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第3章「辺境からの革命」
第34話「完全なる平等へ」
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王都に戻って一週間。
反乱鎮圧の報告会が、開かれた。
「エリシア、見事だった」
国王陛下が、満足そうに頷いた。
「無血で、反乱を終わらせた」
「これ以上の結果は、ない」
「ありがとうございます」
私は、深く頭を下げた。
「でも、まだ終わっていません」
「そうだな」
国王が、鋭い目で私を見た。
「最後の段階が、残っている」
「はい」
私は、書類を取り出した。
「完全な法的平等の確立」
「これが――」
「改革の、最終目標です」
場内が、静まった。
「具体的には?」
カイル王子が訊いた。
「新憲法の制定です」
私は、草案を配布した。
「この憲法で――」
「貴族と平民の法的な区別を、完全に撤廃します」
貴族たちが、草案を読み始めた。
「第一条:全ての人間は、生まれながらにして自由かつ平等である」
「第二条:何人も、出身、身分、財産により差別されない」
「第三条:全ての国民は、法の下に平等である」
「第四条:全ての国民は、教育を受ける権利を有する」
「第五条:全ての国民は、職業選択の自由を有する」
「第六条:全ての国民は、政治に参加する権利を有する」
次々と、読み上げられていく。
「これは……」
一人の貴族が、呟いた。
「革命だ」
「いいえ」
私は、首を横に振った。
「これは、進化です」
「この国が、より良くなるための――」
「自然な進化です」
「だが」
別の貴族が言った。
「貴族の特権は、どうなる?」
「貴族の称号は、残ります」
私は、説明した。
「ただし――」
「それは、名誉の象徴です」
「権力の象徴では、ありません」
「つまり……」
「貴族は、尊敬される存在であり続けます」
「でも、法的な特権は持ちません」
「全ての国民と、平等です」
長い沈黙。
「陛下」
リンデン公が、立ち上がった。
「私は、この憲法を支持します」
「リンデン公……」
「我々貴族は、長年特権を持ってきました」
老公爵の声が、重い。
「でも――」
「それが正しかったのか?」
「今、問い直す時です」
「真の貴族とは――」
リンデン公の目が、輝いた。
「特権を持つ者ではありません」
「責任を果たす者です」
「人々を導く者です」
「そして――」
「それは、法的な地位とは関係ありません」
その言葉に、場内がざわめいた。
「私も、賛成する」
マルケス伯が、手を上げた。
「私も」
「私も」
次々と、手が上がっていく。
「では――」
国王が、立ち上がった。
「採決を取る」
「この憲法案に、賛成の者は?」
ゆっくりと、手が上がっていく。
一つ、二つ、三つ――。
最終的に――。
「賛成、九十名」
カイル王子が、集計した。
「反対、十名」
「圧倒的多数で――」
「可決!」
拍手が、響いた。
大きな、大きな拍手。
「エリシア」
国王が、私を見た。
「お前の改革は――」
「ついに、完成する」
涙が、溢れた。
「ありがとうございます……」
二年間。
長い、長い戦いだった。
反対、抵抗、妨害――。
様々な困難があった。
でも――。
「ついに……」
私は、涙を拭った。
「完成します」
一ヶ月後。
憲法公布の日。
王都の中央広場には、数万人の民衆が集まっていた。
「すごい人だ……」
ミラが、驚いていた。
「王国中から、集まってきたんだね」
壇上には――。
国王陛下、カイル王子、貴族たち、そして私。
「静粛に」
国王の声が、魔法で増幅されて広場全体に響いた。
「本日、歴史的な日を迎える」
「新憲法を、公布する」
国王が、憲法の書かれた巻物を広げた。
「『ルネサンス王国憲法』」
「第一条――」
国王の声が、読み上げていく。
「全ての人間は、生まれながらにして自由かつ平等である」
民衆が、息を呑んだ。
「第二条――」
「何人も、出身、身分、財産により差別されない」
ざわめきが、広がる。
「第三条――」
「全ての国民は、法の下に平等である」
一人の老人が、涙を流していた。
「本当に……平等に……」
「第四条――」
「全ての国民は、教育を受ける権利を有する」
母親たちが、子供を抱きしめた。
「聞いた? 教育を受ける権利だって」
「あなたも、学校に行けるのよ」
「第五条――」
「全ての国民は、職業選択の自由を有する」
若者たちの目が、輝いた。
「俺、職人になれる」
「私、教師になれる」
「第六条――」
「全ての国民は、政治に参加する権利を有する」
民衆が、拳を握りしめた。
「俺たちの声が、届く……」
最後の条文まで、読み上げられた。
「以上、本日をもって――」
