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第15章「証の奪還」
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朝、セリーヌは緊急の呼び出しを受けた。
評議会が招集された。
急なことだった。
セリーヌは嫌な予感がした。
ロベルトが気づいたのだ。
契約書がなくなったことに。
急いで身支度を整え、評議会堂へ向かった。
その前に、レオンを呼んだ。
「レオン、これを」
証拠の束を渡した。
「グレン侯爵夫人の屋敷に届けてください。今すぐ」
「わかりました」
レオンは証拠を受け取り、走り去った。
セリーヌは深呼吸した。
証拠は手元にない。
もし捜索されても、見つからない。
評議会堂に入ると、全員がすでに集まっていた。
父王、ロベルト、バルド、そして評議員たち。
全員の顔が険しい。
「セリーヌ、座りなさい」
父王が言った。
セリーヌは席についた。
ロベルトがこちらを見ている。
その目は、冷たく、疑念に満ちている。
バルドが立ち上がった。
「本日、緊急の議題があります」
バルドは全員を見回した。
「昨夜、王宮内で侵入事件がありました」
ざわめきが起こる。
「ロベルト殿下の私室に、何者かが侵入しました。重要な書類が盗まれました」
セリーヌは表情を変えなかった。
「盗まれた書類とは」
グレン侯爵が聞いた。
「個人的な契約書です」
ロベルトが答えた。
「詳細は申し上げられませんが、非常に重要なものです」
「犯人の手がかりは」
「現在、調査中です」
バルドが言った。
「ただし、侵入者は王宮内の構造に詳しい者と思われます」
その視線が、セリーヌに向けられた。
「つまり、王宮に住む者の中に犯人がいる、ということですか」
マルコが不安そうに言った。
「その可能性があります」
バルドは記録簿を開いた。
「そこで、全員の部屋を捜索させていただきたい」
セリーヌの心臓が跳ねた。
「捜索、ですか」
父王が眉をひそめた。
「それは行き過ぎではないか。プライバシーの侵害だ」
「しかし、陛下」
ロベルトが言った。
「盗まれた書類は、国の安全に関わるものです。取り戻さなければなりません」
「国の安全に関わる書類が、なぜあなたの私室に」
グレン侯爵が鋭く聞いた。
ロベルトは一瞬だけ言葉に詰まった。
「それは、個人的に保管していたのです」
「個人的に、ですか」
「はい」
怪しい。
グレン侯爵もそう思っているようだった。
だが、父王は頷いた。
「わかった。捜索を許可する。ただし、礼儀を持って行うこと」
「ありがとうございます、陛下」
バルドが頭を下げた。
「では、まずセリーヌ殿下の部屋から」
セリーヌを最初に疑っている。
だが、構わない。
証拠はもうない。
「どうぞ」
セリーヌは立ち上がった。
「私の部屋を調べてください。何も隠していません」
バルドと警備兵が、セリーヌの部屋へ向かった。
セリーヌも同行した。
部屋の扉を開ける。
バルドは隅々まで調べた。
机の引き出し。本棚。ベッドの下。衣装箱。
全てを開け、確認する。
だが、何も見つからない。
バルドは苛立った様子を見せた。
「他の部屋も調べます」
マリーの部屋。レオンの部屋。他の使用人の部屋。
全てを調べたが、何も見つからなかった。
バルドは諦めて、評議会堂に戻った。
「何も見つかりませんでした」
ロベルトは不満そうな顔をした。
「では、犯人は外部の者か」
「可能性があります」
「バルド、引き続き調査を」
「承知しました」
評議会は解散した。
セリーヌは自室に戻った。
扉を閉め、ベッドに座った。
危なかった。
もし証拠を部屋に置いたままだったら、見つかっていた。
レオンの判断が正しかった。
扉がノックされた。
「お嬢様、レオン様です」
マリーの声。
「入って」
レオンが入ってきた。
「殿下、グレン侯爵夫人に届けました」
「ありがとう」
「夫人は安全な場所に保管すると言っていました」
「よかった」
