
アスモデウスの体に、無数の傷がつく。
時間停止が、解ける。
アスモデウスが、倒れる。
「ぐ……ぐう……」
血を流している。
かなりのダメージ。
「やった……のか……?」
だが――
アスモデウスは、笑った。
「ハハハ……やるな……人間……」
アスモデウスの体が、炎に包まれる。
傷が、癒えていく。
「再生する……!」
「炎の力で、体を修復している……!」
完全に、回復する。
「だが、これで終わりではない」
アスモデウスの体が、変化し始める。
さらに巨大化する。
炎の翼が、大きくなる。
角が生える。
「これが……私の真の姿だ……」
その姿は、悪魔そのものだった。
アスモデウスが、咆哮する。
「ギャオオオオオ!」
その声だけで、地面が揺れる。
建物が、崩れる。
「まずい……本気を出された……!」
アスモデウスが、空に浮かぶ。
そして――
両手を上げる。
「【煉獄の炎】!」
空から、無数の炎の隕石が降ってくる。
「逃げろ!」
全員、散開する。
隕石が、地面に激突する。
ドガァン! ドガァン!
街が、破壊される。
「くそ……このままじゃ……!」
その時、ソレイユが現れた。
彼女も、戦っていたのだ。
「ケン!」
「ソレイユ陛下!」
「私の力を使え!」
ソレイユが、俺に剣を投げる。
陽光剣。
「これを……!」
「ああ。お前なら、使える」
俺は、陽光剣を受け取る。
剣が、光る。
太陽の力を感じる。
「みんな、力を貸してくれ!」
俺は、叫ぶ。
「アスモデウスを倒すために!」
「ああ!」
全員が、俺に魔力を送る。
魂の共鳴。
全員の力が、剣に集まる。
剣が、眩しく光る。
太陽のように。
「これで……決める!」
俺は、空に向かって剣を掲げる。
「【魂の共鳴・太陽剣】!」
巨大な光の剣が、アスモデウスに向かう。
アスモデウスも、最大の炎を放つ。
「【絶対灼熱】!」
光と炎が、ぶつかり合う。
ドガァァァァァァン!
凄まじい衝撃。
街全体が、揺れる。
光と炎が、押し合う。
どちらが勝つか――
だが、徐々に光が勝ち始める。
太陽の力が、炎を押し返す。
「くそ……!」
アスモデウスが、必死に抵抗する。
だが――
光が、完全に炎を飲み込む。
「ギャアアアアア!」
アスモデウスが、悲鳴を上げる。
光に包まれる。
そして――
爆発。
ドガァァァァァン!
爆発の後。
煙が晴れると――
アスモデウスが、倒れていた。
もう、動かない。
体が、灰になって消えていく。
「やった……」
俺は、膝をつく。
疲れた。
魔力も、体力も、限界だ。
「ケン!」
リーゼが、駆け寄る。
「大丈夫!」
「ああ……何とか……」
全員、倒れ込む。
だが、勝った。
炎の魔王を、倒した。
だが、その時。
アスモデウスの灰の中から――
小さな赤い石が現れた。
「あれは……」
ルシファーが、驚く。
「魔王の核……」
「核……?」
「ああ。魔王の力の源だ」
ルシファーが、石を拾う。
「これを持っていれば……」
「魔王の力を、少し使える」
「本当か……」
「ああ。大切に保管しろ」
ルシファーが、石を俺に渡す。
赤く、熱い石。
確かに、力を感じる。
戦いの後、街の復興が始まった。
建物を修理し、怪我人を治療する。
ソレイユが、指揮を取る。
「みんな、頑張ろう!」
「必ず、街を元に戻す!」
村人たちも、協力する。
俺たちも、手伝う。
瓦礫を片付け、建物を建て直す。
一週間後――
街は、ある程度復旧した。
「ありがとう、ケンたち」
ソレイユが、感謝する。
「お前たちがいなければ、街は全滅していた」
「いえ、当然のことを」
「だが、まだ終わりではない」
ソレイユの目が、険しい。
「あと五人の魔王がいる」
「ああ……」
「準備を怠るな」
「わかってます」
その夜、宿で休んでいると――
通信の鏡が光った。
メルキオールだ。
「ケン殿」
「メルキオール殿」
「アスモデウスを倒したそうだな」
「ええ、何とか」
「よくやった」
メルキオールが、微笑む。
「だが、次はもっと強い」
「次……?」
「ああ。氷の魔王、レヴィアタンだ」
メルキオールの表情が、暗くなる。
「彼女は、アスモデウスよりも狡猾だ」
「策略を使う」
「気をつけろ」
「わかりました」
通信が、切れる。
俺は、窓の外を見る。
星空。
平和そうに見える。
だが、いつ次の魔王が来るかわからない。
「ケン」
リーゼが、部屋に入ってくる。
「眠れないの?」
「ああ、少し」
「あたしも」
リーゼが、隣に座る。
「怖い?」
「……ああ」
俺は、正直に答える。
「次は、もっと強い敵が来る」
「勝てるかわからない」
「大丈夫」
リーゼが、俺の手を握る。
「あたしたちは、負けない」
「みんなで力を合わせれば、絶対に」
「……ありがとう」
翌朝、俺たちはベルガルド村に戻った。
一時的に。
休息のために。
だが、休んでいる暇はない。
次の戦いに備えて、さらに訓練する。
魔王の核を使って、新しい技を開発する。
「【炎の力・吸収】」
核の力を、自分の魔法に取り込む。
俺の発酵魔法に、炎の要素が加わる。
「【イースト・フレイム】!」
発酵の力と炎の力が、混ざり合う。
強力な魔法だ。
「いいな、ケン君」
ダミアンが、感心する。
「魔王の核を、うまく使ってる」
「まだ、完璧じゃないですけど」
一ヶ月後。
ある日、北の地方から連絡が来た。
「氷の魔王が……現れた……」
「村が……凍っている……」
「助けて……」
通信が、途切れる。
「行くぞ」
俺は、すぐに準備する。
「北へ」
全員が、頷く。
「ああ」
新たな戦いが、始まろうとしていた――
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