国王が、宣言した。
「この憲法を、公布する!」
「「「おおおおお!!」」」
大歓声。
人々が、抱き合い、泣き、笑い、喜んでいた。
「やった!」
「本当に、平等になった!」
「信じられない……」
その光景を見て、私も涙が止まらなかった。
「エリシア」
ルシアンが、私の肩を抱いた。
「お前の夢が、叶ったな」
「はい……」
私は、彼を見上げた。
「でも、これは始まりです」
「始まり?」
「はい。憲法ができても――」
「それを実現するのは、これからです」
「そうか」
ルシアンが、微笑んだ。
「なら、まだ仕事があるな」
「ええ」
私も、微笑んだ。
「一生、続く仕事です」
「では――」
ルシアンが、私の手を握った。
「一生、一緒に頑張ろう」
「はい」
二人で、民衆を見た。
希望に満ちた顔。
未来を信じる目。
「皆さん!」
私は、壇上から呼びかけた。
民衆が、静まる。
「今日、この憲法が公布されました」
「でも――」
私は、力を込めて言った。
「これは、私が作ったものではありません」
「皆さんが、作ったものです」
「え……?」
「皆さんの努力、皆さんの声、皆さんの願い――」
「それが、この憲法を作ったんです」
「だから――」
私は、深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
「「「エリシア様……」」」
民衆が、涙を流していた。
「これからも――」
私は、顔を上げた。
「一緒に、この国を作りましょう」
「より良い国を」
「より幸せな国を」
「「「はい!」」」
力強い返事。
拍手が、再び響いた。
式典が終わり、城に戻った。
控室で、私は一人になった。
「終わった……」
椅子に座り込む。
二年間の、長い戦い。
全てが、終わった。
ノックの音。
「入って」
扉が開くと――。
ミラ、オスカー、レオン、ラウラ。
仲間たちが、入ってきた。
「エリシア」
ミラが、涙目で言った。
「本当に、お疲れ様」
「ありがとう」
「いや、俺たちが言うべきだ」
オスカーが、笑った。
「ありがとう、エリシア様」
「夢を、見せてくれて」
「実現させてくれて」
レオンも、頭を下げた。
「私、エリシア様と働けて――」
ラウラが、涙を流した。
「本当に、幸せでした」
「みんな……」
私も、涙が溢れた。
「私こそ、ありがとう」
「みんながいなければ――」
「ここまで、来れなかった」
五人で、抱き合った。
温かい抱擁。
仲間たちとの、絆。
「これからも、よろしくね」
「もちろん!」
その夜、寝室で。
「疲れたか?」
ルシアンが、髪を梳いてくれた。
「ええ。でも――」
私は、鏡の中の自分を見た。
「心地よい疲れです」
「そうか」
ルシアンの手が、優しい。
「エリシア」
「はい?」
「愛している」
突然の言葉に、驚いた。
「急に、どうしたんですか?」
「今日、お前を見ていて思った」
ルシアンが、私を抱きしめた。
「お前は、本当にすごい」
「何万人もの人生を、変えた」
「この国の未来を、変えた」
「そんなお前と、結婚できて――」
「私は、幸せだ」
その言葉が、嬉しかった。
「私も、です」
私は、振り返った。
「あなたと結婚できて、幸せです」
「ずっと、支えてくれて」
「信じてくれて」
「愛してくれて」
「ありがとう」
ルシアンが、私の唇にキスをした。
深く、優しいキス。
「これから、どうする?」
彼が、訊いた。
「これから……?」
「ああ。改革は完成した」
「次は、何をする?」
「そうですね……」
私は、考えた。
「まず、憲法の実施を確実にします」
「全国に、浸透させます」
「それから――」
私は、微笑んだ。
「教育をさらに充実させます」
「経済をさらに発展させます」
「外交も、強化します」
「やることは――」
「山ほどあります」
「そうか」
ルシアンが、笑った。
「お前は、本当に休まないな」
「でも――」
私は、彼を見上げた。
「たまには、休みます」
「あなたと、一緒に」
「約束だぞ」
「約束です」
二人で、抱き合った。
窓の外、満月が輝いていた。
美しい月。
「ルシアン」
「何だ」
「幸せです」
「私も」
「ずっと、一緒にいてください」
「当たり前だ」
ルシアンが、私を強く抱きしめた。
「一生、離さない」
温かい抱擁。
幸せな時間。
長い戦いは、終わった。
でも、新しい時代が――。
始まったばかり。
「明日から、また頑張りましょう」
「ああ」
深い眠りに、落ちていった。
幸せな眠り。
安らかな眠り。
夢の中では――。
未来の王国が、見えた。
子供たちが、自由に学んでいる。
若者たちが、夢を追っている。
大人たちが、誇りを持って働いている。
老人たちが、安心して暮らしている。
全ての人が――。
笑顔だった。
「これが、私の夢」