セリーヌは安堵した。
証拠は守られた。
「ですが、殿下」
レオンが心配そうに言った。
「ロベルト殿下は殿下を疑っています」
「わかっています」
「これから、監視が厳しくなるでしょう」
「構いません」
セリーヌは窓の外を見た。
「証拠は手に入れました。次は、それを使う準備をします」
「いつ」
「まだです」
セリーヌは慎重に考えた。
「タイミングが重要です。早すぎれば、ロベルトに対策されます。遅すぎれば、父が危険にさらされます」
「では、いつが適切ですか」
「秋です」
セリーヌは決意を固めた。
「父の誕生日の式典。多くの貴族と民衆が集まります。その時、全てを暴露します」
「公開の場で」
「ええ。証拠を提示し、ロベルトの罪を告発します。逃げ場をなくします」
レオンは頷いた。
「わかりました。その時まで、準備を整えます」
「お願いします」
レオンは去った。
セリーヌは一人、計画を練った。
秋まで、あと二ヶ月。
その間に、味方を増やす。
証拠を精査する。
告発の準備をする。
そして、父を守る。
ザインの脅威もある。
契約書は奪ったが、ザインが諦めるとは思えない。
新たな攻撃があるかもしれない。
備えなければならない。
セリーヌは羽根ペンを取り、計画を書き始めた。
秋の式典までのスケジュール。
必要な行動。
協力者との連絡。
全てを整理する。
窓の外、太陽が高く昇っていた。
夏は続いている。
だが、秋は近い。
決戦の秋。
セリーヌは、その時を待つ。
準備を整え、機会を掴む。
そして、全てを終わらせる。
ロベルトの陰謀を暴き、父を守り、国を救う。
それが、セリーヌの使命だった。
母の髪飾りが光っている。
希望を捨てないで。
捨てていない。
今、セリーヌには明確な道がある。
証拠がある。味方がある。計画がある。
勝利への道。
それを、一歩ずつ歩む。
セリーヌは計画書を引き出しにしまい、立ち上がった。
やるべきことは、まだたくさんある。
休んでいる暇はない。
戦いは、続く。
だが、終わりは見えている。
秋の式典。
その日、全てが決まる。
セリーヌは、その日のために生きる。
評議会が招集された。
急なことだった。
セリーヌは嫌な予感がした。
ロベルトが気づいたのだ。
契約書がなくなったことに。
急いで身支度を整え、評議会堂へ向かった。
その前に、レオンを呼んだ。
「レオン、これを」
証拠の束を渡した。
「グレン侯爵夫人の屋敷に届けてください。今すぐ」
「わかりました」
レオンは証拠を受け取り、走り去った。
セリーヌは深呼吸した。
証拠は手元にない。
もし捜索されても、見つからない。
評議会堂に入ると、全員がすでに集まっていた。
父王、ロベルト、バルド、そして評議員たち。
全員の顔が険しい。
「セリーヌ、座りなさい」
父王が言った。
セリーヌは席についた。
ロベルトがこちらを見ている。
その目は、冷たく、疑念に満ちている。
バルドが立ち上がった。
「本日、緊急の議題があります」
バルドは全員を見回した。
「昨夜、王宮内で侵入事件がありました」
ざわめきが起こる。
「ロベルト殿下の私室に、何者かが侵入しました。重要な書類が盗まれました」
セリーヌは表情を変えなかった。
「盗まれた書類とは」
グレン侯爵が聞いた。
「個人的な契約書です」
ロベルトが答えた。
「詳細は申し上げられませんが、非常に重要なものです」
「犯人の手がかりは」
「現在、調査中です」
バルドが言った。
「ただし、侵入者は王宮内の構造に詳しい者と思われます」
その視線が、セリーヌに向けられた。
「つまり、王宮に住む者の中に犯人がいる、ということですか」
マルコが不安そうに言った。
「その可能性があります」
バルドは記録簿を開いた。
「そこで、全員の部屋を捜索させていただきたい」
セリーヌの心臓が跳ねた。
「捜索、ですか」
父王が眉をひそめた。
「それは行き過ぎではないか。プライバシーの侵害だ」
「しかし、陛下」
ロベルトが言った。
「盗まれた書類は、国の安全に関わるものです。取り戻さなければなりません」
