処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka

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第27章「女神の再臨」

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その夜、セリーヌは深い眠りに落ちた。
疲労と悲しみで、意識が闇に沈む。
だが、夢を見た。
白い光に包まれた世界。
どこまでも続く光。
そこに、女性が立っていた。
長い金髪。白い衣。透き通るような肌。
女神リュミエール。
「久しぶりですね、セリーヌ」
女神は微笑んだ。
「女神様」
セリーヌは驚いた。
「なぜ、ここに」
「あなたに会いに来ました」
女神は近づいてきた。
「あなたは、よく頑張りました」
「いいえ」
セリーヌは首を振った。
「私は、多くの人を失いました」
「それは、戦争です」
「ですが、私の決断で」
「あなたは、最善を尽くしました」
女神は優しく言った。
「全てを救うことはできません。あなたは、それを理解しています」
セリーヌは涙を流した。
「辛いです」
「わかっています」
女神はセリーヌの頬に触れた。
温かい。
「ですが、あなたは強い。母のように」
「母」
「エリザベートは、優しく、そして強い女性でした。あなたは、彼女の娘です」
女神は一歩離れた。
「セリーヌ、覚えていますか。私が最初に言ったことを」
「選べ、と」
「そうです。復讐か、赦しか」
女神は真剣な顔をした。
「あなたは、どちらを選びましたか」
セリーヌは考えた。
復讐か、赦しか。
ロベルトを殺すか、許すか。
「私は」
セリーヌは答えた。
「どちらも選びませんでした」
女神は驚いた顔をした。
「どちらも、ですか」
「はい」
セリーヌは真剣な顔をした。
「復讐は、新たな憎しみを生みます。赦しは、正義を損ないます」
「では、何を選んだのですか」
「責任です」
セリーヌは答えた。
「ロベルトは裁かれなければなりません。ですが、それは復讐のためではありません。正義のためです」
女神は微笑んだ。
「素晴らしい答えです」
「でも、これで正しいのですか」
「正しいかどうかは、わかりません」
女神は正直に言った。
「ですが、あなたが自分で考え、選んだ答えです。それが、最も重要なことです」
女神は空を見上げた。
「人は、常に選択を迫られます。どの道を行くか。誰を助けるか。何を捨てるか」
「全ての選択に、代償があります」
「はい」
女神は頷いた。
「完璧な選択など、存在しません。どの道にも、犠牲があります」
「では、どうすれば」
「自分の心に従うことです」
女神はセリーヌを見た。
「あなたは、何を大切にしますか」
「国、民、そして」
セリーヌは考えた。
「正義です」
「ならば、それを貫きなさい」
女神は微笑んだ。
「たとえ、それが困難でも」
セリーヌは頷いた。
「わかりました」
女神は再び近づいてきた。
「セリーヌ、もう一つ伝えたいことがあります」
「何ですか」
「時間を巻き戻す力は、もう使えません」
セリーヌは息を呑んだ。
「もう、二度目はないということですか」
「はい。あなたは、一度だけ過去に戻りました。それが全てです」
女神は真剣な顔をした。
「これから先、あなたが死んでも、巻き戻すことはできません」
「わかっています」
「本当に?」
「はい」
セリーヌは強く頷いた。
「私は、もう後戻りしません。前だけを見て、進みます」
女神は嬉しそうに笑った。
「あなたは、本当に成長しました」
「女神様のおかげです」
「いいえ、あなた自身の力です」
女神は光り始めた。
「もう、行く時間です」
「待ってください」
セリーヌは手を伸ばした。
「もう一つ、聞きたいことがあります」
「何ですか」
「なぜ、私を選んだのですか」
女神は少し考えた。
「あなたが、希望を捨てなかったからです」
「希望」
「処刑台で、あなたは絶望していました。ですが、心の奥底に、まだ小さな希望がありました」
女神は優しく微笑んだ。
「その希望が、私を呼んだのです」
「そうだったのですか」
「はい。希望がある限り、未来は変えられます」
女神は完全に光に包まれた。
「さようなら、セリーヌ。あなたなら、きっと良い女王になれます」
「ありがとうございました」
セリーヌは深く頭を下げた。
光が消えた。
セリーヌは、暗闇の中で目を覚ました。
自分の部屋。
ベッドの上。
夢だったのか。
いや、夢ではない。
女神は、本当に来た。
そして、答えを教えてくれた。
いや、答えではない。
道を示してくれた。
自分で選ぶ道を。
セリーヌは起き上がった。
窓から朝日が差し込んでいる。
新しい日。
戦争は、まだ続いている。
だが、セリーヌは迷わない。
自分の道を、進む。
復讐でもなく、赦しでもなく。
正義と責任の道を。
それが、セリーヌの選んだ道だ。
扉がノックされた。
「お嬢様、起きていらっしゃいますか」
マリーの声。
「起きています」
「伝令が来ています。緊急だそうです」
セリーヌは急いで身支度を整えた。
作戦室へ向かう。
伝令兵が待っていた。
「報告します。東国軍、再び侵攻を開始しました」
「どこから」
「中央です。昨日撃退した敵が、増援を得て戻ってきました」
「兵力は」
「五千」
五千。
こちらは、もう四千しかいない。
しかも、疲弊している。
「すぐに迎撃準備を」
セリーヌは命じた。
「レオンを呼んでください」
「はい」
戦いは、まだ終わらない。
だが、セリーヌは諦めない。
希望を捨てない。
それが、女神から学んだことだ。
そして、それが、母から受け継いだ強さだ。
セリーヌは地図を広げた。
最後の戦い。
勝たなければならない。
この国のために。
民のために。
そして、自分自身のために。
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