夢の中で、呟いた。
「これを、守り続ける」
「育て続ける」
「一生」
星が、輝いていた。
無数の星が。
それは、まるで――。
この国の人々のようだった。
一人一人が、輝いている。
誰もが、可能性を持っている。
そして――。
その可能性が、花開く社会。
それが――。
私の作りたかった、社会。
「ありがとう、みんな」
夢の中で、微笑んだ。
長い夜が、静かに更けていった。
でも、エリシアの心には――。
消えない炎が、燃えていた。
希望の炎。
愛の炎。
そして――。
新しい時代への、炎。
それは、永遠に燃え続ける。
この国の未来を、照らし続ける。
翌朝。
「エリシア様、朝食の準備ができました」
メイドの声で、目が覚めた。
「はい、すぐ行きます」
窓を開けると――。
爽やかな朝の空気。
青い空。
鳥のさえずり。
「良い朝だ」
ルシアンも、起きてきた。
「ええ」
私は、微笑んだ。
「新しい時代の、最初の朝です」
二人で、食堂に向かった。
そこには――。
仲間たちが、集まっていた。
「おはよう、エリシア」
「おはようございます」
「今日は、何をする?」
「まず、各地の状況を確認します」
「憲法の反応を、調べます」
「そして――」
私は、みんなを見渡した。
「次の計画を、立てます」
「了解!」
朝食を食べながら、談笑する。
笑い声が、響く。
「これからも――」
私は、心の中で思った。
「みんなと一緒に、頑張ろう」
窓の外、朝日が昇っていた。
新しい一日。
新しい時代。
そして――。
新しい希望。
全てが、始まったばかり。
長い道のりは、まだ続く。
でも――。
「大丈夫」
私は、微笑んだ。
「仲間がいる」
「愛する人がいる」
「そして――」
「夢がある」
だから、進める。
どこまでも、進める。
未来へ。
希望へ。
そして――。
幸せへ。
反乱鎮圧の報告会が、開かれた。
「エリシア、見事だった」
国王陛下が、満足そうに頷いた。
「無血で、反乱を終わらせた」
「これ以上の結果は、ない」
「ありがとうございます」
私は、深く頭を下げた。
「でも、まだ終わっていません」
「そうだな」
国王が、鋭い目で私を見た。
「最後の段階が、残っている」
「はい」
私は、書類を取り出した。
「完全な法的平等の確立」
「これが――」
「改革の、最終目標です」
場内が、静まった。
「具体的には?」
カイル王子が訊いた。
「新憲法の制定です」
私は、草案を配布した。
「この憲法で――」
「貴族と平民の法的な区別を、完全に撤廃します」
貴族たちが、草案を読み始めた。
「第一条:全ての人間は、生まれながらにして自由かつ平等である」
「第二条:何人も、出身、身分、財産により差別されない」
「第三条:全ての国民は、法の下に平等である」
「第四条:全ての国民は、教育を受ける権利を有する」
「第五条:全ての国民は、職業選択の自由を有する」
「第六条:全ての国民は、政治に参加する権利を有する」
次々と、読み上げられていく。
「これは……」
一人の貴族が、呟いた。
「革命だ」
「いいえ」
私は、首を横に振った。
「これは、進化です」
「この国が、より良くなるための――」
「自然な進化です」
「だが」
別の貴族が言った。
「貴族の特権は、どうなる?」
「貴族の称号は、残ります」
私は、説明した。
「ただし――」
「それは、名誉の象徴です」
「権力の象徴では、ありません」
「つまり……」
「貴族は、尊敬される存在であり続けます」
「でも、法的な特権は持ちません」
「全ての国民と、平等です」
長い沈黙。
「陛下」
リンデン公が、立ち上がった。
「私は、この憲法を支持します」
「リンデン公……」
「我々貴族は、長年特権を持ってきました」
老公爵の声が、重い。
「でも――」
「それが正しかったのか?」
「今、問い直す時です」
「真の貴族とは――」
リンデン公の目が、輝いた。
「特権を持つ者ではありません」
「責任を果たす者です」
「人々を導く者です」
「そして――」
「それは、法的な地位とは関係ありません」
その言葉に、場内がざわめいた。
「私も、賛成する」
マルケス伯が、手を上げた。
「私も」
「私も」
次々と、手が上がっていく。
「では――」
国王が、立ち上がった。
「採決を取る」
「この憲法案に、賛成の者は?」
ゆっくりと、手が上がっていく。
一つ、二つ、三つ――。
最終的に――。
「賛成、九十名」
カイル王子が、集計した。
「反対、十名」
「圧倒的多数で――」
「可決!」
拍手が、響いた。
大きな、大きな拍手。
「エリシア」
国王が、私を見た。
「お前の改革は――」
「ついに、完成する」
涙が、溢れた。
「ありがとうございます……」
二年間。
長い、長い戦いだった。
反対、抵抗、妨害――。