「国の安全に関わる書類が、なぜあなたの私室に」
グレン侯爵が鋭く聞いた。
ロベルトは一瞬だけ言葉に詰まった。
「それは、個人的に保管していたのです」
「個人的に、ですか」
「はい」
怪しい。
グレン侯爵もそう思っているようだった。
だが、父王は頷いた。
「わかった。捜索を許可する。ただし、礼儀を持って行うこと」
「ありがとうございます、陛下」
バルドが頭を下げた。
「では、まずセリーヌ殿下の部屋から」
セリーヌを最初に疑っている。
だが、構わない。
証拠はもうない。
「どうぞ」
セリーヌは立ち上がった。
「私の部屋を調べてください。何も隠していません」
バルドと警備兵が、セリーヌの部屋へ向かった。
セリーヌも同行した。
部屋の扉を開ける。
バルドは隅々まで調べた。
机の引き出し。本棚。ベッドの下。衣装箱。
全てを開け、確認する。
だが、何も見つからない。
バルドは苛立った様子を見せた。
「他の部屋も調べます」
マリーの部屋。レオンの部屋。他の使用人の部屋。
全てを調べたが、何も見つからなかった。
バルドは諦めて、評議会堂に戻った。
「何も見つかりませんでした」
ロベルトは不満そうな顔をした。
「では、犯人は外部の者か」
「可能性があります」
「バルド、引き続き調査を」
「承知しました」
評議会は解散した。
セリーヌは自室に戻った。
扉を閉め、ベッドに座った。
危なかった。
もし証拠を部屋に置いたままだったら、見つかっていた。
レオンの判断が正しかった。
扉がノックされた。
「お嬢様、レオン様です」
マリーの声。
「入って」
レオンが入ってきた。
「殿下、グレン侯爵夫人に届けました」
「ありがとう」
「夫人は安全な場所に保管すると言っていました」
「よかった」
セリーヌは安堵した。
証拠は守られた。
「ですが、殿下」
レオンが心配そうに言った。
「ロベルト殿下は殿下を疑っています」
「わかっています」
「これから、監視が厳しくなるでしょう」
「構いません」
セリーヌは窓の外を見た。
「証拠は手に入れました。次は、それを使う準備をします」
「いつ」
「まだです」
セリーヌは慎重に考えた。
「タイミングが重要です。早すぎれば、ロベルトに対策されます。遅すぎれば、父が危険にさらされます」
「では、いつが適切ですか」
「秋です」
セリーヌは決意を固めた。
「父の誕生日の式典。多くの貴族と民衆が集まります。その時、全てを暴露します」
「公開の場で」
「ええ。証拠を提示し、ロベルトの罪を告発します。逃げ場をなくします」
レオンは頷いた。
「わかりました。その時まで、準備を整えます」
「お願いします」
レオンは去った。
セリーヌは一人、計画を練った。
秋まで、あと二ヶ月。
その間に、味方を増やす。
証拠を精査する。
告発の準備をする。
そして、父を守る。
ザインの脅威もある。
契約書は奪ったが、ザインが諦めるとは思えない。
新たな攻撃があるかもしれない。
備えなければならない。
セリーヌは羽根ペンを取り、計画を書き始めた。
秋の式典までのスケジュール。
必要な行動。
協力者との連絡。
全てを整理する。
窓の外、太陽が高く昇っていた。
夏は続いている。
だが、秋は近い。
決戦の秋。
セリーヌは、その時を待つ。
準備を整え、機会を掴む。
そして、全てを終わらせる。
ロベルトの陰謀を暴き、父を守り、国を救う。
それが、セリーヌの使命だった。
母の髪飾りが光っている。
希望を捨てないで。
捨てていない。
今、セリーヌには明確な道がある。
証拠がある。味方がある。計画がある。
勝利への道。
それを、一歩ずつ歩む。
セリーヌは計画書を引き出しにしまい、立ち上がった。
やるべきことは、まだたくさんある。
休んでいる暇はない。
戦いは、続く。
だが、終わりは見えている。
秋の式典。
その日、全てが決まる。
セリーヌは、その日のために生きる。
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