様々な困難があった。
でも――。
「ついに……」
私は、涙を拭った。
「完成します」
一ヶ月後。
憲法公布の日。
王都の中央広場には、数万人の民衆が集まっていた。
「すごい人だ……」
ミラが、驚いていた。
「王国中から、集まってきたんだね」
壇上には――。
国王陛下、カイル王子、貴族たち、そして私。
「静粛に」
国王の声が、魔法で増幅されて広場全体に響いた。
「本日、歴史的な日を迎える」
「新憲法を、公布する」
国王が、憲法の書かれた巻物を広げた。
「『ルネサンス王国憲法』」
「第一条――」
国王の声が、読み上げていく。
「全ての人間は、生まれながらにして自由かつ平等である」
民衆が、息を呑んだ。
「第二条――」
「何人も、出身、身分、財産により差別されない」
ざわめきが、広がる。
「第三条――」
「全ての国民は、法の下に平等である」
一人の老人が、涙を流していた。
「本当に……平等に……」
「第四条――」
「全ての国民は、教育を受ける権利を有する」
母親たちが、子供を抱きしめた。
「聞いた? 教育を受ける権利だって」
「あなたも、学校に行けるのよ」
「第五条――」
「全ての国民は、職業選択の自由を有する」
若者たちの目が、輝いた。
「俺、職人になれる」
「私、教師になれる」
「第六条――」
「全ての国民は、政治に参加する権利を有する」
民衆が、拳を握りしめた。
「俺たちの声が、届く……」
最後の条文まで、読み上げられた。
「以上、本日をもって――」
国王が、宣言した。
「この憲法を、公布する!」
「「「おおおおお!!」」」
大歓声。
人々が、抱き合い、泣き、笑い、喜んでいた。
「やった!」
「本当に、平等になった!」
「信じられない……」
その光景を見て、私も涙が止まらなかった。
「エリシア」
ルシアンが、私の肩を抱いた。
「お前の夢が、叶ったな」
「はい……」
私は、彼を見上げた。
「でも、これは始まりです」
「始まり?」
「はい。憲法ができても――」
「それを実現するのは、これからです」
「そうか」
ルシアンが、微笑んだ。
「なら、まだ仕事があるな」
「ええ」
私も、微笑んだ。
「一生、続く仕事です」
「では――」
ルシアンが、私の手を握った。
「一生、一緒に頑張ろう」
「はい」
二人で、民衆を見た。
希望に満ちた顔。
未来を信じる目。
「皆さん!」
私は、壇上から呼びかけた。
民衆が、静まる。
「今日、この憲法が公布されました」
「でも――」
私は、力を込めて言った。
「これは、私が作ったものではありません」
「皆さんが、作ったものです」
「え……?」
「皆さんの努力、皆さんの声、皆さんの願い――」
「それが、この憲法を作ったんです」
「だから――」
私は、深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
「「「エリシア様……」」」
民衆が、涙を流していた。
「これからも――」
私は、顔を上げた。
「一緒に、この国を作りましょう」
「より良い国を」
「より幸せな国を」
「「「はい!」」」
力強い返事。
拍手が、再び響いた。
式典が終わり、城に戻った。
控室で、私は一人になった。
「終わった……」
椅子に座り込む。
二年間の、長い戦い。
全てが、終わった。
ノックの音。
「入って」
扉が開くと――。
ミラ、オスカー、レオン、ラウラ。
仲間たちが、入ってきた。
「エリシア」
ミラが、涙目で言った。
「本当に、お疲れ様」
「ありがとう」
「いや、俺たちが言うべきだ」
オスカーが、笑った。
「ありがとう、エリシア様」
「夢を、見せてくれて」
「実現させてくれて」
レオンも、頭を下げた。
「私、エリシア様と働けて――」
ラウラが、涙を流した。
「本当に、幸せでした」
「みんな……」
私も、涙が溢れた。
「私こそ、ありがとう」
「みんながいなければ――」
「ここまで、来れなかった」
五人で、抱き合った。
温かい抱擁。
仲間たちとの、絆。
「これからも、よろしくね」
「もちろん!」
その夜、寝室で。
「疲れたか?」
ルシアンが、髪を梳いてくれた。
「ええ。でも――」
私は、鏡の中の自分を見た。
「心地よい疲れです」
「そうか」
ルシアンの手が、優しい。
「エリシア」
「はい?」
「愛している」
突然の言葉に、驚いた。
「急に、どうしたんですか?」
「今日、お前を見ていて思った」
ルシアンが、私を抱きしめた。
「お前は、本当にすごい」
「何万人もの人生を、変えた」
「この国の未来を、変えた」
「そんなお前と、結婚できて――」
「私は、幸せだ」
その言葉が、嬉しかった。
「私も、です」
私は、振り返った。
「あなたと結婚できて、幸せです」
「ずっと、支えてくれて」
「信じてくれて」
「愛してくれて」
「ありがとう」
ルシアンが、私の唇にキスをした。
深く、優しいキス。
「これから、どうする?」
彼が、訊いた。
「これから……?」
「ああ。改革は完成した」
「次は、何をする?」
「そうですね……」
私は、考えた。
「まず、憲法の実施を確実にします」
「全国に、浸透させます」
「それから――」
私は、微笑んだ。
「教育をさらに充実させます」
「経済をさらに発展させます」
「外交も、強化します」
「やることは――」
「山ほどあります」
「そうか」
ルシアンが、笑った。
「お前は、本当に休まないな」
「でも――」
私は、彼を見上げた。
「たまには、休みます」
「あなたと、一緒に」
「約束だぞ」
「約束です」
二人で、抱き合った。
窓の外、満月が輝いていた。
美しい月。
「ルシアン」
「何だ」
「幸せです」
「私も」
「ずっと、一緒にいてください」
「当たり前だ」
ルシアンが、私を強く抱きしめた。
「一生、離さない」
温かい抱擁。
幸せな時間。
長い戦いは、終わった。
でも、新しい時代が――。
始まったばかり。
「明日から、また頑張りましょう」
「ああ」
深い眠りに、落ちていった。
幸せな眠り。
安らかな眠り。
夢の中では――。
未来の王国が、見えた。
子供たちが、自由に学んでいる。
若者たちが、夢を追っている。
大人たちが、誇りを持って働いている。
老人たちが、安心して暮らしている。
全ての人が――。
笑顔だった。
「これが、私の夢」
夢の中で、呟いた。
「これを、守り続ける」
「育て続ける」
「一生」
星が、輝いていた。
無数の星が。
それは、まるで――。
この国の人々のようだった。
一人一人が、輝いている。
誰もが、可能性を持っている。
そして――。
その可能性が、花開く社会。
それが――。
私の作りたかった、社会。
「ありがとう、みんな」
夢の中で、微笑んだ。
長い夜が、静かに更けていった。
でも、エリシアの心には――。
消えない炎が、燃えていた。
希望の炎。
愛の炎。
そして――。
新しい時代への、炎。
それは、永遠に燃え続ける。
この国の未来を、照らし続ける。
翌朝。
「エリシア様、朝食の準備ができました」
メイドの声で、目が覚めた。
「はい、すぐ行きます」
窓を開けると――。
爽やかな朝の空気。
青い空。
鳥のさえずり。
「良い朝だ」
ルシアンも、起きてきた。
「ええ」
私は、微笑んだ。
「新しい時代の、最初の朝です」
二人で、食堂に向かった。
そこには――。
仲間たちが、集まっていた。
「おはよう、エリシア」
「おはようございます」
「今日は、何をする?」
「まず、各地の状況を確認します」
「憲法の反応を、調べます」
「そして――」
私は、みんなを見渡した。
「次の計画を、立てます」
「了解!」
朝食を食べながら、談笑する。
笑い声が、響く。
「これからも――」
私は、心の中で思った。
「みんなと一緒に、頑張ろう」
窓の外、朝日が昇っていた。
新しい一日。
新しい時代。
そして――。
新しい希望。
全てが、始まったばかり。
長い道のりは、まだ続く。
でも――。
「大丈夫」
私は、微笑んだ。
「仲間がいる」
「愛する人がいる」
「そして――」
「夢がある」
だから、進める。
どこまでも、進める。
未来へ。
希望へ。
そして――。
幸せへ。
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婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
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そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
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(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
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【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
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会社をクビになった私、花魔法Lv.MAXの聖女になりました。旅先で出会うイケメンたちが過保護すぎて困ります
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